“オイル上がり”の原因は主にピストンリングの固着や摩耗!20万円以上の修理費用がかかる場合も

加速中にマフラーから煙が大量に出るようであればオイル上がりが疑わしい。ただし、ターボ車の場合はタービン軸からのオイル漏れの可能性があるため異常箇所の断定はできない。どちらの場合も症状が走行中や加速中に出るため、白煙を確認しづらい点は共通だ。

“オイル上がり”は、シリンダーとピストンの隙間からエンジンオイルが燃焼室へと吸い上げられてしまう異常を指す。

本来であれば、ピストンの外周に備わったピストンリングがシリンダー壁面の余分なオイルをかき落とすとともに、シーリング材として燃焼室へエンジンオイルが浸入するのを防いでいるが、ピストンリングの摩耗や固着、シリンダー内壁の摩耗などによって隙間が広がると燃焼室へ浸入するエンジンオイルを抑えきれなくなる。

その結果として、燃料と一緒に大量のエンジンオイルが燃焼されることになり、マフラーから大量の白煙が吹き出す。

エンジンを高回転で回したときや、アクセルを踏み込んで加速するときに白煙が目立つようなら、オイル上がりが発生している可能性を疑いたい。

オイル上がりの症状をそのまま放置すると、燃焼室へのカーボン堆積やスパークプラグの汚損、触媒の目詰まりなどを招き、エンジンコンディションはどんどん悪化していく。

オイル上がりが発生したエンジンは、ピストンリング交換などエンジンの脱着と分解を伴う重整備が必要になるケースが多く、車種によっては20万円以上の修理費用がかかる場合もあるため、中古エンジンやリビルトエンジンに載せ替えた方が安く済むケースも多い。

オイル上がりを予防するためには、定期的なエンジンオイル交換を怠らないことが重要だ。劣化したオイルを使い続けると、スラッジと呼ばれる汚れが溝に溜まることでピストンリングが固着しやすくなる。また、潤滑性能を失ったオイルはエンジン内部摩耗を促進させ、オイル上がりの発生を助長する。

“オイル下がり”はエンジンヘッドからオイルが漏れ出す症状

オイル下がりは煙の量が比較的少ないため、乗車したままでは白煙に気づきにくい。時折、アイドリング中の煙の量をチェックすることが早期発見につながる。ただし、古いスポーツカーなどは元からオイルの燃焼量が多いため安易にオイル下がりとは断定できない。

一方、“オイル下がり”はシリンダーヘッドに備わる吸排気バルブの隙間から、エンジンオイルが燃焼室へと漏れ出てしまう異常だ。

傘状の部品であるバルブの軸部分には、オイルが燃焼室に浸入するのを防ぐために“ステムシール”と呼ばれるゴム製の部品が装着されているが、経年劣化や熱による硬化でステムシールの密閉性が徐々に失われてくる。

そうなるとシリンダーヘッド内のオイルがバルブを伝って燃焼室に浸入しやすくなり、マフラーから白煙が出る。

とりわけ吸気側はインテークマニホールド内の負圧によってオイルを吸い出す力が働きやすい。そのため、大きな負圧がかかるエンジン始動直後やアイドリング中、エンジンブレーキ中にマフラーから大量の白煙が出るようならオイル下がりが疑われる。

原因がステムシールの劣化のみである場合は、シールを交換するだけでオイル下がりの症状はおさまる。ただしステムシールの交換には、シリンダーヘッドを分解する必要があるため、10万円程度の修理費用は覚悟したい。

故障の程度としてはオイル上がりより軽度であるものの、オイル下がりを放置するとバルブの裏側に大量のカーボンが堆積することで通気効率が低下するためパワーダウンや燃費悪化などの症状が深刻化する。

対策法は適切なオイル交換!症状が出たらオイル量にも注意!

寒い時期や始動直後に発生するのは、煙ではなく水蒸気であるため心配は無用だ。水蒸気と煙では見え方が異なるうえ、オイルが燃焼すると特有の臭いを伴うため、判別は難しくないはずだ。

以上のようにオイル上がりとオイル下がりは、どちらもマフラーから白煙が出るという症状自体は同じだが、異常箇所とメカニズムが異なるため白煙が出るタイミングも異なる。

加速時に大量の煙が出る場合はオイル上がりの可能性が高く、停車時や減速時に煙量が増える場合はオイル下がりの可能性が高い。もちろん、それぞれが同時に発生している場合は常にマフラーから煙が出続ける事態となる。

症状が軽度であれば1ランク粘度の高いエンジンオイルに変更したり、オイル漏れを防止する添加剤を使用したりすることで、白煙の発生を抑えられる場合がある。

また、添加剤には硬化したゴムシールを膨張させる効果を持つものがあり、オイル下がりに対して効果を発揮しやすい。ただし、これらはあくまで応急処置であり、解決するには原因箇所の修理が必要だ。

どちらも根本原因はエンジン内部の劣化損耗であるため、走行距離が伸びたクルマほど発生しやすくなる。加えて、どちらであっても症状が深刻化するとエンジンオイルの消費量が著しく増加するため、こまめなオイル量のチェックが欠かせない。

オイル上がりとオイル下がりを防止するには、日頃からの定期的なオイル交換が肝心となる点も共通だ。