現行型が発売されてから、6年が経過してなお、売れ続けているトヨタ・ヤリス、ヤリスクロスの人気の秘密をさぐる。

トヨタ GRヤリス Morizo

初代ヤリスは、1999年に「ヴィッツ」として登場した。2020年に現行型となる4代目が登場し、はじめて「ヤリス」に名称が統一された。

トヨタ ヤリス

ヤリス・シリーズの販売を支えているのがヤリスクロスだ。

SUVなので当たり前だが、ヤリスクロスは、ベースのヤリスと比較して、コンパクトSUVでありながら実用性が高いことだ。全長4.2m程度の取り回しやすいサイズながら、後席やラゲッジスペースは十分な広さを確保。日常の買い物からレジャーまで幅広い用途に対応できるため、若年層からファミリー層、シニア層まで幅広いユーザーに選ばれているようだ。

また、トヨタ自慢のハイブリッド技術により、SUVでありながら非常に優れた燃費を実現。ガソリン価格の高騰が続くなか、経済性を重視するユーザーにとって大きな魅力となっている。

ヤリス、そしてヤリスクロスに共通していえるのは、燃費、価格、安全装備、走り、取り回し、ブランド信頼性などにより、若年層から高齢層、さらには法人ユーザーまで幅広い支持を集め、「万人受け」していることが強みといえる。また、コンパクトカーに求められる要素を、「全部そこそこ以上」のレベルで揃えている点も人気の秘密といえる。

ヤリス・シリーズは、ハイブリッドモデルを中心に、実用域で高い低燃費を実現。ガソリン価格の高止まりや物価上昇が続くなかで、「燃費の良さ」はクルマ選びの最重要ポイントのひとつになっており、最大の魅力のひとつといえる。特に通勤や買い物など、毎日クルマを使うユーザーにとっては、ヤリスのハイブリッドは実燃費でも高評価が多く得られている。また、ヤリスの魅力に、力強いフェンダーや高めの車高を採用することで、本格SUVらしい存在感を演出したヤリスクロスは、ベースモデル以上の販売台数を獲得している。

ヤリス、及びヤリスクロスは、ボディサイズの扱いやすさも日本市場に適している。日本の道路事情や駐車場事情を考えると、「小さすぎず大きすぎないサイズ」は大きな武器だ。また、ヤリスはコンパクトながら室内空間も「それなりに」十分に確保しており、“小さいのに不便ではない”という絶妙なバランスを実現。大勢で長距離をドライブするというより、運転初心者や高齢ドライバー、女性なども、扱いやすく設計されており、毎日クルマを使うユーザーに支持を得ている。

ヤリスは、走行性能の高さも見逃せない。ヤリスはコンパクトカーでありながら、しっかりとしたボディ剛性と軽快なハンドリングを備えており、単なる移動手段ではなく、「運転していて楽しい」と感じられる仕上がりになっているのだ。

ユーザーがもっとも気になる「燃費」と「価格」の部分だが、ヤリス・ハイブリッドは、約35~36km/L(FFモデル)とされており、ライバルのホンダ「フィットe:HEV」の約27~30km/L前後、日産ノートの29km/L前後とヤリスが優位に立っている。

一方、ヤリスクロス・ハイブリッドの燃費は、25.0km~30.08km/Lとされており、ライバルのホンダ・ヴェゼルe:HEVの21.3km~26.0km/L、日産キックスe-POWERの19.2km~23.0km/Lなどを凌駕している。

次にコスパだが、ハイブリッドで見ると、ヤリスが約190万円~260万円前後なのに対し、ホンダ・フィットが約200万円~260万円、日産ノートが約220万円~280万円前後と若干安くなっているが、装備をそろえて比べると、フィットの方がやや高くなるケースが多く、ノートは電動寄りのシステムで車格感も少し上なので、同等装備なら「ノートの方が十数万~数十万円高い」イメージだ。

ヤリスクロスの価格は、212万~336万円であるのに対し、ライバルとなるホンダ・ヴェゼルが276万円~397万円、日産キックスが300万円~と、ヤリス同様に高い競争力を持っている。

近年は新車価格が全体的に上昇しているが、ヤリスシリーズは、比較的手の届きやすい価格帯を維持しながら、高い品質と先進装備を提供している、「コスパの高いモデル」として認識されている。

クルマだけでなく、すべてのものに当てはまるが、売れ続けているものは、単一の理由ではない場合が多。クルマで言えば、燃費、扱いやすさ、安全性、走行性能、価格、そしてブランド力まで、あらゆる要素を高次元でバランスさせていることが、売れ続けている理由であり、「ヤリス」シリーズが最強な理由といえそうだ。

なお、次期型情報だが、ヤリス及びヤリスクロス次期型のワールドプレミアは、それぞれ2027年後半と予想されている。どちらも、新開発1.5L直列4気筒ハイブリッドエンジンを搭載が予想されている。ガソリン、ハイブリッドとともに燃費とパワーの向上が期待されており、ライバルをさらに引き離す可能性もありそうだ。