雨の日はもちろん、乾いた路面でも意外と重要なのが足元のグリップ力。スクーターはニーグリップできないぶん、ライダーは無意識にフロアステップで身体を支えている。

スクーターは意外と“足元”で乗っているんです

一般的なスクーターは足元が開放的(フリー)なぶん、モーターサイクルのようにニーグリップで得られる車体との一体感が少ない。そのためブレーキ時に身体が前へズズッとずれたり、コーナリング中に身体が安定しなかったりすることもある。ライダーは無意識のうちにフロアステップを踏ん張ることで身体を支えているのだ。ところが、そのフロアステップ自体が滑ってしまったらどうだろう。とくに樹脂製ステップを採用するスクーターは、雨天時に靴底が滑りやすくなることも少なくない。通勤や通学で毎日乗る人ほど、この「なんとなく不安な感覚」を経験したことがあるはずだ。
実はスクーターレースの世界では、ステップへ滑り止めテープを貼るなどの対策を行っている車両が少なくない。ハードブレーキングや激しいコーナリングを行うレースでは、それほどまでに「ステップが滑らないこと」が重要だからだ。とはいえ街乗りスクーターへスケートボードのデッキテープのような滑り止めを貼るのは少々やり過ぎ感もある。そこで以前から気になっていた透明タイプの防滑スプレー「スリップガード」を試してみることにした。

今回使用したのはSTEP SOLUTIONの「スリップガード」。住宅や施設向けの防滑塗料だが、樹脂製ステップへの施工も可能だ。ホームセンターやAmazon等で購入できる。

結果は大正解! とにかく踏ん張りが効く

施工後の第一印象はシンプル。「めちゃくちゃグリップする!」これに尽きる。これまでシートへ預けていた体重が、自然とフロアステップ側にも分散される印象で、少し大袈裟に言えばモーターサイクルのように下半身で車体を支えられる感覚になる。
さらにポジション修正もラクになった。走行中に一瞬腰を浮かせて座り直す際も身体を支えやすく、余計な力を使わなくて済む。コーナリング時の安定感が増したのも印象的だった。街乗りレベルでも「ビシッ」とラインを決めやすくなる感覚がある。

合成樹脂剤の中にガラスビーズが含まれているため、表面はほんのりザラザラ。見た目は大きく変わらないが、靴底への食い付きは想像以上だ。

施工はDIY初心者でも十分できる

施工自体は難しくない。しっかり洗浄して脱脂し、必要な部分をマスキングしてからスプレーするだけ。特別な工具も必要なく、自宅でも作業できるレベルだ。

まずはステップの汚れや油分をしっかり除去。下地処理が仕上がりを左右する。軽く足付けを行うことで塗料の密着性を向上。細かな部分まで丁寧に行いたい。スプレーが飛んでほしくない場所を養生。簡単な作業だが仕上がりに差が出る。厚塗りせず薄く均一に吹き付けるのがコツ。透明なので見た目も大きく変わらない。

雨の日こそ真価を発揮する

とくにありがたみを感じるのは雨天時だ。ブレーキ時に靴底がズルッと前へ滑ってしまう不安が軽減されるだけで安心感は大きい。たったそれだけと思うかもしれないが、雨の日のストレスは積み重なる。足元への信頼度が増すだけで、通勤や通学がずいぶんラクになるのだ。しかもクリア塗装なので見た目はほぼ変わらない。派手なカスタムではないが、乗れば確実に違いが分かるタイプのアイテムである。
派手な見た目の変化はない。しかし実際に乗ってみると、ブレーキ時、コーナリング時、そして雨の日の安心感は確実に向上した。価格は2200円と比較的リーズナブル。スプレー缶1本なので保管場所にも困らず、必要な時だけサッと使えるのも魅力だ。スクーター通勤をしている人、雨の日もバイクに乗る人なら、一本持っておいて損はない。梅雨時期の不快感を減らし、雨の日ライディングを少し楽しくしてくれる“隠れた便利アイテム”だ。

おまけ:ステップだけじゃない! 活用範囲は意外と広い

ちなみに塗装できる素材は、木材・金属・タイル・縞鋼板・石材・塩ビ・セメント塗床と多岐に渡る。バイクのみならず階段や自動車の足をかける部分にも活用できるだろう。

リアキャリアへ施工すれば積載物のズレ防止にも期待できる。実用派ライダーにはうれしい活用法だ。細身のタンデムステップは意外と滑りやすいポイント。金属にも施工できるので応用範囲は広い。傷を付けたくないレッグシールドの内側に塗る手も。

【モトチャンプ編集部】