語り合うのはこの2人!
10代の煩悩が渦巻いたカワサキの愛されミニ

──今回は出番の少ないカワサキです。
津田:え? はじめてじゃない?
──あ、そうでしたね。連載11回目にして初でした。でもそれはひとえに津田さんの深すぎるスクーター愛の弊害かと。
津田:オレのせいかい〜。まあ、たしかにカワサキにスクーターは数えるほどしかなかったけどな。どれもこれも愛を感じな……。
──ストップ! カワサキのバッジのついたスクーターには言及しなくていいです。
津田:ん? 長くなるから?
KSR-ⅠもⅡも用意されるカラーは2種でライムグリーンとエボニー。そういえばブラックのことを「エボニー」ってカワサキはよく表現していたなあ。EBONY。木材の黒檀。真っ黒な、漆黒の、という意味らしいッス。
──イエス! 今回はKSR-Ⅰ/Ⅱをメインにトークをお願いします。
津田:よっしゃ、KSRね。先代、というか初代は1987年発売のKS-Ⅰ、Ⅱだ。前後10インチのミニバイクで、空冷エンジンはARシリーズからの流用。スタイリングは当時人気だったスーパーバイカーズ、のちのモタード・ルッキングを体現していたんだ。かなりファニーで可愛かったよ。
──30年経ったいま見てもスタイリッシュ。ちなみに87年当時のカタログには、サーキットでレースしているKSがたくさん載ってます。
津田:カワサキもわりと本気でコイツに乗って遊んでほしい、レースしてほしいと思っていたからね。ワンメイクレースを企画したり、専用パーツを開発したり。カタログのビジュアルも二代目KSRの軟弱さとは似ても似つかないハード志向だった。もちろんギャルの影なんか微塵もなくて。
──それが二代目になって一気に色気づく、と。
津田:そう。硬式野球部のくせにスポーツ刈りがイヤだと言い出す始末。
──あれ? なにか野球部に偏見でも?
津田:こちとら中学は軟式テニス部、高校は美術部のブチョーだぜ!
──女子には事欠かなかったと。
津田:そこで二代目は時代の風に乗るべく、車体各部でいろいろ進化を遂げるわけ。
──具体的には?
津田:まずフロントフォークが倒立になった。エンジンも水冷化されてパワーアップしたし、前後タイヤもチューブレスの12インチに大径化。ブレーキも前後ディスクになる。スイングアームにも補強が。
──なかなかの進化ですね。
津田:これら一連の性能向上の理由に、後発のヤマハTDR50/80に一瞬注目が集まったことを挙げる人が多いね。負けてなるものか、パイオニアはコッチだぜ! と。
──なるほど。
津田:しかし! 各部を抜かりなくグレードアップさせてきたカワサキの〝本気〟が垣間見えたと思いきや……。
──思いきや?
津田:製品カタログを開いてびっくり! 中面4ページを割いて製作された「KSR純愛冒険双六」に掲載れていたのは、女の子とイチャイチャするための〝あそび〟専用車だった……。
──それは言いすぎでしょう(笑)
津田:まあね(笑)。でも「TDRになんか負けないぜ」の気概で車両開発をしたエンジニアたちの思いと、「TDRよりもたくさん売っちゃうよ」の気迫でカタログ製作をしたセールス陣の思い。ベクトルは違うけれど、どちらも本気だったんだから表現って面白いよね。
──なんか今日の津田さん、いつもより器が大きいオトナに見える。
津田:いつもは?
──チョイノリの3ℓタンクなみに短小(笑)
津田:ふん。

ガツガツしていた80〜90年代 モテ性能も重要スペックなのだ!

──倒立フォークはすごいですね。
津田:カワサキはいち早く倒立フォークを市販車に組んだ。ZXR250、400だね。その流れからのKSRじゃないかな。ホイールはダートでの剛性を重視してあえてスチールをチョイス。
──カスタムする人もけっこう多かった?
津田:NSRのアルミホイールを加工して入れたり、レーサーのKXのパーツを流用したり。イジり代みたいなものはいっぱいあったね。だからマニアも楽しめた。
──そこまでいろいろこだわっての車体構成なのに?
津田:タンデムできないシングルシート仕様!
──そこだけなんで、男一匹カワサキなんだ〜(笑)
津田:そういや『ああっ女神さまっ』の主人公の妹・森里恵ちゃんがカワサキKSR-Ⅱに乗っていたね。
──はあ。
津田:……知らないね。知らないんだね。これだから非オタは困る。
──ん?(笑)




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