連載

【歴史を飾ったライバル対決】

クロカン4WDの4ドアロングボディ化でRVブームが加速

1981年9月にデビューしたいすゞ初代ビッグホーン「ロデオ・ビッグホーン」

RVブームの先駆けとなった1981年9月デビューのいすゞ「ロデオ・ビッグホーン」と1982年5月の三菱自動車「パジェロ」も発売当初は、2ドアボディのみだった。当時は、まだRVブームが起こっていたわけでなく、クロカン4WDが大衆化するという保証がなかったため、あくまでも業務用やマニアックなアウトドア派のユーザーをメインターゲットにしていた。そのため、オフロードでの取り回しを優先して全長を短く、ホイールベースを短くして悪路走破性を高める、さらに2ドアの方が低コストで仕上げることができるということから、ピックアップや商用4WDの延長線上にあるショートボディの2ドアから展開されたのだ。

1982年5月にデビューした三菱初代「パジェロ」

実際にロデオ・ビッグホーンとパジェロの人気が加速したのは、パジェロは1983年、ロデオ・ビッグホーンにロングボディの4ドアが追加されてからだった。この頃には、日本でも本格的なアウトドアブームが起こり、キャンプやスキーなどレジャーに使えるファミリー層のための乗り心地の良い、運転しやすい4ドアボディの実用性が必要だったのだ。

1983年11月にデビューしたトヨタ4代目「ハイラックス」

1984年5月に誕生したトヨタ「ハイラックス・サーフ」も2ドアの商用車であり、1986年8月にデビューした日産「テラノ」も2ドアのみだった。パジェロとロデオ・ビッグホーンの4ドア化の人気加速とRVブームの盛り上がりをみて、ハイラックス・サーフは2代目のモデルチェンジで、テラノは発売3年後にマイナーチェンジで4ドアロングを設定したのだ。

トヨタ2代目ハイラックス・サーフに4ドアワゴンを設定

トヨタ「ハイラックス」の派生車として1984年5月にデビューした初代「ハイラックス・サーフ」

トヨタは、1984年5月に4代目「ハイラックス」(1983年11月デビュー)をベースにした派生車「ハイラックス・サーフ(N60型)」を投入。ハイラックスの2ドアショートボディにリムーバルFRP製トップを被せて、さらにオーバーフェンダーや専用デカールなどを装着してスタイリッシュに仕立てた。

トヨタ「ハイラックス」の派生車として1984年5月にデビューした初代「ハイラックス・サーフ」(当時のカタログより)

パワートレーンは、最高出力88ps/最大トルク15.8kgmの2.0L 直4 OHVガソリンと76ps/15.7kgmの2.4LディーゼルSOHC NA(同年11月に85ps/19.2kgmのターボを追加)と、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式は、FRとパートタイム4WDが用意された。

当初は商用車バンだったこともあり地味なデビューだったが、1986年8月のマイナーチェンジで5ナンバーのワゴン(乗用車)が設定されると販売は上向いた。

ヨタ2代目「ハイラックス・サーフ」(当時のカタログより)

そして、1989年5月に始めてのモデルチェンジで2代目(N130型)に進化した。2代目は、オリジナル設計となるとともに、一般的なメタルトップボディのスタイリッシュなフォルムに変貌。また2ドアのみだった先代に対して、新たに利便性に優れた4ドアが追加され、5ナンバーの2ドア/4ドアのワゴンとバンが用意された。

ヨタ2代目「ハイラックス・サーフ」(当時のカタログより)
ヨタ2代目「ハイラックス・サーフ」(当時のカタログより)

ワゴンモデルのパワートレーンは、ワゴン用には最高出力97ps/最大トルク16.3kgmを発揮する2.0L 直4 OHVガソリンNA、最高出力94ps/最大トルク22kgmの2.4L 直4 SOHCディーゼルインタークーラーターボの2種エンジンと、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式は、全車パートタイム4WDとなった。

ヨタ2代目「ハイラックス・サーフ」(当時のカタログより)

4ドアを設定した2代目ハイラックス・サーフは、発売後も商品力強化を重ね、パジェロとともにアクティブなライフスタイルを支えるRVブームを代表するSUVとして大ヒットモデルとなった。

初代テラノのマイナーチェンジで4ドアワゴンを追加

日産「テラノ」は、すでにRVとして人気を獲得していた「パジェロ」と「ハイラックス・サーフ」に対抗する形で1986年8月にデビューした。当時米国で大人気だった「ダットサン・ピックアップトラック」をベースに、米国で基本デザインをし、悪路走破性とオンロードでの快適性を両立させたクロカン4WDだった。

1986年8月にデビューした日産初代「テラノ(2ドア)」

小型ピックアップのシャシーを使って、流れるようなラインのハードトップの2ドアボディを被せた都会的なスタイリングで、乗用車のように座席位置は低めに設定していたのが特徴。ボンネット先端の3本スリットや前後のブリスターフェンダー、後席用の三角形ウインドウなどで個性を発揮した。

1988年式日産初代「テラノ」に搭載されたTD27T型エンジン

パワートレーンは、最高出力85ps/最大トルク18.0kgmを発揮する2.7L 直4 OHVディーゼルエンジンと5速MTの組み合わせ。駆動方式は、全車パートタイム4WDが用意された。

1989年10月にマイナーチェンジした日産初代「テラノ」

そして、1989年10月にマイナーチェンジで4ドアワゴンがラインナップに追加された。既存の2ドアをベースにリアクォーターガラスを廃して、リアドアを備えた4ドアワゴンとして乗用車的なイメージを引き上げた。

1989年10月にマイナーチェンジした日産初代「テラノ」のコクピット
1989年10月にマイナーチェンジした日産初代「テラノ」のフロントシート

同時に、3.0L V6 SOHCガソリンエンジンが、シングルポイント(SPI)からマルチポイントインジェクション(MPI)に変更され、最高出力155ps/最大トルク25.3kgmへと向上した。ちなみに、ガソリンエンジンは1987年10月に140ps/23.0kgmの3.0L V6 SOHCSPIエンジンが追加されていた。

4ドアワゴンを追加設定したテラノも2代目ハイラックス・サーフ同様、ファミリー層を中心にユーザーの拡大に成功し、ヒットモデルとなった。

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クロカン4WDが大衆化するためには、当時増えていたアウトドア派やスキー、サーフィンなどのスポーツ派が好むような利便性やお洒落度が必要だった。クロカン4WDを大衆化させ、1980年代にRVブームを巻き起こした大きな要因となったひとつが、人気のパジェロやロデオ・ビッグホーンとともに、2代目ハイラックス・サーフとテラノに設定された4ドアワゴンだったのだ。

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