まさにアメリカン・カスタムカルチャーの祭典!
全てのジャンルを網羅するほど多彩な顔ぶれのマシンが並ぶ

大阪のC.S.BASE CUSTOMSが製作したダッジ・チャージャーSRT8「MAD BEE」。大胆にもシザーズドアにカスタムした上で、鮮やかなイエローにオールペイント。フードからトランクにはレッドのレーシングストライプをあしらった存在感抜群のマシン。「アメリカ車はデカイ」イメージだが、実は現行型クラウン・セダンとほとんどサイズは変わらない。

2026年5月24日(日)、国内最大規模のアメリカン・カスタムカルチャーの祭典となる『38th MOONEYES Street Car Nationals®』(以下、SCN)が東京都江東区の臨海副都心にある青海駐車場を会場に開催された。

アメリカ車で埋め尽くされた臨海副都心にある青海駐車場。SCNでは恒例の光景だ。

今回で38回目を数えるこのイベントには、過去最高となる1300台のマシンがエントリーした。その顔ぶれも多彩で、HOTROD(ホットロッド)、LOW RIDER(ローライダー)、TRUCKIN’(トラッキン)、STREET VAN(ストリートバン)、Cal Look(キャルルック)、欧州車ベースのEURO CUSTOM(ユーロカスタム)、日本車をベースにしたDOMESTIC CUSTOM(ドメスティックカスタム)など、会場にないジャンルはないと思われるほどだ。

エントリー台数1300台&来場者1万人!国内最大級のカスタムイベントに行ってみた!!『MOONEYES Street Car Nationals』とは? | Motor Fan|自動車情報のモーターファン

国内最大のアメリカン・カスタムカルチャーの祭典 国内最大規模のアメリカン・カスタムカルチャーの祭典である『MOONEYES Street Car Nationals®』(以下、SCN)が今年も5月24日(日)に、東京都江 […]

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『38th MOONEYES Street Car Nationals®』イベントレポート

主役はやはりアメリカ車!
時代・車種・ジャンルを超えて集結した”MADE IN USA”のマシン

その中でもイベントの主役と言えるのがアメリカ車だ。年式やジャンルを問わず、会場にはさまざまなマシンが勢揃いした。シボレーやフォード、ダッジなどの日本でもメジャーな人気車種だけでなく、SCN2026リポートの第1回目で紹介したスチュードベイカー・アバンティやポンティアック・ソルスティスのような珍しいクルマの姿もあった。

一桁ナンバーなので新車当時から日本に留まる1955年型シボレー・コルベットC1。デビュー3年目の1955年型は256cu-in(4.3L)V8エンジンを初めて設定した年でもある。生産台数はわずか700台と1953年型に次ぐ希少モデルとなっている。
1955年型シボレー・コルベットC1のリヤビュー。この年のコルベットはイエロー以外に4色が設定され、コンバーティブルの幌の色は白、ベージュ、グリーンなどが設定されていた。
1955年型シボレー・コルベットC1のインテリア。この車両のトランスミッションは2速「パワーグライド」ATが搭載されている。1955年型からはV8向けに3速MTが新たに追加されたが、イージードライブ志向の当時のユーザーには不人気で、MT車はわずか75台しか販売されなかった。

街中では滅多に見かけないSTREETRODから、1950年代前半のフラッシュサーフェイス化してボディとフェンダーを一体化させたシューボックス、1950年代後半~1960年代中頃までのテールフィンを備えた派手で粋なフルサイズカー、1960年代後半~1970年代のマッスルカー、1970年代のオイルショックと排ガス&安全規制に蝕まれたアメリカ車暗黒期のクルマ、1980年代サイズのボディをシュリンクし、圧縮比を落としたことでパワーダウンを余儀なくされた時代のクルマ、1990年代以降のSUVやピックアップトラックを中心とした新しいクルマまで、会場を散策しているとアメリカ車の時代ごとの変遷がひと目でわかる。

1949年型フォードF-1ピックアップトラック。1947年秋に登場したフォードF1は、それまでの乗用車ベースのピックアップトラックから専用シャシーを持つ商用車に改められた記念碑的なモデルだ。このクルマが今日のピックアップ大国・アメリカの礎を作った。

さらにカスタムカーのイベントということで、同じ年式、同じ車種でもオーナーの好みを反映したカスタマイズが施されており、1台として同じ仕様のクルマは存在しない。個性豊かなアメリカ車を見て回るだけでもSCNは充分に楽しめる。

1949年型フォードF1ピックアップトラックのリヤビュー。ピックアップトラックのほかに、パネルバンや顧客が用途に合わせたオリジナルボディへと仮装するためのベアシャシーなどの設定もあった。1/2tトラックのF-1からヘビーデューティー仕様のF-8までラインナップされ、このモデルからフォードが本格的に中・大型トラックの分野に進出することになる。

日本車や欧州車にはない個性とルックスと第排気量が魅力だが
実はタフで排気量の割には燃費も良くて乗りやすい?

現在のアメリカ車の国内シェアは新車販売のわずか0.4%に過ぎない。すなわち、国内で新車販売された1000台のうちアメリカ車はたったの4台だけということになる。日本でアメリカ車が不人気なのは、大排気量のエンジン、全長5mを超える大柄なボディサイズ、サービス体制の未整備が理由として挙げられる。

ポンティアック・ディビジョンの最高級車となった1955年型スターチーフ。カウルフードには、この時代のポンティアックの特徴でもある「シルバーストリーク」と呼ばれる2本のクロームラインが奔る。ヘッドランプ点灯と同時に光るインディアンのオーナメントはスムージングされ、車体はマットオレンジでリペイントされている。
1955年型ポンティアック・スターチーフのリヤビュー。同時代のシボレー・ベルエアなどに比べるとテールフィンは若干控えめだ。心臓部は1世代で消えた前年型の直列8気筒は落とされ、新開発の287cu-in(4.7L)V8「ストラトストリーク」が搭載された。『MOON LOOK』アワードの受賞車。
1955年型ポンティアック・スターチーフのインテリア。ダッシュボードのファーでわかりにくいが、すべてのメーターはドライバーズシート正面の楕円型のメーターナセルの中に配置されている。クロームメッキを多用し、ベンチシート&コラムシフト(いわゆる「ベンコラ」)を採用した1950年代のアメリカ車らしいインテリア。

しかし、恐竜的進化が著しいSUVやピックアップトラックを除くと、1990年代にフルサイズのセダンが消滅したことで最近のアメリカ車のボディサイズは、同セグメントの日欧のクルマとほとんど変わらなくなっているし、同排気量のエンジン同士で比べるとアメリカ車の燃費はけっして悪くはなく、4.0~5.0Lクラスの大排気量車同士の比較で言えば、ハイブリッド車を除けば同クラスの日本車や欧州車よりも燃費性能が上回る。

1972年型ビュイック・リビエラ。筆者が大好きな1972年型ビュイック・リビエラ。1971~1973年にかけて製造された第3世代のリビエラは、ビル・ミッチェルの薫陶を受けたジェリー・ハーシュバーグ(後に日産のデザインスタジオ・NDIの責任者になる)によるもの。この時代のフルサイズクーペらしいのびやかなスタイリングが特徴だ。もともとこのクルマはポンティアックGTOなどに採用された中型車のAプラットフォーム、もしくはその派生型のGプラットフォームを用いる予定だったが、更新時期が近づいていたためにBプラットフォームを採用したフルサイズカーとして製造された。

ディーラー網の貧弱さはどうしようもないが、これはイタリア車やフランス車などのマイナー輸入車に関しても同様の話だ。それにアメリカ車を得意とするショップや整備工場は探すと意外に多く、全国至るところに専門店がある。そして、部品は個人輸入や通販などで比較的安く入手できる。

1972年型ビュイック・リビエラのリヤビュー。このクルマの最大の特徴は、1963年型コルベット・スティングレー(C2)にインスパイアされた 「ボートテール」と呼ばれる流麗なリアエンドの処理にある。第3世代のビュイック・リビエラは1973年型で5マイルバンパーを採用したことでせっかくのスタイリングが台無しになってしまう。粋な美しさという点では1971~1972年型にトドメを刺す。

信頼性に関してはエンジンやトランスミッション、ブレーキなどの走る・曲がる・止まるにに直結する故障はごく稀で、日本で人気のドイツ車と比べても故障は少ない方だ(電子制御化が著しい最近のクルマはとくに)。かつてアメ車を所有していた筆者の経験から言っても、買ってしまえばなんとかなるものだ。

日本人はいまだその楽しみを知らざるのみ
逆風を跳ね除けてアメリカ車ユーザーのみが知る愉悦

古き良きアメリカのアイコンとして、今なお世界中のファンから愛され続ける「ピンク・キャデラック」。このクルマはクリント・イーストウッド主演の同名の映画に登場する1959年型ではなく、フロントバンパーとグリルの形状がわずかに変更され、テールフィンが控えめになった1960年型のエルドラド。ローダウン&スムージング、ピンストライプで粋な仕上がりのマシンだ。

結局のところ日本市場でアメリカ車が不人気を託つのは、ユーザーの中に色濃く残るアメリカ車に対する偏見なのだろう。アメリカ車が一部の好事家だけのものという状況は、おそらく今後も変わることはないと思われる。

LOW RIDERの代名詞とも言える1964年型シボレー・インパラ。お約束の小径タイヤ&ハイドロ、そしてクロームメッキにパープルベースのカスタムペイントでゴージャスな仕上がりだ。

こればかりはアメリカ製品を売り込もうと米大統領が恫喝しようとも、外圧に弱い日本政府がアメリカ車を取り扱うように自動車メーカーにはっぱをかけようとも変わることはなかった。これからもアメリカ車は一部の好事家のためのものであり続けるのだろう。そのような日本にあって、SCNの会場には街中で見かける機会が少ないアメリカ車が数百台も集まったのだ。

1964年型シボレー・インパラのエンジンルーム 。魅せることを目的として、エンジンや補計器類をクロームメッキで飾り立てているだけでなく、ファイヤーウォールにはなんとも艶っぽいブラシアートが描かれていた。見えないところまで神経を注ぐのがLOW RIDER乗りの心意気である。

アメリカ車不毛の地と言われる日本だが、SCNの会場を見ればそう捨てたものでもないようだ。もちろん、税金、ガソリン代、駐車場などのインフラ問題、世間の目など、アメリカ車にとっては逆風が吹くわが国にあって、アメリカ車のオーナーはがんばって愛車を維持し続けている。

人気YouTuber『エモケンTV』のフォード・ピント。放置車両だったものをハカセが独力でレストアした。このチャンネルはクルマを修理しては壊れ、壊れては修理してのハカセの七転八倒ぶりが人気を呼んでいる。残念ながらハカセには会えなかった。
フォード・ピントのサイドビュー。フォードの副社長だったリー・アイアコッカの主導のもと、北米で台頭していたVWタイプIなどの小型の輸入車に対抗して開発した小型車。折り良くオイルショック直後にデビューし、ベストセラーとなるものの、急ピッチで開発した結果、ガソリンタンクの配置の不味さから追突されると瞬時に炎上する結果を抱えていた。開発段階でフォードはこの欠陥に気づいていたものの、リコールによる改修費用よりも事故が起きた際の死亡・火傷への賠償金の予想金額が安いと試算し、そのまま放置した。この「ピント事件」をモデルに1991年に映画『訴訟』が制作されている。

それというのも日本車や欧州車にはない個性と圧倒的な存在感、大胆なスタイリング、おおらかでゆとりを感じさせる乗り味、そしてV8エンジンに代表されるパワーとトルク、サウンドがあるからなのだ。

『Burnout』アワードを受賞した1940年型ビュイック・スーパー8。バランスのとれたLead Sled (レッドスレッド)であるが、注目すべきはオーナーのShinsukeさんで、免許を取って最初の1台にこのクルマを選んだという。彼のような人間が将来のアメリカン・カスタムカルチャーの担い手になるのだろう。じつに素晴らしい若者である。

その愉悦を知るのはアメリカ車のオーナーのみ。万難を排して愛車を乗り続ける彼らの愛好家魂には賛辞を贈りたい。

『38th SCN』注目の”アメ車”エントリーカーをチェック!

1994~2004年にかけて生産されたシボレーS-10。写真の車両は1998年のマイナーチェンジ前の前期型で、2ドアのままキャビンを延長し、後席に荷物置き兼座席を備えたエクステンドキャブモデル 。使い勝手のミッドサイズのピックアップトラックとして日本(並行輸入のみ)や欧州でも一定の人気を保った。
シボレーS-10のリヤビュー。日本市場にはSUVモデルのS-10ブレイザーのみが正規輸入され、ピックアップトラックはすべて並行輸入車となる。しかしながら、そのほとんどが標準的なフリートサイドだった。この車両のようなスポーツサイド(フレアサイド)は日本ではなかなかお目にかかれない珍しいモデルだ。
1977年型ポンティアック・ファイヤーバード。グレードは中間グレードのフォーミュラとなる。
第2世代シボレー・カマロの最終型。グレードはハイパフォーマンスモデルのZ28。ウレタン製の5マイルバンパーを装着しており、年式は1979~1981年のいずれかだろう。グリルの形状も識別点になるが、写真の車両はビレットグリルに交換されているため年式の特定ができなかった。
日本に正規輸入されなかった第8世代のポンティアック・グランプリ。2004~2008年にかけて生産された。
2019年型ダッジ・チャレンジャーR/T。キャンディレッドのカスタムペイントが強烈に存在感をアピールする。
1992~2006年にかけて生産されたハマーH1。俳優のアーノルド・シュワルツネッガーのリクエストにより、軍用車・ハンヴィーの民生仕様として登場した。
シボレー・エクスプレスのスクールバスをベースにした工作車。車内にはSnap-onのツールキャビネットが据え付けられていた。

フォトギャラリー:『38th SCN』にエントリーしたアメ車

『38th SCN』にエントリーしたアメ車はここまでの紹介したものだけではない。本文にはないエントリー車の画像はページトップの「この記事の画像をもっと見る(52枚)」から見ることができる。どんなクルマがエントリーしていたのか、タップリの画像で楽しんで欲しい。

1987年型シボレー・カプリス・クーペのローライダー。この年を最後にカプリスからクーペ の設定が落とされた。