両者は「入れ替わる」関係ではなく、それぞれ異なる役割を担う!?

日本では「レガシィ アウトバック」が2025年3月をもって販売を終了した。しかし、アウトバックそのものが姿を消したわけではない。海外では7代目となる新型モデルがすでに発表・発売されており、北米を中心にスバルの主力モデルとして販売が続けられている。

スバル アウトバック

一方、スバルは電動化戦略の一環として、新型BEVクロスオーバーSUV「トレイルシーカー」を投入した。アウトバックの販売終了に近いタイミングで登場したことから、「実質的な後継モデルなのではないか」という見方も少なくない。

スバル トレイルシーカー

確かに両車には共通点がある。アウトドアユースを重視したパッケージングや長距離ツーリング性能、ワゴンとSUVを融合させたようなスタイルなど、目指すキャラクターには重なる部分が多い。荷室の使い勝手や悪路走破性を重視する点も、アウトバックから受け継がれた要素と言える。

しかし、その成り立ちは大きく異なる。アウトバックは、ステーションワゴンをベースに進化したクロスオーバーである。一方のトレイルシーカーは、BEV専用プラットフォームを採用し、ゼロから設計された電動SUVだ。両車は似た市場を狙いながらも、開発思想はまったく別物なのである。

デザインにも、その違いは表れている。アウトバックは低重心のワゴンらしさを残したロングルーフシルエットが特徴だった。一方、トレイルシーカーは最低地上高を十分に確保しながらも、EVならではの伸びやかなキャビンやショートオーバーハングを採用。クリーンで未来的なスタイリングへと進化している。

パワートレインの違いはさらに明確だ。海外で販売されている7代目アウトバックは、180hpを発生する2.5L水平対向4気筒自然吸気エンジンを主力とし、260hpを発揮する2.4L水平対向4気筒ターボも設定。スバル伝統のシンメトリカルAWDとCVTを組み合わせ、オンロード性能と悪路走破性を高次元で両立している。

対するトレイルシーカーは、前後にモーターを配置するデュアルモーターAWDを採用し、システム最高出力380PSを発揮する。また、前輪をモーターで駆動するFWDモデルも用意されている。大容量バッテリーによる低重心化やEVならではの静粛性、瞬時に最大トルクを発生するモーター特性により、従来のアウトバックとは異なる走りを実現した。

トレイルシーカーはトヨタとの共同開発車というイメージが強いものの、走行性能や四輪駆動制御についてはスバルが主体となって開発を進めたとされる。前後モーターを緻密に制御するAWDシステムには、同社が長年培ってきた四輪駆動技術が惜しみなく投入されている。

では、トレイルシーカーはアウトバックの後継と言えるのだろうか。

商品コンセプトには共通点があるものの、トレイルシーカーはアウトバックをそのままEVへ置き換えたモデルではない。むしろ、スバルが電動化時代に向けて新たに提案するクロスオーバーSUVという位置付けが適切だろう。

現時点でスバルは、7代目アウトバックの日本導入について正式な発表を行っていない。一方で、新型アウトバックの生産体制を日本へ移管する計画のようで、国内導入を期待する声も聞かれる。ただし、現段階では正式なアナウンスはなく、日本市場への投入を断定できる状況ではない。

少なくとも現時点で言えるのは、アウトバックとトレイルシーカーは「入れ替わる」関係ではなく、それぞれ異なる役割を担うモデルだということだ。アウトバックは水平対向エンジンを搭載するロングツアラーとして、トレイルシーカーはBEV時代の新たなクロスオーバーとして進化していく可能性が高い。

今後、日本市場でアウトバックが再びラインアップに加わるのか、それともトレイルシーカーが新たなスバルの顔となるのか。その答えは、電動化を進めるスバルの今後の商品戦略によって明らかになるだろう。