まずは編集部よりひと言。これ「アエロックス」って呼ぶんです

ヤマハの発表やモトチャンプの記事を読んで、「あれ? エアロックスじゃないの?」と思った人もいるかもしれない。

実は今回、ヤマハは国内導入にあたり、日本語表記を「アエロックス」とした。車名そのものは昔から変わらず「AEROX」だが、メーカー公式ではこの表記で統一されている。

我々『モトチャンプ』も、これまで歴代モデルは「エアロックス」と表記してきたので、正直言って「噓でしょ……」な気分ではある(笑)。

とはいえ、メーカーが正式に「アエロックス」と定めた以上、本記事でも公式表記に合わせることにした。長年親しんできた読者の皆さんと一緒に、編集部もしばらくは「アエロックス」と言い慣れる練習をしたいと思う。なぜそうなったかは下の記事でどーぞ!

ヤマハの新型AEROX155は「エアロックス」じゃない!? 「アエロックス」派との呼び方闘争に決着をつける!【大阪モーターサイクルショー2026】 | Motor Fan|自動車情報のモーターファン

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AEROX最大の武器は電子制御CVT「YECVT」。NMAXとは違う専用セッティングを採用

小型LEDプロジェクターヘッドライトと鋭いLEDポジションランプを組み合わせたフロントマスク。スーパースポーツを思わせる精悍なデザインもAEROXの魅力だ。

さて、AEROX最大のトピックと言えば、やはり電子制御CVT「YECVT(Yamaha Electric Continuously Variable Transmission)」だろう。

国内ではNMAX155に続く2車種目の採用となるが、AEROXは単なる「YECVT搭載車」では終わらない。開発陣が目指したのは、スクーターでありながらライダーが積極的に走りへ関われる、新しいスポーツスクーターだった。

一般的なCVTは、アクセル開度や車速に応じて自動で最適な変速比を選択する。そのため扱いやすい反面、「変速はバイク任せ」という感覚になりやすい。

一方、YECVTは電子制御アクチュエーターによって変速比を積極的にコントロール。ライダーの操作に合わせてエンジン回転を変化させることで、加速や減速をよりダイレクトに演出し、マニュアル車のような”操る楽しさ”を生み出している。

しかし、開発陣は「NMAX155と同じ制御ではAEROXらしさは表現できない」と判断した。

開発初期にはNMAX155用の制御を流用する案もあったという。しかし、「スーパースポーツバイクに最も近いスクーター」というコンセプトを掲げる以上、もっとスポーティなキャラクターが必要だった。商品企画担当も交えて何度も議論を重ね、膨大な工数をかけてAEROX専用の制御プログラムを新たに作り上げたのである。

通勤や街乗りの実用性と、ワインディングでのスポーツライディングを両立。「スーパースポーツバイクに最も近いスクーター」というコンセプトを体現した一台だ。

狙ったのは最高速ではなく、「アクセルを開けるたびに楽しい」と思える走り

AEROX専用セッティングで開発陣がこだわったのは、最高速やカタログスペックではない。

むしろ重視したのは、市街地で最も多用する30km/h前後からの再加速だった。

例えば信号待ちからの発進や、幹線道路での追い越し。アクセルを開けた瞬間、エンジン回転を積極的に引き上げることで、ライダーの意思にダイレクトに応える加速フィールを追求したという。さらにSHIFTボタンを押した際も、NMAX155以上に高回転を維持する制御とし、減速時にはエンジンブレーキも効きやすく設定。開発者は「よりアグレッシブでエモーショナルな高揚感を味わえるセッティング」と説明している。

つまりAEROXが目指したのは、最高速を競うスクーターではない。

アクセルを開けるたびにワクワクし、交差点を曲がるだけでも思わず笑顔になるような、スポーツバイクなら当たり前だった”操る楽しさ”をスクーターで実現することだったのである。

NMAX155でも高い評価。「CVTの常識が変わる」走りとは?

実際、このYECVTの面白さは、すでにNMAX155の試乗でも高く評価されている。

モトチャンプで試乗した二輪ジャーナリストの中村友彦氏は、「Tモード」と「Sモード」では、まるで別のバイクに乗り換えたようにキャラクターが変わるとレポートしている。

YECVTには扱いやすさを重視した「Tモード」と、レスポンスを高めた「Sモード」を用意。走行シーンに合わせてキャラクターを切り替えられる。

街中ではTモードの滑らかさが際立ち、アクセル操作も穏やか。一方でSモードへ切り替えると、エンジン回転を積極的に使った鋭いレスポンスへ変化し、コーナーの立ち上がりでは排気量がワンランク上がったかのような力強い加速感を味わえたという。

ハンドル左側のスイッチボックスにあるシフトスイッチ(Y-Shiftボタン)。エンジンブレーキ的に加速特性を3段階調整可能だ。

さらにSHIFTボタンを使うと印象はさらに変わる。減速時には自然なエンジンブレーキが生まれ、コーナーへ向けた姿勢づくりがしやすくなる。一般的なCVTスクーターでは味わえなかった「走りを組み立てる楽しさ」が生まれる点こそ、YECVT最大の魅力だと評価している。

もちろん、AEROXではその制御がさらにスポーツ寄りへと磨き込まれている。専用セッティングによって30km/h付近からの再加速性能やSHIFT操作時のフィーリングを高めていることを考えれば、中村氏が体感した以上にスポーティなキャラクターへ仕上がっていることが期待できそうだ。

これまでのスクーターは、「アクセルを開ければ走る乗り物」だった。しかしYECVTは、「アクセルをどう開けるか」「どこで減速するか」という、スポーツバイクでは当たり前だった”ライダーが走りを組み立てる楽しさ”をスクーターへ持ち込んだ技術と言える。AEROXは、その面白さをもっとも味わえるために生まれたモデルなのだ。

YECVTだけじゃない。155ccエンジンもトップクラスの完成度

電子制御CVT「YECVT」を組み込んだ155cc水冷BLUE COREエンジン。AEROXでは専用セッティングが施され、NMAX155とは異なるスポーティな走りを実現した。

YECVTばかりに注目が集まりがちだが、その土台となる155ccエンジンも非常に完成度が高い。

搭載されるのは、水冷155cc単気筒「BLUE CORE」エンジン。可変バルブ機構「VVA(Variable Valve Actuation)」を採用し、低回転域では扱いやすいトルク、高回転域ではスポーツモデルらしい伸びのある加速を両立している。開発陣も「発進から交通の流れに乗るハイペースな走行まで、全域で気持ちよく走れる特性を目指した」と説明している。

可変バルブ機構「VVA」を採用。低回転域では扱いやすいトルク、高回転域では伸びのあるパワーを発揮し、市街地からワインディングまで気持ちよく走れる特性を実現する。

さらに、静かな始動を実現するSMG(スマートモータージェネレーター)、アイドリングストップ機構、トラクションコントロールを標準装備。鍛造ピストンやオフセットシリンダー、ローラーロッカーアームなどフリクション低減技術も採用するなど、155ccスクーターとしてはトップクラスと言えるメカニズムが惜しみなく投入されている。

AEROXは、電子制御だけで走りを演出しているわけではない。高効率なBLUE COREエンジンと専用セッティングのYECVTを組み合わせることで、日常での扱いやすさとスポーツライディングの高揚感を高いレベルで両立した、新世代のスポーツスクーターなのである。


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