連載

西川淳の自動車1Weekダイアリー

クルマが持つ2つの役割

自動車趣味ライター、などと自称している。自動車趣味を中心に書き連ねる、という意味ももちろんあるのだけれど、実はもう少し深い理由もあるので、せっかくだから初めて開陳してみよう。まず前提として、クルマには「趣味と実用」という2つの性格がある、と常日頃から思っている。実用とは、クルマの本質である「人と荷物を速く遠くへ運ぶ」という目的に適うことで、つまりは移動のツールだ。とにかくゴールに到着さえすれば役目は終わる。一方、クルマにおける趣味とは、プロセスを楽しむこと。場合によっては走らなくてもいい。眺めている間、運転している間に幸せを感じること、だ。当然ながら両方を兼ね備えたクルマもあって、たとえば「ポルシェ 911」などはその最たる例だろう。

もっともその区分けは人によってさまざまで、毎日の通勤に使う軽自動車だって人によってはペットのように可愛がり、装飾し、掃除を欠かさず、大事にしている方も多い。実用と趣味をバランスよく楽しんでいる方だって少なくないのだ。ところが最近、性能や機能が充実した結果、クルマの道具化が激しくなった気がする。街ゆく日常のクルマとドライバーを見ていると、その乗り方や扱い方に愛情のかけらもない事例に事欠かない。運転中に携帯を見たり、弁当を食べたり、自動運転で居眠りしたりする。趣味性のかけらも感じない。クルマに自分なりの趣味を取り入れること。それはとりも直さず、愛車を丁寧に扱うことであり、結果的に安全運転へつながるはずだ。そういう願いも込めて、“自動車趣味”を常に意識するライターでありたいと思っている。

2026年7月第3週

2026年7月11日(土)晴れ

フェラーリのF1を所有する石川さん(右)と。
フェラーリのF1を所有する石川さん(右)と。

グッドウッド「フェスティバル・オブ・スピード」を観戦、否、取材に。クルマで15分という場所に泊まっていたけれど、さすがは土曜のGWだ、1時間くらいかかった。会場に入ってみれば、雲ひとつない目の覚めるような青空にシンガーが3台、「飛んでいる」。このモニュメントにはいつ見ても感動する。まずは招待してくれたアルピーヌのブースへ。昨日、日本話で盛り上がったマッシモとモーニングトーク。コースサイドに移動してしばし観戦。そのあとはマクラーレンやランボルギーニ、フェラーリなど主だったブースを見学、なかでもシンガーブースでは展示車両を1台ずつ解説してもらった。フラットヘッド、最高。日本車や日本人の活躍も再び目立ってきた。特にドリフト人気は凄まじい。ドリフトと痛車は日本が産んだ独自の文化だ、というのも持論。新たな文化は模倣から生まれるものなのだ。フェラーリのF1を所有する石川さんにも会うことができた。今回はマラネッロの招待でF1を走らせた。ミドハースト泊。

2026年7月12日(日)曇り

早朝、FoSには向かわずヒースロー空港へ。フランクフルト経由でトリエステへ向かう。ところがここでハプニング。フランクフルト空港で乗り継ぎに失敗したのだ。原因は最近とみにひどい入国審査。英国はEUから脱退したので、パスコンとセキュリティの通過が必要だ。乗り継ぎ時間は90分で、余裕とまでは言わないけれど大丈夫なはずだった。ところがパスコンの前には絶望的に長い列が! 数百人は待っている。途中から「時間のない人レーン」も使って、なんとか荷物検査へ。鈍臭いおっさんが前にいて、時間を食う。走ってゲートに辿り着くも、おそらく5分か10分遅れでアウト。8時間後の便に振り替えられた。トリエステのホテルには夜中に到着。マセラティのプレスカンファレンスに間に合わず、就寝。

2026年7月13日(月)晴れ

イタリア統一広場に並ぶ新型「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」。
イタリア統一広場に並ぶ新型「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」。
初のスロベニア入国。
初のスロベニア入国。

イタリア統一広場には新型「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」が並んでいた。午前中にこの2台を試乗し、午後からは新型「グレカーレ」をテストする。マイナーチェンジで前後のデザインが大きく変わった。果たしてその中身も熟成が進んでいた。特にグランカブリオがいい。絶対的なパフォーマンスも上がっている。トリエステというと、実は“イタリア”になってまだ日の浅い地域だ。元はハプスブルグ家の海の玄関だった。だからか、街にはイタリアとはまた違った雰囲気が漂っている。ちょっとトリノにも似ていると思った。初めてのスロベニア体験も果たす(試乗コース)。トリエステ泊。

2026年7月14日(火)晴れ

トリエステにて。
トリエステにて。

午前中は街の散歩ののち、ホテルでゆっくり過ごす(といっても原稿を書くということなのだけれど)。午後から移動。帰りも再びフランクフルト乗り継ぎで羽田である。乗り継ぎ時間は4時間。楽勝だと思っていたら、なんとフランクフルト上空の天候が最悪で、フランクフルト発のトリエステ行きの出発が遅れ、折り返して私が乗ったフランクフルト行きも到着が遅れた。結果的には乗り継ぎ、90分。ラウンジで過ごす時間はあったものの、またしてもヒヤッとした。機内泊。

2026年7月15日(水)晴れ

モーガン スーパースポーツ
モーガン スーパースポーツ

羽田空港に夕方着。そのまま目黒に移動し、某編集部で「モーガン スーパースポーツ」を受け取り、西へ。グッドウッドで前モーガンCEOのマッシモと話をしたばかり。なんたる奇遇。スーパースポーツはメーカー自身のレストモッドのようなもの。乗ると、クルマ好きがレストモッドに惹かれる理由がよくわかる。安心してクラシックな味わいを楽しむことができるのだから。大いにありだと思うし、注目度も高かった。23時に京都着。街中は祇園祭前祭の巡行を前に夜中でも賑わっていた。

2026年7月16日(木)晴れ

午前中に京都市内で打ち合わせを1件済ませたのち、山鉾まちへ。前祭で巡航する山と鉾を見学。あまりの暑さに早々に帰宅。

2026年7月17日(金)晴れ

祇園祭のハイライト、17日の前祭巡行にて。
祇園祭のハイライト、17日の前祭巡行にて。

7月の1ヵ月を使って催される祇園祭。ハイライトは17日の前祭巡行だろう。参加される皆様には申し訳ないくらいの快晴で、こちらは見にいく気にもなれずテレビでじっくり自宅観覧。ところが我が家のリビングのクーラーの調子がおかしくなった。とうとう室外機が根を上げたか? 久しぶりの休養日だったが、鋭気を養うどころか、暑さで鈍ってしまったようだ。

2026 7/11〜2026 7/17

走行距離 約800km 試乗車数 4台

2025 11/1〜2026 7/17累計

走行距離 約4万1500km 試乗車台数 166台

連載 西川淳の自動車1Weekダイアリー

グッドウッド「フェスティバル・オブ・スピード」の名物モニュメント。
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自動車趣味ライターを自称する理由とグッドウッドの話【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.36】

フェラーリ 849テスタロッサ スパイダー
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業界人コラム 2026.07.18

「849テスタロッサ スパイダー」に乗りにテネリフェに【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.35】

スパークギャラリーにて
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和製EV2台に自動車メーカーそれぞれが持つ矜持を見た【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.34】