部品搬送やエンジン組み立て、溶接などの工程への投入を想定
三菱自動車が、自動車生産の未来を見据えた新たな一歩を踏み出した。

同社は東京大学発スタートアップのHighlanders(ハイランダーズ)と共同で、自動車工場向けヒューマノイド(人型)ロボットの開発・生産を進めることを発表した。生産拠点は京都工場とされ、早ければ2027年にも量産を開始し、将来的には月産1000体規模を目指す計画だ。
近年、自動車業界ではEVやSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の開発競争が注目を集めているが、もうひとつ大きな変革が進んでいる。それが「クルマをどうつくるか」という生産技術の進化である。

人と協働する次世代ロボット
開発されるヒューマノイドロボットは、部品搬送やエンジン組み立て、溶接などの工程への投入を想定している。AIを活用し、人と同じ作業空間で協働できるよう設計されることから、従来の産業用ロボットでは対応が難しかった柔軟な作業への活用も期待されている。
現時点で、新型パジェロや次世代デリカD:5など、具体的な車種の生産ラインへの導入は発表されていない。しかし、人型ロボットの実用化が進めば、将来的にはこうした新型車の組み立てを人とロボットが協力して行なう生産ラインが実現する可能性もある。

「ロボットを使う側」から「つくる側」へ
今回の取り組みで興味深いのは、三菱自動車がロボットのユーザーではなく、開発・生産にも関わる点である。Highlandersと共同開発を進め、京都工場の空き建屋を活用して組み立てまで行なう計画で、量産体制が整えば将来的には他メーカーへの供給も視野に入れているという。
背景には、日本の製造業全体が直面する深刻な人手不足がある。熟練技能者の高齢化や若年層の労働力不足が課題となるなか、自動車メーカー各社は生産ラインの自動化を加速させている。
もっとも、三菱自動車が目指しているのは、人をロボットへ置き換えることではない。同社は「人とロボットが協働する生産現場」の実現を掲げており、生産効率と品質の向上を両立する新しい工場づくりを目指している。
世界で進む「工場の進化」
ヒューマノイドロボットの活用は世界でも活発化している。テスラは「Optimus」の開発を進め、BMWも工場でヒューマノイドロボットの実証実験を開始している。一方、三菱自動車のようにロボットの共同開発から国内量産まで踏み込む取り組みは珍しく、日本の製造業における新たな挑戦として注目される。
当初は部品搬送や組み立てなど限定的な工程での活用が想定されるが、実績を積み重ねれば溶接や物流など、さらに幅広い工程へ活躍の場が広がる可能性もある。
自動車メーカーの競争は、「どんなクルマをつくるか」だけでなく、「どうつくるか」を競う時代へと移りつつある。今回のプロジェクトは、三菱自動車が目指す次世代のモノづくりを象徴する取り組みとして、今後の展開にも注目が集まりそうだ。




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