シリーズハイブリッドでは、エンジンが発電機として断続的・可変的に作動するため、路面騒音とエンジン騒音の両方を制御できるシステムは存在しなかった。路面騒音とエンジン騒音は周波数特性が異なるため、一般的にそれぞれ専用の制御システムが必要になるからだ。
パナソニックオートモーティブシステムズの新しいANCシステムは、広い周波数範囲にわたって両方をリアルタイムで同時に制御することで、路面状況や走行条件の変化を検知して対応し、車内をより静かに保てるのが特長。従来の「エンジン音だけを狙うANC」と「ロードノイズを抑えるANC」を単純に分けるのではなく、両者を単一システムでリアルタイム制御するところがポイントである。
日産・新型エルグランドのX/Gグレードの標準オーディオシステムに採用され、量産車への初搭載となった。
技術の仕組み・新規性
車体各所の加速度センサーで、キャビン内騒音と相関の高い振動を検出。そこから発生する騒音を予測し、スピーカーから逆位相音を出して打ち消す。
従来のエンジンANCは主として200Hz以下の低周波を狙った狭帯域制御。今回のシステムでは、加速度センサーを利用した制御とオーディオシステムを統合し、道路騒音とエンジン騒音を広帯域で同時制御するのがユニークなポイント。「エンジンがうるさいからANC」という単純な話ではなく、シリーズハイブリッド特有の“エンジン運転状態が車速と一致しない”騒音環境を、車体振動→音響系まで含めてどう制御するか、という視点に立った技術といえよう。

パナソニックオートモーティブシステムズのエンジニアは、車両開発の初期段階から参画し、各車両固有の音響特性、車体振動特性、スピーカー特性を包括的に分析。加速度計やマイクロフォンの最適な配置、そして適切な制御システム設計を提案する。この車両固有のチューニングにより、幅広い走行環境において安定した騒音低減性能を実現できる。また、車両構造やパワートレイン構成の違いにも柔軟に対応できるソリューションとして、自動車メーカーに設計の自由度を高めるメリットも提供するという。
エンジン回転数と車速が同期しないe-POWER系だからこそ、従来型のエンジンANCでは足りないというニーズに高度に対応した技術とした。
