2.4L直に高出力モーターを組み合わせたPHEV、あるいは高性能ハイブリッドか
三菱自動車を代表する高性能モデル「ランサーエボリューション」。2015年の「ランサーエボリューション ファイナルエディション」を最後に、その歴史はいったん途絶えている。

それから10年以上。もしランエボが「XI」として復活するとすれば、どのようなモデルになるのだろうか。
現時点で三菱自動車が「ランサーエボリューションXI」の開発や発売を正式発表した事実はない。しかし、ランエボを生んだ三菱独自の四輪制御技術は消滅したわけではない。むしろ電動化によって、新たな領域へ進化している。

ランサーエボリューションは1992年に初代が誕生。WRC(世界ラリー選手権)で培った技術を投入し、高性能ターボエンジンと4WDを武器に進化を重ねた。2015年にファイナルエディションが登場するまで、10世代にわたって三菱のスポーツイメージを牽引した。
では、11代目が実現するとすれば何が最大の武器になるのか。
そのヒントとなるのが「S-AWC(Super-All Wheel Control)」である。
ランサーエボリューションXにも採用されたS-AWCは、4輪の駆動力や制動力などを統合制御し、高い旋回性能と走行安定性を引き出す三菱独自の車両運動統合制御技術だ。
そしてランエボが姿を消した後も、この思想は進化を続けた。
現在のアウトランダーPHEVでは、前後それぞれに独立した駆動用モーターを配置するツインモーター4WDとS-AWCを組み合わせている。モーターの高い応答性を生かして前後の駆動力を緻密に配分し、左右輪の制御まで組み合わせることで車両運動を統合的にコントロールする。
つまり、かつてランエボで磨いた四輪制御の思想が電動化によってさらに進化しているわけだ。
ならば、この技術を再び高性能スポーツへ投入するというシナリオも考えられる。
次期ランエボXIが実現するなら、従来の2.0リットル直列4気筒ターボをそのまま進化させるのではなく、電動化されたパワートレインが有力だろう。
予想されるのは、2.4リットル級直列4気筒エンジンに高出力モーターを組み合わせたPHEV、あるいは高性能ハイブリッドである。
システム最高出力は400〜450ps程度と予想
重要なのは絶対的な最高出力だけではない。前後モーターによる瞬時のトルク配分と進化したS-AWCを組み合わせれば、歴代ランエボが得意としてきた「曲がる4WD」を電動化時代の技術で再構築できる。
電動化による重量増は避けられないが、モーターは1000分の1秒単位でトルクを制御できると三菱は説明している。 この応答性を利用すれば、単純な軽さとは異なる方法で高い旋回性能を狙えるだろう。
そこで今回、次期「ランエボXI」をイメージした予想CGを制作した。
フロントには三菱の最新デザインを意識したシャープなLEDヘッドライトと縦型LEDデイタイムランニングライトを配置。大型ブラックグリルとエアインテークを組み合わせ、冷却性能の高さを想起させる顔つきとした。
ボディは4ドアセダンを基本としながら、前後フェンダーを大きく張り出させ、ワイド&ローのスタンスを強調。大型リアウイング、フロントスポイラー、ブラックホイール、大径ブレーキなどを組み合わせ、歴代ランエボが持っていたラリーカー直系の迫力を現代的に表現している。
市販化されるなら、アルミ製ボディパネルやCFRPパーツなどを使った軽量化も重要になる。PHEV化による重量増をどこまで抑えられるかは、“電動ランエボ”を成立させるうえで大きな課題となるだろう。
現在、国産高性能4WDではトヨタ「GRカローラ」やスバル「WRX」などが存在する。しかし三菱がPHEVとS-AWCを全面に押し出せば、それらとは異なる「電動高性能4WD」という独自のポジションを築くことができる。
もちろん、ここまでのランエボXI像は、現在の三菱が持つ技術や商品展開から導き出した予想である。
それでも、ランエボから発展してきた四輪制御技術は消えることなく、現在のアウトランダーPHEVで電動化と融合して進化を続けている。
もし「ランサーエボリューション」が再び三菱のラインアップへ戻る日が来るなら、それは過去のエボをそのまま再現するモデルではないだろう。



