660ccのツインが13Bターボ搭載FRマシンに大変身!
足回りのロードスター化も敢行!
コンパクトな軽自動車にロータリーエンジン(RE)と超ワイドフェンダーを組み合わせ、強烈なインパクトを放つカスタムカーを生み出し続ける郷田鈑金。シャンテ、キャロル、AZ-1と、マツダ車をベースにしたREカスタムを東京オートサロンで発表してきた同社が、今回新たな素材として選んだのがスズキ・ツインだ。

現在の軽自動車の中でも最小クラスとなるコンパクトなボディに、FC3Sから流用した13B-Tを搭載。さらにFR化を行い、お馴染みのワークスフェンダーで仕上げるという、まさに「郷田スタイル」を凝縮した一台である。完成が間近に迫った工場を訪ねた。
「作業を進めていたAZ-1用の部品待ちで時間が空いて、思わずツインを買っちゃったのが始まりです」と代表の駒場さん。

当初はFR化してサバンナ顔にする程度の「遊び」で終わる予定だった。しかし、車高を落とすためにリヤサスペンションをNA8ロードスターからメンバーごと移植することを決意。さらにエンジンルームを眺めていると、過去に製作したシャンテよりもスペースに余裕があることに気付いた。
それならばと構想は一気にエスカレート。NAロータリーではなく、FC3Sの13B-Tを搭載したターボ仕様へと方向転換した。実際、ツインのエンジンルームには純正エキゾーストマニホールドやタービンまで収めることができ、コンパクトな車体からは想像もつかないパワーユニットが鎮座することになった。

エンジン制御には、REチューンではお馴染みのアペックス・パワーFCを採用。FC3S用としてリニューアルされた現行モデルは、基板からマイコンまで現代のパーツで構成され、従来モデルから性能も向上しているという。


冷却系もターボ仕様に合わせて作り込まれる。インタークーラーは上置きとしてボンネット内に収め、フロントバンパーの開口部にはオイルクーラーを配置。ワークスフェンダーはスチールパネルをカットしてビス留めする昔ながらのスタイルで製作され、足元にはその雰囲気にマッチするスターロードのグロースターを組み合わせる。ヤンチャな旧車テイストと極小ボディの組み合わせも、このツインならではの見どころだ。

もちろん、エンジンを載せてFR化すれば終わりという単純な話ではない。リヤにはNA8ロードスターのサスメンバーを移植し、それを固定するためのフレームを新設。アッパーマウントも新たに製作され、デフやアーム類までロードスター用を流用する。

組み合わせるFC3S用ミッションはPPF構造ではないため、ロードスターのデフ側に残るPPFマウントはシャーシ側へ固定。さらにプロペラシャフトもロードスター純正をベースに、ツインのホイールベースに合わせて短縮加工したワンオフ品を用意するなど、駆動系を確実に支える強度にも抜かりはない。

FR化に伴い、ドライブシャフトを通すためにフロアを切り抜き、センタートンネルも新設。そのカバーには、駒場さんの息子さんが製作した「TWIN」の文字をエンボス加工で入れるなど、機能だけでなく遊び心もしっかり盛り込まれている。

また、ツイン純正のクラッチはワイヤー式だが、FC3S用ミッションは油圧式。そのため、純正クラッチペダルをベースに油圧マスターを追加し、ミッションに合わせた作動方式へと変更されている。

そして、郷田鈑金が製作する以上、見た目だけのショーカーで終わらせるつもりはない。今回も最終目標は公認を取得して公道を走らせること。そのため、構造変更を見据えながら、強度を確保した作り込みが徹底されている。現在はFC3Sの13B-Tを搭載しているが、最終的には排ガス規制への対応を考え、RX-8用エンジンへの積み替えも予定しているという。
「本業は地域密着の鈑金塗装ですが、こういう遊び心も大切。真面目にやるばかりじゃなく、楽しみながら手を動かすのがモットーです。これまでオートサロンに出したクルマも、全部休日や時間外の『楽しい課外活動』として作ってきました(笑)」と駒場さん。

近年の東京オートサロンではロータリーエキジビショングループにも参加し、異彩を放つ郷田鈑金。しかし、その正体は地域に根差した真面目な大型鈑金整備工場であり、一連の仰天マシンは、駒場さんが時間外に楽しみながら作り上げているものだったりする。
とはいえ、プロが手掛けるからには「遊び」であっても手抜きは一切なし。13Bターボを積み、ロードスターの足回りでFR化し、さらに公認取得まで狙う。サーキットでもストリートでも本領を発揮する、郷田流のロータリーツインが走り出す日はもう目前だ。
●取材協力:郷田鈑金 長野県岡谷市郷田2-1-37 TEL:0266-23-2937
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