新型N-BOXカスタムは全方位スキのない仕上がり

新型N-BOXカスタムはメッキパーツの面積が増えたことでアグレッシブな印象がさらに強まっている。リヤバンパーは無塗装樹脂パーツを廃し、カラード仕上げとメッキパーツによってまとめられているうえ、現行型で廃止されたリヤウィンドウ下のメッキガーニッシュも復活した。

上級グレードのコーディネートスタイルを選べば、これらのメッキパーツはブラッククローム仕上げとなるため、選択するボディカラー次第では強烈なアクセントとなりうる。

ヘッドライトのデザインに変更はないが、左右の灯体をつなぐように配置されたLEDライトはスモール連動から常時点灯へと変更され、リヤコンビランプも意匠変更されたうえで常時点灯化された。

旧型の基本造形は標準モデルと共通であったことから、カスタムモデルならではの特別感が薄い印象が拭えなかった。一方、ライバルのスペーシアカスタムのフロントフェイスは標準モデルと同じクルマとは思えないほどの違いが与えられている。N-BOXカスタムは今回のマイナーチェンジで、スペーシアカスタムに劣らない存在感と特別感を手に入れた。

内装の基本造形こそ変わっていないものの、新型N-BOXカスタムはエアコン吹き出し口とドアオープナーに装飾が追加され、アンビエントライトはアンバーからブルーへと変更。コーディネートスタイルとターボモデルではシフトパネルにもシルバーの装飾が加えられる。

室内寸法に変化はなく後席の広さはスペーシアとほぼ同等だ。より正確には、後席の膝まわりはN-BOXカスタムが拳1つ分ほど広く、反対に頭上はスペーシアの方が拳1つ分広いが、後席はどちらも十分に広いため購入を左右する要素とはならないだろう。

両車の大きな違いは車内の機能性だ。スペーシアカスタムの後席には荷物ストッパー兼オットマンシートの“マルチユースフラップ”が備わるうえ、室内温度の偏りを防いでくれる天井のサーキュレーターも備わる。

さらにスペーシアカスタムは助手席の背もたれを水平位置まで前へ倒せるうえ、助手席下には着脱可能なシートアンダーボックスも備わっており、日常用途からアウトドア、車中泊まで大活躍する。N-BOXカスタムの特徴的な機能装備である後席のチップアップ機構も便利ではあるが用途は限定されがちだ。

機能性ではスペーシアカスタムが圧倒的に勝る。ただし、スペーシアカスタムの後席に備わるUSB端子はシート右側に設置されておりやや使いづらい。

新型N-BOXカスタムは、2口のUSB端子がアクセス性のよいリヤセンターコンソールに標準装備となったほか、前席背面にシートポケットも追加されるなど、使い勝手の面でも進化した。

ホンダ N-BOX カスタム
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1790mm
ホイールベース=2520mm
車両重量=920kg
タイヤサイズ=155/65R14(前後)

スズキ スペーシア HYBRID XS
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1785mm
ホイールベース=2460mm
車両重量=910kg
タイヤサイズ=165/55R15(前後)

燃費はスペーシアカスタムが圧勝! N-BOXカスタムは静粛性がさらに向上

今回の改良ではパワートレインには一切の変更は加えられていない。N-BOXカスタムの自然吸気エンジンモデルには引き続きバルブタイミングおよびバルブリフト量までを可変させる“i-VTEC”が搭載されており、低回転域のトルクを増強しつつ高回転まで淀みなく回る。

対するスペーシアカスタムの自然吸気エンジンモデルは、マイルドハイブリッドシステムが搭載されており、エンジンスペックでこそN-BOXカスタムに劣るものの、最大トルク40Nmのモーターによる加速アシストが特徴だ。

両車のWLTCモード平均燃費は、N-BOXカスタムが21.3km/L(カスタムベースグレード)で、スペーシアカスタムは23.9km/L(ハイブリッドXS)となる。燃費性能は全速度域でスペーシアカスタムの方が優れており、とくにモーターアシストの恩恵を受けやすい市街地燃費はN-BOXカスタムに3.7km/Lもの差を付けている。

こうした傾向はターボモデル同士でも変わらない。ターボエンジンのスペックではわずかにN-BOXカスタムの方が優れるが、スペーシアのターボモデルはアシストモーターの最大トルクが50Nmに引き上げられており、瞬間的な加速力ではマイルドハイブリッドのスペーシアカスタムが優位に立つ。なお、ターボモデルのWLTCモード平均燃費はN-BOXカスタムが20.0km/L、スペーシアカスタムが21.9km/Lだ。

発進加速性能と燃費性能はスペーシアカスタムがN-BOXを圧倒する。一方、N-BOXカスタムがスペーシアに対してアドバンテージを持つシーンは絶対的なエンジンパワーがものを言う高速道路での合流時や追い越し加速時だ。

また、N-BOXカスタムは改良でフロアに制振材を追加し、振動と走行ノイズを抑制することで持ち前の上質感がさらに高められている。

N-BOXに追いつけ追い越せと、スペーシアカスタムも3代目でシャシー性能や静粛性が大きく改善されたが、ボディ剛性や各主要部品の取付剛性といった細部の作り込みでN-BOXに及ばない。とくに高速走行時は大きな外力が加わるうえ、振動や騒音も車内にこもりやすいため高い速度域こそ両車の違いが顕著に感じ取れるはずだ。

ホンダ N-BOX カスタム
エンジン形式=直列3気筒ガソリンエンジン
排気量=658cc
最高出力=58ps/7300rpm
最大トルク=65Nm/4800rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)

スズキ スペーシア HYBRID XS
エンジン形式=直列3気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=657cc
最高出力=49ps/6500rpm
最大トルク=58Nm/5000rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)

N-BOXカスタムは約7万円値上げ! 価格はスペーシアカスタムに並ぶが…

新型N-BOXカスタムのベースグレードの新車価格は199万4300円だ。今回のマイナーチェンジでは標準モデルが約3万円、カスタムモデルのベースグレードが約7万円値上げされており、価格はスペーシア カスタム“HYBRID XS”の199万5400円に並んだ。

ただし、N-BOXカスタムを購入する際には装備に注意が必要だ。N-BOXカスタムのベースグレードは本革巻きのステアリングやシフトレバーが備わらず、改良で新設定されたステアリングヒーターも備わらない。フロントアームレストもオプション扱いとなるうえ2トーンカラーも選べず、右側スライドドアもナビとのセットとなる30万円近い高額オプションだ。

N-BOXカスタムでこうした装備を求めるなら、“コーディネートスタイル”(248万1600円〜)もしくは、ターボモデル(243万6500円〜)を選ばなくてはならない。

一方のスペーシアカスタムは、以上の装備がすべて標準で備わっている。クルマの周囲を見渡せる全方位モニター付きのコネクト対応ナビはスペーシアカスタムもオプションだが、追加費用は幾分安い19万5800円だ。

N-BOXカスタムのベースグレードは本体価格こそスペーシアカスタムの値段に並ぶが、同等の装備を整えようとするとN-BOXカスタムの方が20万円以上も高額になる。

しかし、カスタムモデルに求められる性能は実用性やコスパだけではない。標準モデルならいざ知らず、カスタムモデルに重要なのは特別感だ。今回の改良で外観を変更したのは、カスタムモデルらしい特別感を補強するためであろう。値上げに対するユーザーの反発感を抑える意図もあったかもしれない。

N-BOXカスタムの上位グレードはナビが標準装備となったことで30万円ほど価格が上昇しているが、ナビの価格を差し引くと、実は改良内容に対しての実質的な値上げ幅はそれほど大きくない。

外観の好き嫌いはあるだろうが、エクステリアデザインが大きく変更されたことでN-BOXカスタムの特別感は確実に増している。静粛性の向上も図られた新型N-BOXカスタムは、スペーシアカスタムに対して総合力で一歩差を広げたと評価してもいいはずだ。

車両本体価格

ホンダ N-BOX カスタム:199万4300円

スズキ スペーシア HYBRID XS:199万5400円