ダイハツが「コペン」の生産終了を発表したことで、OEMモデルであるトヨタ「コペン GR SPORT」も販売終了を迎える見通しとなった。軽スポーツカーという限られたカテゴリーの中でも独自の存在感を放ってきた1台だけに、その終幕を惜しむ声は少なくない。

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ダイハツ コペン 生産終了イベント

そんななか、海外ではこのタイミングでコペン GR SPORTの魅力をあらためて評価する動きも見られる。絶対的な性能ではなく、「クルマを操る楽しさ」を追求したモデルとして、その価値を再認識する論調が目立つ。販売終了を目前に控えた今だからこそ、この小さなスポーツカーが残した足跡を振り返ってみたい。

ダイハツ コペン GR SPORT

コペン GR SPORTは2019年に登場した。ダイハツが開発した軽オープンスポーツ「コペン」をベースに、TOYOTA GAZOO Racingがシャシーやサスペンション、電動パワーステアリングなどに専用チューニングを施したOEMモデルである。エンジン自体に手は加えられていないが、走りの質を磨き上げることで、GRブランドらしいドライビングフィールを実現した。

ダイハツ コペン GR SPORT

最高出力は軽自動車自主規制上限となる64psのままである。しかし、このモデルの魅力はスペック表だけでは語れない。専用ブレースによるボディ剛性の最適化やGR専用サスペンション、さらに5速MT車にはスーパーLSDを装備するなど、限られたパワーを余すことなく引き出すための改良が数多く盛り込まれている。

ダイハツ コペン GR SPORT

海外メディアでも、こうした仕上がりは高く評価されている。高出力エンジンを搭載しなくても、軽量なボディと緻密に煮詰められたシャシーによって、ドライバーがクルマを思いどおりに操る楽しさを味わえるモデルだという評価である。近年は最高出力や0-100km/h加速といった数値が注目されがちだが、コペン GR SPORTはそれとは異なる価値を提示した1台だったといえる。

ダイハツ コペン GR SPORT

その魅力はパッケージングにもある。全長3395mm×全幅1475mmという軽自動車規格いっぱいのコンパクトなボディに、電動開閉式ハードトップ「アクティブトップ」を組み合わせたスタイルは、現在の新車市場では極めて希少な存在だ。ルーフを閉じればクーペのような安心感があり、ボタンひとつで本格的なオープンカーへ変身する手軽さも兼ね備えている。

ダイハツ コペン GR SPORT

近年は世界的にオープンカーそのものが減少しており、コンパクトなオープンスポーツというカテゴリーは年々貴重になっている。そうした時代だからこそ、軽量ボディ、小排気量ターボ、そしてオープンエアドライブを組み合わせたコペン GR SPORTの個性は、より際立って見えるようになった。

ダイハツ コペン GR SPORT

日本市場でも状況は同様である。ホンダ「S660」が2022年に生産を終えた現在、量販される軽オープンスポーツはコペンのみとなっている。その中でもコペン GR SPORTは、トヨタブランドで展開された唯一の軽スポーツモデルという特別な存在だった。GRヤリスやGRカローラ、GR86とは異なり、日常使いできるサイズや扱いやすい性能でスポーツドライビングを楽しめる点は、このモデルならではの魅力だったといえる。

ダイハツ コペン GR SPORT

もちろん、コペン GR SPORTの販売終了によってトヨタのスポーツカー戦略が終わるわけではない。しかし、「気軽にスポーツカーを楽しめるGR」という立ち位置を担うモデルが姿を消すことは、ラインアップにとって少なからず影響を与えるはずだ。

ダイハツ コペン GR SPORT

一方で、ダイハツでは次世代コペンの開発が進められているとの見方もあり、普通車化やFRレイアウトの採用なども取り沙汰されている。ただし、現時点で正式に発表された情報ではなく、今後の動向を見守る必要がある。

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仮に新世代モデルが登場したとしても、現行コペン GR SPORTが築き上げた価値は色あせない。販売終了を迎える今になって国内外であらためて注目を集めていること自体、このクルマが単なるOEMモデルではなく、「操る楽しさ」というGRブランドの原点を体現した存在だったことを物語っている。

ダイハツ コペン GR SPORT

今後は中古車市場でその価値が見直される可能性もある。軽オープンスポーツという希少性に加え、GRブランドならではの専用チューニングを備えたモデルとして、コペン GR SPORTはこれからも多くのファンに愛され続ける1台となりそうだ。