OUTFIELD「BREEZE BOX」(アウトフィールド「ブリーズボックス」)
メーカーの予想を大幅に超えて大ヒットを記録しているポータブルクーラーが、コロナのアウトドアブランド「OUTFIELD(アウトフィールド)」から登場した「BREEZE BOX(ブリーズボックス)」だ。今シーズンの販売は、すでに9月3日締め切りの第三回抽選分を残すのみとなっている。そんなレアともいえるアイテムを実機テスト。果たして車中泊で使った場合、どのような使い勝手だったのかをお伝えしていこう。


ブリーズボックスはコロナのノウハウを遺憾なく発揮して造られた新機軸のクーラー(メーカーはエアコンと呼称)だ。同製品は、窓用エアコンの構造を応用した「D.H.E.システム(デュアル熱交換システム)」を採用し、テント内を効率よく冷やすことを主目的としている。
ポータブルクーラーとなれば当然車内での使用を考えるユーザーは多く、同担当者によれば、車中泊目的で購入している人が予想以上にいるという。
車中泊の前にはキャンピングカーをクールダウンしておこう
前回の記事では設置までをお伝えしたが、いよいよ今回は使用編。その前に、筆者の体験やユーザーレポートからポータブルクーラーと車中泊の実情について少し触れたい。
日本の夏は年々変化しており、夜間でも30℃を下回らない熱帯夜が当たり前になってしまった。かつて車中泊派の間では、「熱帯夜は標高1000m以上の場所まで行けば凌げる」とされていた。しかし今や、そんな高地でも夜間30℃近くあるというケースが少なくないのである。
その状態で就寝すると、不快なだけではなく熱中症の危険も出てくる。そこでキャンピングカー業界を主体に世に広がっているのが「パーキングクーラー」だ。エンジンを始動させずに使えるクーラーで、様々なタイプが流通している。
とはいえ、車内に固定して設置するタイプは取り付け工事が大がかりで、穴開けなどの改造が必要となる。冷却性能は高いのだが、価格も高いというのもユーザーには悩みどころだ。そこで注目されているのが、車内に手軽に導入できる「ポータブルクーラー」というわけである。
しかし、ポータブルクーラーは導入が楽な一方で、バッテリーによる稼働時間の短さや冷却性能といった問題がある。真夏の炎天下の車内では十分な性能を発揮することは難しいし、夜になって使うにも外気が30℃近くあるとなかなか車内が冷えない。加えて、太陽熱でチンチンに熱くなったボディ、キャブオーバー車は運転席・助手席下のエンジンの熱が車内に入り込んで、ポータブルクーラーの冷却を妨げてしまうのである。
これはライフハックだが、バンコンバージョンのキャンピングカーや軽バンなどでポータブルクーラーを使う場合は、まずこうした“粗熱”を取るのがポイントだ。車体の熱は洗車機の水洗いでクールダウンできる。都市部だと洗車代は高いが、地方だと500円以下で水洗いができる。車体の熱取りと洗車で一石二鳥だ。
エンジンの熱取りは、まず運転席と助手席のシートを跳ね上げる。当然、車両の開口部はすべて開けておこう。その上で、シート開口部から扇風機などを使って強制空冷するのである。加えて、あらかじめクルマのエアコンで車内温度を下げておくというのも効果的だ。
このようにまず環境を整えてからポータブルクーラーを使うと、車内を効率よく冷やせて、サブバッテリーなどの省電力化につながる。
価格のわりに冷房性能は十分。ただし、車中泊での利用には注意点あり
今回は車両を動かしていないという条件を考えて、ボディの熱はそのままにした。テストが19時スタートだったので、ボディの蓄熱は大分少なくなっていた。とはいえ、触るとジンワリと熱を帯びていたのはたしかだ。
テスト開始時の外気温は26.6℃、車内温度は31℃。夜とはいえ、車内は相当暑い。ただ湿度は45%と低く、カラッとしている。

冷房効率をアップさせるため、まず遮光カーテンをすべて閉じた。ただし、ブリーズボックスを置いてある所だけ開放してある。冷却モードは最大(冷房2)、風量も最大(HIGH)に設定してテストをスタートした。


ブリーズボックスをONにしてから15分で、車内温度は28.1℃まで下がる。風はすごく冷たいというよりは、それなりに冷たいという実感だ。除湿効果は、この時点ではそれほど得られなかった。
テスト開始から約2時間が経過したところ、車内温度は24.6℃まで下がっていた。ただ、車外の気温は25℃ほどで空気の感じはむしろ外の方が冷たい。むしろ、換気扇を使って積極的に外気を車内に入れる方が涼しいかもしれない。湿度は人間が車内にいる分だけ上昇し、53%になっていた。とはいえ、上がった数値はわずかで車内で湿度を感じるということはなかった。

テストの印象を率直に言えば、期待値よりは低かったというのが本音。たしかに風が届く場所では涼しい。風量をMIDにすれば、風の冷たさはさらに上がる。しかし、本体に近いエリアは冷えた感じがあまりせず、本体後部はむしろ室温が高くなってしまった。これは、ポータブルクーラーの弱点といえる。

そもそも、ポータブルクーラーの理想的な設置方法は、本体を居住空間の外に分離するというものだ。本体後部からの輻射熱は、ブリーズボックスに限るものではない。車内に本体を置くと、冷たさと暑さが同居、まるで“矛盾”のような状況になってしまうのである。
できれば、RVパークのようなテーブルなどを置ける環境が望ましい。テーブルや台の上に本体を置き、ダクトホースを冷風側につけて車内に冷風を入れるという方法がベストなのである。もちろん、雨天はサイドオーニングがなければこうした方法は使えないのだが…。
ブリーズボックスはそもそもアウトドア用である。前室のあるテントなら、排熱側を居住スペースから出すことができる。そのため、排熱や輻射熱の影響は少ないのだ。
だが、価格のわりに冷房性能は十分備えていたし、約2時間の使用で1000Whのポータブル電源の残量は69%を保っていた。寝苦しい夜中にブリーズボックスを付ければ、明け方まで何とか稼働させることができそうだ。体感では作動音も比較的低く、筆者が所有するエコフローの「WAVE2」よりも静かに感じられた。アウトドア用としてのトータル性能を考えれば、十分に合格点といえる。

ただし、車中泊においては及第点といったところか。
とはいえ、ここで終わってしまうコロナではないと思う。これはあくまでも可能性だが、今後車中泊の知見を十分に集め、それを反映したポータブルクーラーが出る可能性は十分にある。
もし、すぐに購入できるとするなら、買ってもいいアイテムだと思う。ただし前述のとおり、置いてスイッチを入れるだけではだめだ。扇風機や換気を併用しながら、車内環境を整えつつ使用することが必要となるだろう。
| 製品名 | ポータブルエアコン BREEZE BOX(ブリーズボックス) |
| 型式 | PA-F85A |
| 価格 | 5万9800円 |
| 色相 | フィールドベージュ |
| 電源 | 単相100V(50Hz/60Hz) |
| 定格冷房能力※1 | 0.42kW(50Hz)/0.48kW(60Hz) |
| 最大冷風能力 | 800W(50Hz)/850W(60Hz)※2 |
| 最大吹き出し温度差 | マイナス10℃※3 |
| 冷風到達距離 | 約10m※4 |
| 消費電力※1 | 180W(50Hz)/200W(60Hz) |
| 始動電流 | 7A |
| 連続運転時間の目安 | 1000Whのポータブル電源で約5時間※5 |
| 運転音(音圧レベル) | 約40dB(風量LOW)※6/50dB(風量MID)※7 |
| 運転モード | 冷風/冷風・送風交互/送風 |
| 風量 | HIGH/MIDDLE/LOW(3段階) |
| 切タイマー | 1時間/2時間/4時間 |
| 使用可能温度・湿度 | 21〜43℃・湿度80%以下 |
| 外形寸法 | 高さ315mm(脚展開時+200mm)×幅264mm×奥行580mm(脚展開時+65mm) |
| 総質量 | 13.6kg(本体12.0kg、付属品1.6kg) |
| 電源コード長 | 3m |
| 付属品 | ダクト2本、ダクトアダプタ1個、排水ホース |
| 生産 | 設計から生産まで日本国内(新潟県) |
※1 室内27℃47%(RH)/室外35℃40%(RH)、風量MIDの時
※2 周囲環境40℃80%(RH)、風量HIGH(60Hz)の時
※3 周囲環境27℃60%(RH)、風量LOW(60Hz)の時
※4 風量HIGH、風速0.35m/sの風が届く範囲
※5 風量MID(60Hz)時。ポータブル電源の特性や充電状況、バッテリーの消耗具合、使用条件により変動
※6 風量LOWの場合(音圧レベル)
※7 本体正面1m・高さ0.8mでの測定(音圧レベル)、風量MIDの時

