後席の広さ、荷室の使い勝手ともにフィットの勝ち




改良新型ノートは、一部グレードの装備だった本革巻きステアリングの素材が高触感合成皮革のテーラーフィットに変わったほか、細かな装備品と価格が変更されている。新たに設定された“ブラックエディション”は内外装の各部をブラックの装飾でまとめたモデルだ。
外観はフロントグリルやドアミラー、エンブレムなどをブラック塗装でまとめ、車内の天井およびピラーの内張りもブラックへと変更することでシックな印象が強められている。“ピュアホワイトパール/ミッドナイトブラック”の2トーンボディカラーが選択できる点もブラックエディションの大きな特徴だ。
対するフィットは、7月のマイナーチェンジでグレード名が変更され、売れ筋グレードである”HOME”の名称は”Z”へと改められた。それに併せて、外観はスポーティグレードである“RS”と同じ形状のバンパーに変更されたうえで、内装もスポーティ3本スポークの本革巻きステアリングが装着されており、落ち着き感ではノートのブラックエディションに負けていない。
ノートとフィットは、ボディサイズや車内寸法も極めて近い。しかし、後席が広いのはフィットの方だ。ノートの後席もクラス平均以上の広さを備えているが、フィットの後席膝まわり空間はさらに拳1つぶん以上広く、後席にはセンターアームレストも備わる。一方、ノートの後席にはアームレストが備わらないが、フィットには装備されないリクライニング機構を備えている。
荷室寸法はノートの長さ690mm×幅1261mm×高さ840mmに対し、フィットは660mm×1150mm×870mm。荷室面積はノートの方がわずかに広いが、機能性ではセンタータンクレイアウトとダイブダウン式のリヤシート機構によってフラットに近い荷室になるフィットが勝る。
さらにフィットの荷室床下後方には14リットルの小物入れも備わるうえ、後席座面は持ち上げて背高な荷物を積み込めるチップアップ機構も備わる。対するノートも、オプションの“ラゲッジアンダーボックス”を追加すれば後席背もたれと荷室の段差をなくせるうえ、小物入れも使えるようになるが、価格は3万6300円と安くはない。
車内の居住性や荷室の使い勝手はフィットの方が圧倒的に高い。とはいえノートでも日常用途において困るシーンは少ないはずだ。
日産 ノート X Black Edition
ボディサイズ=全長4045mm×全幅1695mm×全高1520mm
ホイールベース=2580mm
車両重量=1230kg
タイヤサイズ=185/60R16(前後)
ホンダ フィット e:HEV Z
ボディサイズ=全長4080mm×全幅1695mm×全高1540mm
ホイールベース=2530mm
車両重量=1200kg
タイヤサイズ=185/60R15(前後)
市街地燃費に優れるのはノート! 高速燃費はフィットに軍配


フィットとノートは、どちらもエンジンを発電に用いてモーターで走行するシリーズハイブリッドシステムを搭載しているが、得意とするシチュエーションは異なる。
ノートの発電用エンジンは1.2L の直列3気筒であり、モータースペックは最高出力116ps/最大トルク280Nmのモーターで常時走行する“e-POWER”だ。それに対しフィットは1.5L 直列4気筒エンジンに最高出力123ps/最大トルク253Nmのモーターが組み合わされる。
モーターには高回転になるほど効率が低下する特性があるため、高速道路では加速に頭打ち感が出やすく、燃費も低下しやすい。フィットの“e:HEV”は、エンジンの動力をクラッチ経由でタイヤへ直接伝達する機構を備えており、70km/h前後から上のトップギヤ領域ではエンジン主体で走行することで高速域でのドライバビリティと燃費効率の低下を抑えている。
両車のWLTCモード平均燃費を比べるとノートのXグレードと、フィットのZグレードの数値はともに28.4km/Lで並ぶ。しかし、市街地燃費と郊外燃費はノートの方がわずかに優れる一方で、高速燃費はわずかではあるがフィットが勝る。
モーターのみで走行するノートと、エンジンの動力も使って走れるフィットでは高速域になるほど動力性能と燃費性能の差が顕著に現れやすい。しかし、日常的な用途においては燃費性能にも動力性能にもほとんど差は感じられないだろう。取り回し性に関しても最小回転半径はともに4.9mで共通だ。
むしろ、街乗りではノートの方が扱いやすいと感じられるはずだ。ノートにはアクセル操作だけで減速量がコントロールできる”e-Pedal Step”が搭載される。また、ロードノイズの発生状態によって発電量をコントロールすることで、エンジンノイズをロードノイズで隠すようにして発電量を確保し、ノイズの少ない路面ではエンジンの作動頻度を少なくして静音性を高めている。
フィットは4気筒エンジンを搭載するため不快な音ではないものの、加速時のエンジンノイズはやや大きめだ。とりわけ、街乗り時の静粛性ではノートに軍配が上がる。
日産 ノート X Black Edition
エンジン形式=直列3気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1198cc
最高出力=82ps/6000rpm
最大トルク=103Nm/4800rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)
ホンダ フィット e:HEV Z
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1496cc
最高出力=106ps/6000-6400rpm
最大トルク=127Nm/4500-5000rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)
ノートのブラックエディションは街乗りスペシャル仕様




改良新型ノートの新車価格は約7万400円値上げされた239万9100円であり、ブラックエディションはそれより約10万円高い249万9200円となる。フィットのe:HEV Zは旧HOMEから9万4600円値上げされた249万9200円となり、ノートのブラックエディションとまったくの同額だ。
ノートのブラックエディションは専用装飾のほか、車両の周囲を俯瞰視点で見渡せる周辺監視システム”インテリジェントアラウンドビューモニター”とデジタルインナーミラーが標準装備となるため買い得感も高い。
ただし、アダプティブクルーズコントロール(ACC)である”プロパイロット”は7万1500円のオプションだ。新設定となるテーラーフィット巻きステアリングは4WDモデルなら標準装備となるが、FFモデルはシートヒーターとステアリングヒーターとのセットオプションで価格は8万300円となる。もちろん、ナビも高額なオプション装備だ。
フィットもナビや周辺監視システムはオプションだが、ACCは標準装備となっている。そのうえフィットのZグレードは、改良でシートヒーターが標準装備になったほか、フロントガラスおよびフロントサイドガラスはUV・IRカット仕様に変わった。
対するノートのガラス機能はUVカットのみだ。ただし、フィットのZグレードにはステアリングヒーターがオプションでも装着できない。両車のスタートプライスは同じだが、設定される標準装備と選択できるオプション装備には大きな差がある。
総合的な商品力とコストパフォーマンスはフィットの方が上と言ってよいだろう。フィットは標準装備が充実しているうえ、後席は広く、低速から高速域まで使える幅も広い。とくに高速道路を利用する機会が多いならフィットを選んでおくのが無難な選択だ。
一方、街乗り主体で使うならノートをおすすめしたい。街乗り限定ならACCやナビといった高額オプションの重要度は下がるうえ、ブラックエディションなら街乗りで特に役立つ周辺監視システムも標準で備わる。
もちろん、ノートも高速道路を法定速度で走行するのに十分なスペックは備わっているため、どちらを選んでも困ることはない。見た目の好みと用途、装備を考慮し、賢くクルマを選び分けたい。
車両本体価格
ホンダ フィット e:HEV Z:249万9200円
日産 ノート X Black Edition:249万9200円
