Q. ギボシ端子がすぐ抜けてしまいます。抜けにくくする方法はありますか?

投稿者:岐阜県/洗濯屋ケイちゃんさん

配線をギボシ端子でつないでみたものの、ちょっと引っ張っただけでスポッ……。「また抜けた!」とイライラした経験がある人も多いと思う。でも、これを「また差し直せばいいか」で済ませるのはちょっと危ない。走行中に抜ければウインカーなど電装品が動かなくなるだけでなく、プラス側の芯線や端子が車体の金属部分へ触れてショートし、ヒューズが飛んだり電装品を傷めたりする可能性もある。

まず大前提として、ギボシ端子は配線の太さに合ったものを選び、専用の電工ペンチでかしめること。ラジオペンチでギュッと潰して終わり……ではダメです(笑)。一般的なギボシ端子なら、端子のツメで芯線と被覆をそれぞれ適切に保持するのが基本。工具と端子、配線のサイズが合っていなければ、どれだけ力いっぱいかしめても抜けやすくなってしまいますよ。

ギボシ端子の加工に欠かせない電工ペンチ。芯線の被覆をむく作業から端子のかしめまで、配線作業に活躍する専用工具だ。1000円程度で購入できる。

先端には端子サイズに合わせたかしめ部が用意されている。使う端子と配線に合った位置を選んで作業するのが基本だ。

ねじって、折って、かしめる! チェン流は“アンカー効果”狙い

ここからがチェンおすすめのやり方。被覆を少し長めにむいて芯線を露出させ、まず芯線をよじる。その芯線を途中で180度折り返し、折り返した部分ごと端子の内側のツメでしっかりかしめる。折り返した芯線がアンカーのように引っ掛かるため、チェンはこの方法で抜けにくくしている。そのうえで外側のツメもしっかり被覆部分へかしめれば完成だ。これはチェンが実際の配線作業で使い続けている方法で、経験上かなり抜けにくい。

チェン流では芯線を少し長めに剥き、よじって180度折り返してから端子へセット。折り返した芯線をアンカー状にして抜けにくくするのが狙いだ。

ただし、ここは大手メーカー推奨の施工方法とは違う。エーモン工業では、被覆を適正な長さだけむき、芯線を軽くねじって束ねたうえで、芯線は折り返さずにかしめる方法を案内している。折り返した芯線をかしめると、ツメのエッジで素線を傷めたり、折り返した部分に負担が集中して接触不良や断線につながる可能性があるためだ。

つまり、基本は「適合する端子と配線を選び、専用工具で正しくかしめる」。いっぽうチェンは、実際の作業経験から抜けにくさを重視して、芯線を折り返す方法を使っている。メーカー推奨のやり方を理解したうえで、チェン流は経験から生まれた応用技として見てもらいたい。

なお、端子サイズに合わない細い配線を無理やり太くする目的で芯線を折り返すのは別の話。配線が細すぎるなら、その線径に対応した端子を使うのが基本だ。

オス・メスにも向きがある! プラス線は“電源側にメス”

ギボシ加工でもうひとつ覚えておきたいのが、オス端子とメス端子の向き。プラス線では、電源に近い側へメス端子、電装品側へオス端子を使うのが基本だ。

理由は簡単。メス側はスリーブによって金属端子が覆われているため、接続が外れた状態でも車体の金属部へ触れにくい。逆に電源側へオス端子を付けると、接続が抜けたときに金属部分が露出し、車体へ触れてショートする危険が高くなる。このオス・メスの使い分けも、電装トラブルを防ぐ大切なポイントだ。

矢印は電流の向き。プラス線では電源に近い上流側をメス端子、電装品側をオス端子にするのが基本。万一ギボシが抜けてもショートしずらいのだ。

作業が終わったら最後に軽く引っ張り、端子が抜けないことも確認しておこう。電装品のトラブルは、あとから原因を探すのがなかなか大変。だからこそ端子1個、配線1本の加工をしっかり仕上げる。地味だけど、これが一番効くんです。

POINT

・折り返した芯線による“アンカー効果”で抜けにくくする
・プラス線では電源側にメス、電装品側にオスを使う
・作業後は端子を軽く引っ張り、抜けないことを確認する

※チェン流の芯線を折り返す施工方法は、電装用品メーカーが案内する一般的な推奨施工方法とは異なります。使用する端子・配線コードの適合を確認し、メーカー指定の施工方法を基本としたうえで作業してください。

※この記事は月刊モトチャンプ2025年9月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】