アクセルワークも
段階的に踏む操作になる

ブレーキのリリースを早くして、フロントタイヤを転がしてやることで、クリッピングポイントの前で向きを変えることができるようになったら、あとはアクセルの踏み方で決まります。

ピッチングからロールに移り、荷重がリアタイヤに掛かってきたら、そこでいきなりアクセル開度を10%までガバッと開くようなことはせずに、10%、20%、30%と、パーセント刻みぐらいで徐々に踏み足していけるようなアクセルワークを身につけてください。

ゼロカウンターの状態で、景気よくアクセルを踏み込んでしまうと駆動輪のグリップが抜けて、横に流れてしまう。そうならないようにタイヤのグリップを感じながら、ちょっとパーシャルで安定させて、そこから徐々にアクセルを足していく感じにします。

アクセルを踏むというより、アクセルに右足を乗せていくようなイメージで、少なくともアクセル開度を10%ずつ刻めるぐらいの繊細さは不可欠です。

そのぐらいの精度でペダルワークができるようになると、自然にクルマのコントロールもできるようになってくると思います。

これはアクセルを踏んでいくときだけではなく、アクセルの抜き方、ブレーキの踏み方、抜き方に全部共通していえることです。

ブレーキも上手にリリースしないと前荷重の旋回制動が続いてしまうし、前荷重を抜き過ぎるとアンダーステアになるので、ペダルコントロールの精度を高めていく練習が必要です。

その練習は街中でも可能で、信号や一時停止で止まるとき、カックンとつんのめるようなブレーキはNG。カックンとなる前にブレーキをリリースし、スッと静かに止まる練習を徹底的に繰り返すことで、繊細なペダルコントロールが身につきます。

リアタイヤの荷重や
ロールの感じ方

フロントタイヤの限界は、ステアリングを通して感じていることが多いんですが、リアのグリップを感じるのはヒップセンサー、つまりお尻や腰の感覚です。

僕もスーパーGTの予選などでは、腰の感覚センサーを最大限まで使うので、アタックの後などは、もの凄く腰に疲労感が溜まります。ブレーキを蹴飛ばしてその反動で腰が痛いというのではなく、センサーの疲れです。

スーパーGTでも大ベテランのドライバーは、年齢を重ねるにつれ、「リアタイヤが動き出す瞬間がわからなくなってきた」とおっしゃいます。

よくいわれる目よりも、腰が先にくるのかもしれません。リアタイヤの挙動を感じるセンサーが衰えてくるのでしょう。スピンが多くなってきたそうです。

さて、どうすれば、腰のセンサーを最大限に活かすことができるでしょう? ひとつは力まないこと。たとえば、ブレーキなどで踏ん張ってしまうと、腰は反り返り、シートから浮いてしまいます。

なので、腰が浮くことを想定して、そこにシートと体の隙間を埋めるパッド(ランバーフィットサポート、ランバークッションなど)を入れるといいかもしれません。

バケットシートの取り付け穴の位置も、後方を下げて前方を上げることで、シートバックを寝かせるカタチにすると、ブレーキング時に腿裏で体を支えて、前のめりになりにくくなります。そういった工夫も試していただきたい。

SIMのグラフからも
実証されるタイム差

(モビリティリゾートもてぎ V字コーナーより)

最後にシミュレーターのログデータを見ながら、ボトムスピードを上げる走らせ方のまとめを行います。

突っ込み重視型だと、フルブレーキの時間が長く、ブレーキの波形が台形になっています。それだと、コーナーのアペックスまでは速いんですが、立ち上がりの速度が低い。

アクセルもボトムが遅い分、大きく踏み込んでいますが、コーナーの後の車速の乗り方でみると、ボトムスピードを落とさない走りに利があるのがわかります。

もてぎのV字コーナーのデータが顕著なので見てください。入口は突っ込み重視が速いんですが、コーナーのセンターパートから出口側はボトムスピード重視が速く、入り口から出口までトータルで見ると、後者が速いのは明らかです。舵角も小さくなっています。

ハンドルを切り始めるタイミングが早く、最大舵角は小さく、それでいて、横Gは高くて、ボトムスピードが速い。1輪に荷重を集中させず、タイヤも横に倒れにくい。最近のハイグリップタイヤの性能を活かしきるには、この走り方がベストと思っています。

動画版はこちら


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