ガソリンモデルとは細かな点が色々違うレイバックS:HEV




レイバックのS:HEVモデルは、単にハイブリッドシステムを搭載しただけでなく、内外装や装備もガソリンモデルとはわずかな差異が設けられている。
フロントフェイスの意匠はガソリンモデルとわずかに異なるうえ、不要となったボンネットダクトが排除されたことでスッキリとした印象に変わった。内装は上位グレード“プレミアムS:HEV EX”のトリムおよびシートがタンカラーのナッパレザー仕上げとなり、下位グレードの“プレミアムブラックS:HEV EX”の内装は黒基調となりブラックの本革シートが装着される。
また、ガソリンモデルより車高が20mm低められ、全高は立体駐車場に収まる1550mmに抑えられている点もS:HEVモデルの大きな特徴だ。
一方のエクストレイルも2026年9月に法規対応のための改良を受けており、ルーフレールとドアミラーがブラック塗装に変わったほか、新デザインのアルミホイールが装着されている。
両車は全高が大きく異なるが、後席のレッグ/ヘッドクリアランスはともに同等だ。ただしレイバックは天井トリムをえぐることで後席の頭上空間を確保しており、天井自体はエクストレイルよりも低い位置にある。ウィンドウ形状も相まって、後席の開放感が高いのは明らかにエクストレイルの方だ。
両車はリヤシートの構造にも違いが見られる。ガソリンモデルのレイバックにはリクライニング機構付き4:2:4分割可倒シートが装着されているが、S:HEVモデルはリクライニング機構が排除されたうえ6:4分割シートとなる。
対するエクストレイルの後席は4:2:4分割シートだ。さらにリクライニング機構に加えてスライド機構まで備わっている。リヤドア開口面積もエクストレイルの方が広いうえ、ドアは90度近くまで開くため乗降性でも優れている
しかし、頻繁に乗り降りをするならシート座面地上高が適度に抑えられたレイバックの方が身体への負担は軽い。エクストレイルに劣るとはいえ、レイバックも十分なドア開口面積と開閉角度を備えているため、乗り降りのしにくさを感じることはないはずだ。
荷室空間は、長さ1054mm×幅1073mm×高さ736mmのレイバックに対して、エクストレイルは950〜1175mm×1095mm×840mmと一回り広い。後席格納時の最大荷室長は両車同等となるが、レイバックはハイブリッド化に伴って床下収納スペースがやや減っている。車内の使い勝手に関してはエクストレイルの方が上と言えるだろう。
スバル レヴォーグ レイバック Premium S:HEV EX
ボディサイズ=全長4735mm×全幅1820mm×全高1550mm
ホイールベース=2675mm
車両重量=1700kg
タイヤサイズ=225/55R18(前後)
日産 エクストレイル G e-4ORCE
ボディサイズ=全長4690mm×全幅1840mm×全高1720mm
ホイールベース=2705mm
車両重量=1770kg
タイヤサイズ=235/55R19(前後)
レイバックS:HEVの燃費は19km/L! 高速燃費はエクストレイルよりも上


レイバックのS:HEVは、エンジンとモーターを適宜使い分けて走行するトヨタ由来のシリーズパラレルハイブリッドシステムであり、最高出力119.6ps/最大トルク270Nmのモーターとエンジンスペックは先に登場しているフォレスターなどのS:HEVモデルと共通だ。
後輪はプロペラシャフトを介して駆動するためどうしても動力損失は増えてしまうが、滑りやすい路面での振る舞いは従来のシンメトリカルAWDと変わらないため他のスバル車からでも安心して乗り換えられる。また、ガソリンモデルには設定がない悪路支援機能“Xモード”も搭載される。
対するエクストレイルのe-POWERは、モーターのみで走行するシリーズハイブリッドだ。発電用には可変圧縮機構を組み込んだ1.5L ターボエンジンを用い、前輪は最高出力204ps/最大トルク330Nmのモーターで駆動。e-4ORCEモデルの後輪は136ps/195Nmのモーターで直接駆動される。
前後輪の駆動力を独立して制御できるe-4ORCEは、滑りやすい路面だけでなく乾燥路面でも高い接地性と優れた姿勢制御を見せる。しかし、良くも悪くも常にシステムが介入するため、人によっては不自然な動きに感じられることもあるだろう。その代わり、走行中の微細な揺れや姿勢変化も抑制してくれるため、桁違いに滑らかで上質な乗り味を提供してくれる。
WLTCモード平均燃費はレイバックが19.0km/L(プレミアムS:HEV EX)、エクストレイル(G e-4ORCE)が19.4km/Lと大きな差はないが、市街地燃費では15.8km/Lと17.9km/Lでエクストレイルが上だ。
しかしシリーズ方式のハイブリッドは、高回転になるほど効率低下を起こすモーターの基本特性が燃費に悪影響をもたらす。一方、シリーズパラレル方式の高速走行時はエンジンが主体となるため燃費の低下は小さい。高速燃費は優劣が逆転してレイバックが19.7km/L、エクストレイルは19.1km/Lとなる。
この結果は、レイバックS:HEVに搭載される低負荷走行時のクラッチ開放制御に加え、低い全高による小さな空気抵抗も大きく影響していることだろう。
高速走行が苦手とはいえ、エクストレイルに搭載される可変圧縮ターボは駆動用バッテリーが減りやすい場面でも十分な発電量を確保できるため、常識的な速度内であれば高速道路上でも燃費性能や動力性能に不満を感じることはないはずだ。
スバル レヴォーグ レイバック Premium S:HEV EX
エンジン形式=水平対向4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2498cc
最高出力=160ps/5600rpm
最大トルク=209Nm/4000-4400rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=4WD
日産 エクストレイル G e-4ORCE
エンジン形式=直列3気筒ガソリンターボエンジン+モーター
排気量=1497cc
最高出力=144ps/4400-5000rpm
最大トルク=250Nm/2400-4000rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=4WD
アイサイトXも標準装備! エコな全天候型快速ツアラー誕生


“レイバック Premium S:HEV EX”の新車価格は452万1000円、“エクストレイル G e-4ORCE”は495万円だ。
レイバックにはステアリングヒーターと前席シートヒーターに加えて、ガソリンモデルと同じく後席シートヒーターまで備わる。エクストレイルのG e-4ORCEも同様の装備が標準で備わっており、快適装備に関する充実度合いはおおむね横並びと見てよいだろう。
大きな価格差の要因は、エクストレイルの“G e-4ORCE”は40万円超の“NissanConnectインフォテインメントシステム”が標準装備となるためだ。インフォテインメントシステムに付随する“アラウンドビューモニター”にはボンネット下の路面まで確認できる“インビジブルフードビュー”機能も備わっており、こうした細部の機能面や先進性ではエクストレイルの方が優位と言える。
ただし運転支援機能の面ではレイバックが優れる。エクストレイルに搭載されるのは“プロパイロット2.0”ではなく通常のプロパイロットであるのに対し、レイバックのS:HEVは全グレード“アイサイトX”が標準装備だ。
ガソリンモデル比で7.2km/Lもの優れたWLTCモード平均燃費を発揮するレイバックのS:HEVモデルは、エコロジーな快速ツアラーだ。レイバックの燃費の悪さが気になっていた人にとっては待ちに待った仕様と言える。
とくに、アイサイトXの運転支援を活かして高速道路や長距離を快適に移動したいならレイバックがおすすめだ。ただしハイブリッド化に伴って変更されたリヤシート構造などにより、スキー板などの長尺物の積載性や後席乗員の快適性はやや低下している。日常的な用途が中心ならエクストレイルの方が使いやすそうだ。
なお、S:HEVモデルが追加されたのはレイバックのみであり、ステーションワゴンのレヴォーグは現時点でガソリンモデルのみの設定である点には注意したい。
車両本体価格
スバル レヴォーグ レイバック Premium S:HEV EX:452万1000円
日産 エクストレイル G e-4ORCE:495万円
