マツダが、ミドルサイズSUV『CX-60』を含むラージ商品群の大規模な刷新を計画しているという。対象となるのはCX-60、CX-70、CX-80、CX-90の4車種。エクステリアやインテリアにとどまらず、パワートレインまで手を加える異例の改良となる見通しだ。

マツダ CX-80

マツダの毛籠勝弘社長は、ラージ商品群について、これまでにない規模の商品改良を実施する方針を示している。一般的な年次改良のように装備や内装材を変更するだけでなく、商品そのものの競争力を引き上げる抜本的なテコ入れとなりそうだ。

マツダ CX-80 大幅改良 予想CG

マツダはブランドの上級移行を目指し、エンジン縦置き方式と後輪駆動ベースのAWDに対応するラージ商品群向けプラットフォームを開発。その第1弾として2022年にCX-60を投入した。その後、北米市場向けの3列シートSUV『CX-90』、2列シートSUV『CX-70』、日本や欧州などで展開する3列シートSUV『CX-80』へとラインアップを拡大。従来のマツダ車とは異なるプレミアム志向を打ち出してきた。

しかし、販売は当初の計画どおりには進んでいない。2025年3月期のラージ商品群4車種の世界販売台数は合計15万637台。目標としていた20万台に対し、約4万9000台届かなかった。達成率は約75%にとどまっている。ラージ商品群はマツダの収益力向上を担う重要なモデルだけに、販売計画との差は小さくない。特に販売の半数以上を占める米国市場での競争力強化が課題となっている。

こうした状況を受け、マツダはラージ商品群の商品力を根本から見直す方向に動き始めたとみられる。日本市場で最も注目されるのは、ラージ商品群の先陣を切って登場したCX-60だ。

CX-60は2022年のデビュー以来、乗り心地やサスペンション、トランスミッションの制御などに継続的な改良が加えられてきた。2026年3月にもCX-80とともに商品改良を実施。CX-60にはCX-80で先行採用されていた運転支援機能などを追加したほか、両車ともフロントドアに遮音ガラスを採用し、静粛性を高めている。マツダコネクトの操作性についても改善が図られた。

しかし、今回計画されている刷新は、こうした従来の改良とは規模が異なる。注目したいのは、エクステリアやインテリアに加え、パワートレインも変更対象に含まれている点だ。

現在の日本仕様CX-60には、2.5L 直列4気筒ガソリン、3.3L 直列6気筒ディーゼル、同ディーゼルに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせた仕様、さらに2.5リットルガソリンエンジンを使用するPHEVが設定されている。今回の大規模改良では、こうした多彩なパワートレインがどのように整理され、進化するのかが焦点となる。

そこで注目されるのが、マツダが開発を進める次世代エンジン『SKYACTIV-Z』だ。SKYACTIV-Zは、燃焼効率の向上と排出ガスの低減を追求した2.5L 直列4気筒ガソリンエンジンで、マツダ独自のハイブリッドシステムと組み合わせ、2027年中に次期CX-5から導入する計画となっている。

ただし、CX-60にSKYACTIV-Zそのものを搭載することが決まったわけではない。マツダが明らかにしているのは、SKYACTIV-Zの開発過程で培った燃焼改善技術を、ラージ商品群の直列6気筒エンジンにも展開する方針だ。さらに、独自ハイブリッドシステムの要素技術についても、ラージ商品群への展開を検討している。これらが今回の刷新計画と結びつけば、CX-60のパワートレインは燃費性能や環境性能だけでなく、走行性能の面でも大きく進化する可能性がある。

一方、エクステリアについても大幅な変更が予想される。今回、スクープ班が制作した予想CGでは、現行CX-60が持つロングノーズと後輪駆動車らしいプロポーションを維持しながら、フロントマスクを中心にデザインを刷新した。大型グリルの基本形状は継承しつつ、内部には立体感のある新しいパターンを採用。ヘッドライトは従来より薄くシャープな造形とし、LEDデイタイムランニングライトを組み合わせている。フロントバンパー両端には縦方向のアクセントを設け、低くワイドな印象を強調。現行型の上質感を残しながら、よりスポーティで存在感のある表情を目指した。インテリアについても、ディスプレイや操作系の進化に加え、内装素材やデザインの見直しによって、プレミアムSUVとしての質感をさらに高める方向が考えられる。もっとも、具体的な変更内容はまだ明らかになっておらず、今回の予想CGも現段階でのデザイン予測となる。

そして、CX-60の刷新は、日本で販売される3列シートSUV『CX-80』にも波及する可能性が高い。CX-80は2024年に国内導入された比較的新しいモデルだが、今回の改良計画には同車も含まれている。4車種が同時に刷新されるとは限らないものの、最も早く市場投入されたCX-60から新しいデザインや技術を採用し、その成果をCX-80、CX-70、CX-90へ順次展開するシナリオも考えられる。

マツダは2022年から2024年にかけてラージ商品群4車種を投入し、ブランドの上級移行を進めてきた。しかし、販売目標には届かず、競争力の再構築が求められている。今回の大規模改良は、単なるモデルライフ中盤のフェイスリフトではなく、ラージ商品群全体の販売戦略を立て直す重要な転換点となりそうだ。

CX-60がどこまで変わるのか。そして、その進化がほかの3車種にどう広がるのか。マツダが進めるラージ商品群の刷新計画に注目したい。