トヨタが復活に向けて開発を進めているとされる「セリカ」。新型では2.0Lターボエンジンと4WDの組み合わせが有力視されているが、最大の注目点はエンジンの搭載位置にある。歴代モデルと同じフロントエンジン方式を継承するのか、それともミッドシップへと大きく転換するのか。トヨタが進める次世代パワートレイン開発から、その可能性を探る。

新型セリカをめぐり、興味深い情報が浮上している。
入手した最新情報によると、次世代モデルには新開発の2.0L直列4気筒ターボエンジンをベースとするパワートレインが検討されており、駆動方式には4WDが有力視されている。
さらに、6速MTや8速ATの採用も取り沙汰されているが、注目したいのは車両の基本レイアウトだ。
歴代セリカはフロントエンジン方式を採用してきた。なかでも高性能モデル「GT-FOUR」は、ターボエンジンと4WDを組み合わせ、世界ラリー選手権(WRC)で活躍したことで知られる。

しかし、次世代セリカでは、この伝統的な構成を大きく変更する可能性がある。その鍵を握るのが、トヨタが開発を進めている新型エンジン「G20E」と、実験車両「GRヤリス Mコンセプト」だ。
G20Eは、トヨタが次世代スポーツカーへの搭載を視野に開発している2.0L直列4気筒ターボエンジンである。小型・軽量化と高出力化の両立を目指した設計が特徴で、将来的な電動化への対応も想定されている。新型セリカにも、このG20Eをベースとしたパワートレインが搭載される可能性がある。最高出力については400ps級との予想も浮上しているが、実際の市販仕様では排出ガス規制や燃費性能、耐久性などとのバランスが重要になる。

特に注目されるのが、ハイブリッドシステムとの組み合わせだ。
トヨタのGR担当者は海外メディアの取材に対し、次世代スポーツカー向けエンジンの電動化について言及している。通常のハイブリッドとプラグインハイブリッド(PHEV)の両方が検討対象とされており、どちらを採用するかによって車両重量や駆動方式、走行特性も大きく変わってくる。
例えば、エンジンで一方の車軸を駆動し、モーターで反対側の車軸を駆動する電動4WDであれば、前後の駆動力配分を電子制御によって最適化できる。一方、機械式4WDを採用する場合は、センターデフや駆動系の構成が重要になる。
いずれにしても、単に最高出力を高めるだけでなく、トラクション性能と操縦安定性をどのように両立させるかが開発のポイントとなりそうだ。こうした技術開発を考えるうえで見逃せないのが、GRヤリス Mコンセプトの存在である。

同車は2025年1月の東京オートサロンで公開され、同年10月にはスーパー耐久シリーズの岡山大会で実戦デビューを果たした。通常のGRヤリスがフロントにエンジンを搭載するのに対し、Mコンセプトはドライバー後方にG20Eエンジンを配置したミッドシップ4WDを採用している。
トヨタによると、このレイアウト変更は、サーキット走行時にフロントタイヤへ集中する負荷を分散し、コーナリング性能を向上させることが狙いだという。エンジンとトランスミッションを車体中央付近へ移動することで、前後重量配分の最適化を図るとともに、ドライバーの操作に対する応答性を高めようとしている。
ただし、ミッドシップ化には冷却性能や整備性、車体構造などの課題もある。実際、Mコンセプトは当初予定していたスーパー耐久のオートポリス大会を欠場し、その後のテスト走行でエンジンやシャシーの改良を重ねている。
トヨタは2025年10月の岡山大会に際して、ミッドシップ特有の難しさに直面したことも明らかにしている。 では、こうしたミッドシップ4WDの技術が、新型セリカに採用される可能性はあるのだろうか。ひとつの注目点は、車両のキャラクターだ。歴代セリカの流れを受け継ぐのであれば、フロントエンジンと4WDを組み合わせたGT-FOURの現代版という構成が自然だろう。

一方、ミッドシップ4WDを採用すれば、従来のセリカとは大きく異なる高性能スポーツカーへと進化することになる。ミッドシップは重量配分や旋回性能の面でメリットが期待できる反面、後席や荷室の確保が難しくなり、日常での使い勝手にも影響する。
また、専用プラットフォームが必要になれば、開発費や生産コストも増加する可能性がある。そのため、セリカを比較的幅広いユーザーに向けたスポーツクーペとして復活させるのであれば、フロントエンジン方式にも合理性がある。
一方、GRブランドの象徴となる高性能モデルを目指すなら、ミッドシップ4WDという選択肢も魅力的だ。もうひとつ注目したいのが、2026年に目撃されたトヨタの新型ラリープロトタイプである。ポルトガルでテスト走行が確認された車両は、従来のGRヤリスとは異なる2ドアクーペ風のボディを採用しており、新型セリカとの関連が取り沙汰された。
ただし、2027年から導入されるWRCの新規定では、市販車を直接ベースとしない車体構造が認められる。そのため、競技車両の外観が、そのまま将来の市販モデルのデザインを示しているとは限らない。さらにトヨタは2026年4月、スペインで別のボディ形状を持つWRC27プロトタイプのテストも実施している。これらは新規定に向けた開発車両であり、現段階では特定の市販車との関連を断定できない。

それでも、トヨタが2ドアスポーツを思わせるデザインを競技車両に採用したことは興味深い。
今回の予想CGでは、歴代GT-FOURのイメージと近年のGRモデルに共通するデザイン要素を組み合わせ、新型セリカの姿を描いた。
低く構えた2ドアクーペのボディには、シャープなLEDヘッドライトと大型ロアグリルを配置。フロントバンパーには大きなエアインテークを設け、ボンネットにはエアアウトレットを組み合わせている。また、張り出した前後フェンダーや大型リアウイングによって、ラリーマシンを思わせる力強いプロポーションを表現した。

こうしたデザインは、高出力エンジンの冷却や高速走行時の空力性能を意識したものだ。ただし、今回のCGはフロントエンジン方式とミッドシップ方式のどちらかを確定的に示すものではない。
今後の新型セリカを考えるうえでは、パワートレインと車体レイアウトの組み合わせが最大の焦点となる。例えば、フロントエンジン方式を採用する場合、6速MTと機械式4WDを組み合わせることで、往年のGT-FOURに近いキャラクターを実現できる。
一方、ミッドシップ4WDなら、G20Eエンジンの搭載位置や前後駆動力配分など、まったく新しい設計が必要になる。トランスミッションについては、6速MTに加えて8速AT「GR-DAT」の採用が有力候補となる。GR-DATはGRヤリスにも採用されている高性能ATで、スポーツ走行時の素早い変速とドライバーの操作に応じた制御を特徴としている。ただし、電動化の方式によっては、トランスミッションの構成も変わる可能性がある。

新型セリカの登場時期については、2027〜2028年が有力視されている。車名には「GRセリカ」や「セリカ スポーツ」などが取り沙汰されているが、どのような名称で登場するかも注目点となる。
2006年の生産終了から約20年。再び復活への期待が高まるセリカ。単なる往年の名車の復活ではなく、次世代2.0Lターボエンジンと電動化技術、そして新たな4WDシステムを組み合わせたスポーツカーへと進化する可能性がある。果たして新型セリカは、GT-FOURの伝統を受け継ぐフロントエンジン4WDとなるのか。それとも、ミッドシップ4WDという新たな領域へ踏み出すのか。その選択が、次世代GRスポーツの方向性を示すことになりそうだ。