電動トライアルバイク「TY-E 3.0」が史上初の連覇! 氏川政哉が悲願のIAS初制覇

全日本トライアル選手権第7戦・和歌山・湯浅大会で、ヤマハ発動機の「TY-E 3.0」とYAMAHA FACTORY RACING TEAMの氏川政哉選手がタイトルを獲得した。氏川選手は国内最高峰のIAスーパー(IAS)でランキング首位を守り、2018年のIAS昇格以来、初のチャンピオンに輝いた。

「TY-E 3.0」は2025年に黒山健一選手が獲得したタイトルに続き、電動トライアルバイクとして全日本選手権史上初の連覇を達成した。

今シーズンは黒山選手が開幕前に負傷したため、氏川選手のみが参戦。開幕から2連勝を飾り、その後も2戦連続2位、第5戦広島・三次灰塚大会で今季3勝目、第6戦宮城・SUGO大会で3位と、6戦連続で表彰台に立った。第6戦終了時点ではランキング2位に36ポイント差をつけて首位を維持していた。

最終タイトル争いの舞台となった第7戦は、競技中にレベル4の土砂災害危険警報が発令され、1ラップ目の途中で打ち切りとなった。国内競技規則に基づいてレースは成立し、氏川選手は7位。IASではハーフポイントが加算され、ランキング2位との差が32.5ポイントとなったことでチャンピオンが確定した。

TY-E 3.0の戦績は通算11勝! 2026年シーズンは最終戦へ

「TY-E 3.0」は2024年に2勝、2025年に6勝、2026年に3勝を挙げ、全日本選手権での通算勝利数は11勝となった。2025年に黒山選手が電動トライアルバイクとして国内最高峰クラス初のチャンピオンを獲得し、2026年は氏川選手がタイトルを引き継いだ。

2026年シーズンの最終戦は、11月29日に京都府の平安神宮前・岡崎公園で開催される「第8戦 City Trial Japan大会」。チャンピオンを獲得した氏川選手と「TY-E 3.0」が、シーズン最後のレースに臨む。

氏川政哉選手「チャンピオンにふさわしい走りで優勝したい」

氏川選手は第7戦について、大雨で走行ラインが見えにくく、序盤から減点が続いたうえ、トラブルも重なり、精神面でも難しいレースだったと振り返った。チャンピオン獲得を喜びながらも、レースが途中で終了したことから実感は薄いという。

今シーズンはファクトリーチームのライダーとしてひとりで参戦したが、チームやスポンサー、家族、ファンなどの支えがタイトル獲得につながったと感謝を述べた。最終戦のCity Trial Japan大会では、チャンピオンにふさわしい走りで優勝し、応援してくれる人々と喜びを分かち合いたいと意気込みを語った。

佐藤美之監督は、黒山選手が不在のなかで氏川選手とチームが踏ん張り、2年連続でタイトルを獲得できたことを評価。今シーズンは電動トライアルバイク「TY-E」の性能を市場や社内に広く伝えることを目標に取り組んできたと説明した。氏川選手については、ライダーとしての成長に加え、チームやスポンサーとのコミュニケーション能力も向上しているとし、将来は世界を目指せるライダーへ成長してほしいと期待を寄せた。

ヤマハ「TY-E」の開発経緯と全日本トライアル選手権での歩み

ヤマハの電動トライアルバイク「TY-E」は、EV開発における高出力・小型軽量化と、意のままに操れる操作性の実現を目指して2018年に誕生した。

初代モデルは2018年に黒山選手とともにトライアル世界選手権のTRIAL Eクラスへ参戦。開幕戦で優勝、第2戦で2位となり、年間ランキング2位を獲得した。2019年も2度の2位表彰台を獲得してランキング2位となり、いったん活動を休止した。

2022年には、2050年までに事業活動を含む製品ライフサイクル全体でカーボンニュートラルを目指す「環境計画2050」の取り組みの一環として開発を再開。初代をベースに「TY-E 2.0」へ進化させ、黒山選手と世界選手権Trial 2にスポット参戦した。電動車ならではの力強い低速トルクや加速性能を活かし、内燃機関を上回る楽しさを目指すとともに、実戦データの収集と課題の抽出を進めた。

2023年には「TY-E 2.1」で全日本トライアル選手権IASにフル参戦を開始。2025年の全日本チャンピオン獲得を目標に、エンジン車を上回る性能と楽しさを持つ電動バイクにつながる技術開発を進めた。同年の第4戦和歌山・湯浅大会で初の2位表彰台を獲得し、続く北海道大会では「TY-E 2.2」を投入。黒山選手は第7戦まで4戦連続で表彰台に立ち、年間ランキング3位となった。

2024年は氏川選手と野崎史高選手が加わり、「TY-E」3台体制に拡大。氏川選手が第3戦もてぎ大会で初優勝を飾り、黒山選手が2位、野崎選手が3位となって表彰台を独占した。第4戦北海道・和寒大会でも氏川選手が優勝し、シーズン2勝を記録。黒山選手も前年を上回るランキング2位を獲得した。

2025年には最新型「TY-E 3.0」を投入。黒山選手が第3戦もてぎ大会で同モデル初優勝を飾ると、最終戦までに4勝を挙げ、電動トライアルバイクとして全日本選手権IAS初のチャンピオンを獲得した。2026年は氏川選手がタイトルを獲得し、「TY-E 3.0」は電動トライアルバイク史上初の連覇を成し遂げた。