
バイク乗りなら、一度は考えたことがあるのではないだろうか。人生最後に乗るバイクは何にするのか――。
後藤秀之編著『上がりバイク』(スタジオタッククリエイティブ)は、そんなライダーならではの問いをテーマにした一冊だ。
年齢を重ねても、好きなバイクに乗り続けたい。しかし、体力の衰えや動体視力の低下など、若い頃と同じようにはいかない現実もある。乗りたいバイクと、無理なく乗り続けられるバイク。その両方を考えたとき、最後に選ぶ一台はどんなバイクになるのだろうか。
本書に登場するのは、元MotoGPライダーの中野真矢、俳優・映画監督の大鶴義丹、カメラマンの伊勢悟、レーサー・プロデューサーの丸山浩、元ヤマハ広報の宮本義信、元ホンダ広報の高山正之、二輪・四輪ジャーナリストの近田茂、二輪ジャーナリスト・インストラクターの山田純、そして元ヤマハのモトクロス・ワークスライダーで、SP忠男の創業者としても知られる鈴木忠男の9人だ。
レースの第一線で活躍した人物から、俳優、撮影の現場でバイクを見つめてきたカメラマン、メーカーの広報やジャーナリズムに携わってきた人物まで、その経歴はさまざま。共通しているのは、長年にわたってバイクと深く関わり、今もその魅力を知り尽くしているベテランであることだ。
本書では、9人それぞれが歩んできたバイク人生を振り返り、思い出のマシンとともに「上がりバイク」について語る。単に人気モデルや高性能なバイクを選ぶという話ではない。これまでどんなバイクに乗り、何を経験してきたのか。その積み重ねが、最後に選びたい一台にもつながっていく。
若い頃は憧れのスーパースポーツに乗りたかった人も、長距離ツーリングを楽しんできた人も、年齢とともにバイクとの付き合い方は変わっていく。だからこそ、長い経験を持つライダーたちが何を考え、どんな一台を選ぼうとするのかは興味深い。
現在の愛車を長く乗り続けたい人も、次のバイクへの乗り換えを考えている人も、本書を通じて自分自身のバイクライフを振り返ってみてはいかがだろうか。「最後に乗るなら、この一台」。そんな問いへの答えを考えるきっかけになる一冊だ。
