G65 AMG
2例目のV12搭載SUV

Sクラスを彷彿とさせる上質なインテリアとボディ同色処理されたフロントマスク、オーバーフェンダー、サイドステップなどを備えたエクステリア、そして電動デフロック付きのフルタイム4WD、ABSを標準装備することで、1989年の登場以来、ラグジュアリー・オフローダーとしての地位を確立したW463型「Gクラス」。
そんなW463では5.0リッターV8を積んだ1993年の「500GE」を皮切りに、1998年の「G500」、そしてAMGがダイムラー・クライスラーAGに吸収合併された後の2002年に登場した「G55 AMG」、2005年の「G55 AMG コンプレッサー」と、事あるごとにハイパフォーマンスバージョンを排出してきたが、2012年にその究極といえる1台が登場した。
それがSUVとしては1986年の「ランボルギーニ LM002」以来2例目のV12搭載車となる「G65 AMG」だ。もちろん、その最大の特徴はフロントのエンジンコンパートメントに押し込まれた6.0リッターV12 SOHC ツインターボM279ユニットにある。
斜めにマウントされたV12エンジン

M279ユニットのベースになったのは、2002年に「S600」に搭載された5.5リッターのM275ユニットなのだが、メルセデス・ベンツは2012年に自身のV12エンジン開発に関する権利をAMGに譲渡。それを受けAMGは大型ターボチャージャー、ポート噴射、新しいエキゾースト・システムの採用、バルブトレイン・タイミングの変更などM275に大改良を実施したM279を開発。さらに排気量を5980ccへと拡大するにあたり、高品質の焼入れ焼戻し鋼を使用した新設計の鍛造ピストンと鍛造クランクシャフト、エンジン・コントロールユニット、点火システム、カムシャフト、中空ステムナトリウム・エキゾーストバルブなどを投入した結果、最高出力612PS/4300〜5600rpm、最大トルク1000Nm/2300〜4300rpmを発生している。
またV8用に設計されたGクラスのエンジン・コンパートメントに長大なV12を納めるため、AMGではエンジンを斜めにマウント。組み合わせるトランスミッションは7速ATのAMGスピードシフトプラスのみの設定となっていた。
V12エンジンの搭載にあたり、特にボディの補強などを行われていないが左右ともに25mmワイドになったAMGオーバーフェンダー、チタニウムグレーの18インチ5ツインスポークアルミホイールを装備。インテリアでは、ダッシュボード上部を本革仕上げとしたレザーダッシュボードを採用していたのが特徴であった。
ヨーロッパ市場に2012年から投入されたG65 AMGは、2015年の北米輸出開始にあわせてマイナーチェンジを実施。6.0リッターV12の最高出力が630PS/4800〜5400rpmへとアップしている。
2018年に登場した世界65台限定車

V8の「G63 AMG」の1780万円に対して、3250万円というプライスタグをつけたG65 AMGは2590kgという車重にもかかわらず、0-100km/h加速5.3秒を達成。パフォーマンスという意味でも超ド級の存在であった。
2018年にはブロンズカラーの21インチホイールを装着した世界65台限定のファイナルエディションが登場。その年をもってG65 AMGの生産は終了した。
その後、「ロールス・ロイス カリナン」「フェラーリ プロサングエ」などV12エンジンを積むSUVが登場しているが、G65 AMGがその先鞭をつけたと言っても過言ではないだろう。しかしながら、メルセデス・ベンツ、AMGからG65 AMGの後継となるモデルは登場しておらず、いまやG65 AMGはGクラスで唯一V12を搭載したモデルとしてコレクターズアイテムとなっている。

