Motor-Fan[モーターファン]|自動車最新ニュース・速報、試乗記など、クルマとカーライフを楽しむサイト

  • モーターファンテック
  • モーターファンバイクス[Bikes]
  1. TOP
  2. ニュース・トピック
  3. コラム・連載記事

【新・カーデザインここだけの話】 三菱自動車ゴールデンエイジ物語 第四回 大人気のギャラン登場、そして時代を先取りしていたギャラン・ラムダ まさに「デザインの三菱」だった時代

このエントリーをはてなブックマークに追加
1969年登場の三菱ギャラン。直線基調が実に新鮮だった。

カーデザイナー荒川健氏が、デザイナーとして最初に入社したのが三菱自動車1970年代という激動の時代に、カーデザイナーとして社会にその一歩を踏み出した。三菱自動車のゴールデンエイジともいえる70-80年代の魅惑的モデルを紹介しつつ、現代では考えられないような様々な体験と出会いに、ちょっとワクワクしてみよう。

私が入社した1975年当時の三菱自動車は1969年発売のギャランがヒットし、モータリゼーション(なつかしい!)を先取りしたFTO、GTOといったスポーツタイプ車で急成長の真っ最中であった。

1969年の第16回東京モーターショー。ギャラン・セダンとともに翌年登場のGTOをギャランクーペGTX-1として先行展示。

さらには第1次オイルショックで北米市場では燃費の良い日本車が大人気、当時合弁事業契約を結んでいたクライスラー社のエンブレムを付けたギャラン・ハードトップが飛ぶように売れていた。
デザインが日本の他車と比べ垢抜けしていて、欧州車と比べても北米仕様の頑丈な5マイルバンパーが良く似合いカッコよかったのである。もうじき業界第3位に手が届くという勢いであった。

そんな状況のなか北米向けモデルのドレスアップが急務だとのことで、新人の私に白羽の矢が当たってしまった。カラーリングでさっそくギャラン・ハードトップとセレステのデカールデザインを任されることとなった。面談でエクステリア配属を強く希望し「マスタングやカマロのデカール(ストライプ)がカッコよいので、わが社のデザインも良くするべきです」なんて言ったのが災いしたらしい。

こちらは日本仕様の三菱ギャラン・ハードトップ。USではクライスラー社のブランドとなった。

1週間ほどしてクライスラーから40歳ぐらいのデザイナーがアメリカで好まれるデカールデザインをレクチャーしに出張してきた。いろいろ教えてもらった中で参考になったのが、キャラクターラインに一定沿わせてラインを引いてしまうと動きがなく堅苦しくなってしまうという点だ。そうならないため、わずかに変化させて綺麗なカーブにアレンジすることがコツだということであった。

実車にドラフティングテープでデカールやストライプデザインのアイデアを描き、幅が30センチほどのマスキングテープをその上からシワにならないようなるべく平らに貼り、ペンシルでなぞり展開形状をおこすのである。これが実に面白く、アイデア次第でクルマをカッコよく変身できる楽しい仕事であった。またドラフティングテープをふんだんに貼るため、3か月も経つとなめらかで綺麗なラインが引けるようになり、後日エクステリアデザインでのテープドロー作業をスムーズに行なうのに大いに役立った。

1976年に登場したギャランΛ(ラムダ)。セダンのΣ(シグマ)に対して2ドアハードトップとして、極めてシャープな印象を与えた。ステアリングはなんと1本スポーク!

丁度そのころギャラン・ラムダがデザイン開発の最終段階を迎えていた。エクステリアスタジオに配置換えを何とか実現しようとしていた私は、ステンレス製のルーフ後端を跨ぐクォーターピラーカバーの提案をしたところ、当時のデザイントップの二村課長に高く評価され、早速そのアイデアが採用されてしまった。そんなこともあり1年後希望がかなって第3スタジオというミラージュなどのコンパクトカーを開発するグループに配置換えになり、そこで出会ったのがスケッチの天才、青木秀敏氏であった。

ステンレス製クォーターピラーカバーを装備するΛの上級モデル。こちらは日本仕様だが、北米で大きなインパクトを与えた。また、オプションで装備された本革内装も北米の好みにあわせた豪華仕様。

私より2年ほど先輩だったが超個性的なクルマ&スケッチオタクで、とにかくカースタイリングで紹介されていたどのレンダリングよりパースが正確でデフォルメも最適、色のセンスが抜群で上手かった。
席を外した隙にどうやって描いているのか間近によって覗き見たりしようものなら「ドロボー」と冗談みたいに本気で怒る面白い先輩だった。

特別に「お前だけにやる」と言っていただいたスケッチが今でも私の宝物で、それがこれである。ヴェラム紙という半透明の丈夫なトレーシングペーパーで、裏から塗ったマーカーやパステルが効果的に作用し空気感のあるレンダリングが描けるのだが、そのヴェラム画の名人であった。

貴重な青木氏のスケッチ。青木氏がこのスケッチを描いている時、たまたま私が近くを通りかかった。すると突然彼が「ミスった! 気に入らん。お前にやる」 といってこの作品を頂いた。前からスケッチをしつこく欲しがっていた私に特別にプレゼントしてくれたのだ。 とにかくテクニック・オタクで技を他人に取られるのをものすごく嫌がっていたのに、不思議である。 よく見ても何が修正不能でダメなのかよくわからない未完成の傑作だ。
編集部注) こちら荒川氏のスケッチ。こちらもアイデアとともに、まさに息を呑む作品。シトロエンBXの登場よりも何年も前だったことに驚く。

残念なことに近年他界されてしまい、私がどうしても近づくことが出来なかった永遠の師匠となってしまった。
参考に私の担当した2代目ミラージュのアドバンス案(ラジエターを傾斜させノーズを下げる案)レンダリングの写真が出てきたので、青木氏のものと比べてほしい。前後の奥行き感や透明感が私の方が劣っている。だがデザインはシトロエンBXよりも数年前に同じようなユニークなスタイリングをしていた。

おすすめのバックナンバー

最新自動車テクノロジーレポート2021

最新自動車テクノロジーレポート2021 一覧へ

水平対向と星型とロータリーエンジン特集

水平対向と星型とロータリーエンジン特集 一覧へ

会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ

会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ 一覧へ