純正システムを活かしながら速さを引き出す
オートガレージMの現実的アプローチ
純正同様の水冷式インタークーラーを維持したまま、RZ34最速を狙うのがオートガレージMのスタイルだ。ストリートでは問題になりにくいものの、サーキットでの連続周回では吸気温度の上昇が避けられないとされる水冷式。しかし同社のデモカーは、テストにおいて安定した速さを記録している。
水冷式は走行風に依存せず、低速域でも吸気温度を下げられる点に加え、純正同様のコンパクトなレイアウトを維持できるのが大きなメリットだ。取り付け作業も比較的容易で、段階的なアップグレードが可能なことから、コストを抑えた現実的なチューニング手法として成立している。
一方で、高負荷が続く状況では吸気温度が上昇しやすく、ハイパワー化に伴う容量確保にも限界がある。実際、冷却系ノーマルのブーストアップ仕様でサーキットを走行した場合、1周も持たずに吸気温度が70℃近くまで上昇し、補正が介入する状態に陥ったという。

「GT4マシンが空冷式を採用しているように、パワーを追求するなら空冷式が有利なのは間違いありません」と語るのは、オートガレージMの三浦代表。ただし、空冷化は大掛かりな作業となり、コストも大幅に増加するため、誰もが選べる手法ではない。
そこで同社が重視したのが、「より気軽にパフォーマンスアップしたRZ34を楽しむ」というユーザー視点でのアプローチだ。純正の水冷システムをベースに、そのポテンシャルを引き出す方向へとチューニングを進めている。

具体的には、強化ヒートエクスチェンジャーやAMS製の大容量水冷式インタークーラーを導入し、さらに吸熱・放熱効率に優れるスポーツクーラントを組み合わせることで、温度上昇のスピードを抑制。加えて、油温上昇が水温へ与える影響を抑えるためにオイルクーラーも追加している。

中でも導入しやすいのがスポーツクーラントだ。エンジン側は粘度変化による負荷を考慮して純正を維持しつつ、水冷式インタークーラー側のみを高性能クーラントへ変更。大容量化との相乗効果により、スポーツ走行後でもインタークーラーに触れられるほど温度上昇が抑えられているという。

純正状態と強化後の比較データを見ると、回転数の上昇に対して吸気温度が明確に低いラインで推移していることが確認できる。水冷式の性能を最大限に引き出すためには、初期温度を低く保ちつつ、温度上昇を緩やかにコントロールすることが重要となる。

ただしこれは、走行風によって冷却効率を高める空冷式とは異なり、ピーク温度の到達を遅らせるアプローチでもある。そこで同社が次に取り入れたのが、HDP(ヒート・ドミネーター・ペイント)と呼ばれるセラミック塗装による放熱・遮熱処理だ。
冷却系パーツには放熱塗装を、エアクリーナーやインマニ、タービン、パイピングといった熱影響を抑えたい部位には遮熱塗装を施工。システム全体で熱の流れをコントロールすることで、さらなる安定性向上を図っている。



この塗装は完全乾燥まで約4日を要するが、パーツ単体であれば1箇所あたり2〜3万円前後と比較的導入しやすい価格帯だ。VR30DDTTは脱着に手間がかかるため、施工前後の詳細な比較データこそ取得できていないものの、全開走行を繰り返すデモカーにおいて確かな効果が確認されている。

「パワーを追うのではなく、安定して性能を発揮させるための積み重ねを重視しています」という三浦代表の言葉通り、水冷式チューニングは単体の劇的な変化ではなく、複数の対策を積み重ねることで真価を発揮するものだ。
強化ヒートエクスチェンジャーやクーラント変更、そして放熱・遮熱処理といった手法を組み合わせることで、水冷式のままでも着実にパフォーマンスを引き上げることは可能。空冷化という大きな選択に踏み切る前に、このようなステップアップを重ねていくのも、極めて現実的なチューニングアプローチと言えるだろう。
●取材協力:オートガレージM 香川県高松市上天神町751-7 TEL:087-816-8777
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