走りと静粛性とドレスアップ……3つのアップデートメニュー

スバルはブランド価値とスバルユーザーの満足度向上の施策を積極的に展開している。そのひとつが既存車のアップデートサービスで、すでにソフトウェア面は現行レヴォーグを対象とした「Active Damper e-Tune」とBRZを対象とした「Sport Drive e-Tune」が実施されている。

「Active Damper e-Tune」
「Sport Drive e-Tune」

そして、2026年1月の『東京オートサロン2026』では、ソフトウェアではなくパーツによるアップデートが発表された。アップデートの内容は先代と現行レヴォーグを対象とした「Ultrasuede package」、現行レヴォーグを対象とした「Dynamic Motion package」と「Comfort Quiet package」の3点だ。

「アップデートサービス」施工パーツの展示品(『シン・モーターファンフェスタ2026』)

発表後、2月13日から先行予約がスタートしたのだが、1ヶ月で「Comfort Quiet package」が848件、「Dynamic Motion package」が396件、「Ultrasuede package」が84件の予約があったという。これはレヴォーグの「Active Damper e-Tune」628件とBRZの「Sport Drive e-Tune」619件の総受注数を上回る結果となった。

試乗車のレヴォーグはA型とE型

今回試乗したレヴォーグは、未施行車がE型の「Smart Edition EX」(1.8L)、施行車がA型の「GT-H」。レヴォーグはスバルの例に漏れず年次改良により事細かに変更されていたりするので、初期のA型と現行のE型ではその違いも大きく、効果はより顕著に感じられるのではないだろうか。

未施工車:レヴォーグ「Smart Edition EX」(E型)
施工車:レヴォーグ「GT-H」(A型)

「Dynamic Motion package」の内容と効果は?

フロントサスペンションロワアーム。

施工内容はフロントサスペンションのロワアームをWRX S4用に変更。レヴォーグではゴムブッシュだったところがWRX S4用はピロボールブッシュになっており、ステアリング応答性とコーナリング時の安定性を高める。

ロワアームのブッシュ。
ピロボールブッシュのカットモデル。

さらに、ステアリングのタイトロッドエンドをSTIコンプリートカーで使用している湾曲タイプに変更。S206から使用している実績のあるパーツで、ステアリング操作時に発生する微細なたわみを利用して、操舵に対するクルマの挙動をよりマイルドかつ無駄のない動きにする効果がある。これにより、走りの上質感が向上する。

写真中央上寄りのシルバーのバーがタイロッド(左側)。タイヤ側のタイロッドエンドが湾曲しているのがわかる。

加えて、ハンドリングに寄与する箇所
・エンジンマウントとクロスメンバー
・クロスメンバーとボディ
・フロントおよびリヤのアクスルナット
・TRGリンクとハウジング
のボルト締結力を最適化。具体的には締め付け公差内で強めに締め付けると共に、締め付け角度も揃えている。
これにより、エンジニアが設計時に狙ったハンドリング性能を確実に実現することができる、まさに”ファクトリーチューニング”と言える内容だ。

締結力最適化施工箇所。1:エンジンマウント×クロスメンバー 2:クロスメンバー×ボディ 3:フロントおよびリヤのアクスルナット 4:TGRリンク×ハウジング

走行中にクルマが受けた衝撃や経年によってズレが生じるタイヤ・ホイールの角度/位置関係を設計時の姿勢に補正して、よりスムーズな走りが可能になる。

施工前後の性能イメージ

実際に乗り比べてみると、上記の効果をはっきりと感じることができた。明らかにステアリング操作に対するリニアリティが向上しており、イメージしている走行ラインとそれに対するステアリング操作、実際にクルマが進んでいくラインが一致しやすい。

残念ながら全く同じルートを同じ条件で走っていないので厳密な比較は難しい。できればハードコンディションのクローズドコース、例えば群馬サイクルスポーツなどでテストすれば違いはよりはっきりと体感できたと思う。

施工車のリヤサスペンションまわり。
フロントサスペンション。ロワアームの右端がピロボールブッシュのマウント部。

そもそもからしてレヴォーグの走りや運動性はかなり良く、基本的に不満は無い。それはエントリーグレードとなる1.8Lの「Smart Edition EX」でも変わらない。確かに2.4Lの「STI SPORT」系と比べれば大人しい方にはなるが、かえって施行の効果を体感しやすかったのではないだろうか。

「Comfort Quiet package」の内容と効果は?

施工内容は前後ドアやルーフ、ホイールハウスなどの騒音に影響する車体各所に吸音材と制振材を追加することで静粛性を高めるというもの。

施工車:レヴォーグ「GT-H」(A型)

追加された場所は
・フロントドアパネル=制振材貼り付け
・リヤドアパネル=制振材貼り付け
・リヤクォーターパネル=制振材貼り付け
・リヤフロアパン=制振材貼り付け
・リヤクォータートリム=吸音材強化
・リヤゲートトリム=吸音材強化
・ルーフパネル=制振材貼り付け+吸音材強化
となっている。ドアを除くとリヤまわりに集中しているのは、形状的にリヤまわりからの騒音が遮断しにくいワゴンボディだからだ。

制振材のサンプル。ボデイ外板の内側に貼り付ける。

過剰な重量増を避けるため、追加される制振材・吸音材は+5kg強程度となっている。また、ディーラーでの作業を前提としているため、作業箇所もある程度限定された形だ。

布状の吸音材。リヤまわりのトリム内に埋め込む。

それでも見込まれる効果としては
・ロードノイズの低減
・風切り音の低減
・雨天時の騒音低減
が挙げられる。特に雨がルーフを叩く音については不満に思っているオーナーも少なくなく、制振材貼り付け+吸音材強化のダブル施工で騒音を大幅に低減している。

ロードノイズ低減
風切り音低減
雨音低減

実際に未施工車と施工車を街中や高速道路を走ってみたところ、確かに上記の効果を実感する。未施工車と施工車の車載オーディオが異なっていたためサウンド環境という面では評価しづらい面はあったが、少なくともロードノイズや風切り音は小さくなっていた。この効果はおそらく後席でより顕著に感じられただろう。

施工車:レヴォーグ「GT-H」(A型)のインテリア。
未施工車:レヴォーグ「Smart Edition EX」(E型)のインテリア。

試乗当日は雨模様だったものの、霧雨のような細かい雨粒だったことからルーフの施工効果をあまり体感できなかったのが残念ではある。

降雨時の車内騒音比較

いずれにせよ、静粛性の向上は疲労の軽減にもつながるし、車内の会話も明瞭になる。より上質なドライブ体験には必ずプラスになるだろう。

制振材と吸音材が施工されたルーフを叩いてみた。
未施工のルーフと比べてみました。

Ultrasuede Packageとは?

試乗車には装着されていなかったが、「Ultrasuede Package」はウルトラスエード生地のステアリングとシフトノブに交換するというもの。生地はダークネイビーとバーガンディの2種類を用意しており、好みや車内のカラーコーディネイトに合わせて選択可能。

Ultrasuede Package(タークネイビー)
Ultrasuede Package(バーガンディ)

もちろん、それぞれパーツ単体でもセットでも選択できる。ステアリングはVM型レヴォーグとVA型WRXのみだが、シフトノブはこの2車に加えてSJ型フォレスター、GP型・GJ型インプレッサ、GP型XVにも装着可能となっている。

シフトノブ(タークネイビー)
シフトノブ(バーガンディ)
ステアリングホイール(ダークネイビー)
ステアリングホイール(ダバーガンディ)

実効性はもちろんコストパフォーマンスも抜群

「Dynamic Motion package」はパーツ代が8万8000円、工賃が4万4000円の合計13万2000円。この内容と費用で、現在のスバルのトップオブスポーツであるWRX S4に近い足まわりによる運動性能が手に入るなら安いくらいだと思える。

施工車:レヴォーグ「GT-H」(A型)

「Comfort Quiet package」はパーツ代が3万800円、工賃が4万9500円の合計8万300円。「Dynamic Motion package」に比べると効果は地味な印象もあるが、静粛性は確実に快適の性向上と疲労軽減につながる、まさに無形の効果。長距離ドライブも多いであろうレヴォーグユーザーであれば、施行しておいて損はない内容と言える。

施工車:レヴォーグ「GT-H」(A型)。「Comfort Quiet package」はワゴンボディだけに後席への恩恵がより大きく感じられる。

「Ultrasuede Package」はステアリングが5万円+工賃1万円、シフトノブが2万円+工賃1000円となっているが、セットだとパーツが6万7000円+工賃1万1000円と少々お得になる。

「Ultrasuede package」のステアリングホイール(『シン・モーターファンフェスタ2026』)。サンプルのため省略されているが、実施はステアリングスイッチ類はそのまま装備され、使用可能。

現行レヴォーグもデビューから約6年が経過。初期のA型では車検も2回目を過ぎた個体も多いだろう。また、ローンが終了する時期でもある。ローンの支払いが終わればその分をカスタムやチューニングの費用に回せるだろう。また、残価設定クレジットの終了タイミングでクルマを返却しないのであれば、やはりカスタムやチューニングに踏み出しやすくもなる。

施工車:レヴォーグ「GT-H」。A型は2020年デビュー。以降、2021年にB型、2022年にC型に年次改良。2023年にD型にマイナーチェンジ。2024年(12月)にE型に年次改良されている。
未施工車:レヴォーグ「Smart Edition EX」。現在(2026年4月)のところ最新モデルであるE型。そろそろ次の年次改良、あるいはモデル(F型?)登場するのではないかと予想されている。

この機会にノーマルで気になっていたクルマの運動性や静粛性に手を加えてみるのも良いだろう。しかも、社外品ではなくメーカー純正品を、ディーラーで施行できるのだから安心だ。まだまだ今の愛車に乗るつもりなのであれば、これらのサービスを利用することで惚れ直すこと間違いなし。愛車との時間を次なるステージに進めて、みてはいかがだろうか?