省スペースで、ハンドルを切った状態もテストできる進化型ダイナモ

東洋電機製造のインタイヤハウスダイナモ。最新の小型版が人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMAで展示された

電動化や自動運転といったテクノロジーは日進月歩。技術トレンドに遅れを取ることは、商品性の面でライバルにリードを許すことに直結する。

自動車メーカー各社の経営戦略では新車開発のスピードアップが重要な目標としてフィーチャーされることが多い。そのためにはコンピュータによるシミュレーションの領域を拡大することは重要となるし、昨今はAIの活用を謳うケースも増えている。

しかしながら、最終的には実車で確認すべきこともまだまだあるし、実車でなければできないテストも少なくないと聞く。だからといって、すべての実車テストをリアルワールドで実施するというのは難しい。条件を揃えるのは難しいし、なにより開発スピードを上げることを考えると、実車テストに要する時間はボトルネックになりやすい。

実車テストを想定した環境下において効率よく実施できる開発に欠かせない道具が「ダイナモ」と呼ばれる試験機だ。

「ダイナモ」という言葉から、大きなローラーを回すシャシーダイナモを思い浮かべる人も多いだろう。チューニングカーをパワー測定するときなどに使っている様子を想像するだろうが、あれも新車開発で使われる「ダイナモ」の一種。

ただし、シャシーダイナモは設置に大規模な工事が必要であるし、なにより真っ直ぐ走るシチュエーションしか再現できない。ホイールハブに接続するダイナモを各輪につなげれば、抵抗を変えることで一輪だけスリップさせるような挙動を台上で再現することもできるが、車両側のハンドルを切れないという意味では同様だ。

しかし、ホイールハブに接続するダイナモでも、いまや操舵に対応した機器が複数存在している。

その中でも、省スペースで設置でき、車両へのセッティングも非常に短時間というメリットを持つのが東洋電機製造のインタイヤハウスダイナモだ。「人とくるまのテクノロジー展2026」の東洋電機製造のブースでは、その最新バージョンとなる小型モデルが展示されていた。

外径580mmの衝撃! 東洋電機製造「インタイヤハウスダイナモ」小型モデル

東洋電機製造のインタイヤハウスダイナモ・小型モデル

同社のインタイヤハウスダイナモにラインナップされている大型モデルは定格容量160kW・設置外形680mm、中型モデルは定格容量94.2kW・設置外形650mmとなっているが、新しい小型モデルは定格容量52kW・設置外形580mmと明らかに小さい。

そのコンパクトぶりかつ、操舵に対応していることは、フィアット500にセッティングして、ハンドルを切った状態での展示からも理解できるだろう。

ちなみに、通常のラジアルタイヤで外径580mmというと、185/60R14サイズがちょうどそのくらいだ。昨今の軽自動車で見かける165/55R15は560~570mm程度の外径になると聞けば、この小さなインタイヤハウスダイナモのターゲットが、どういった車種なのか想像できるのではないだろうか。

実際、この小型インタイヤハウスダイナモは、小さなクルマを得意とする某メーカーに納入され、すでに新車開発に活用されているという。

4輪を別々に制御でき、なおかつ操舵に対応することで、ABSの急ブレーキテストや先進運転支援システムの評価など広いシチュエーションの台上試験が可能となる東洋電機製造のインタイヤハウスダイナモ小型モデルは、すでに実績を積みつつあるのだ。

デジタル開発全盛であっても、このように実車テストをスピードアップする技術があってこそ、新車の開発期間が短縮できる。インタイヤハウスダイナモだけでなく、一般ユーザーの知らないところで活躍する機器が、日本のクルマづくりを支えている。

東洋電機製造のインタイヤハウスダイナモ・中型モデル