自らシフト操作を行なう醍醐味は、やはりスポーツカーには欠かせない
マニュアルトランスミッション(MT)は長年にわたり縮小傾向が続いてきた。しかし近年、スポーツカー市場では再び存在感を高めつつあるようだ。

その動きを裏付ける発言を行ったのが、NISMOブランドを統括する日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)のCEO、真田裕氏である。同氏は海外メディアの取材に対し、「3ペダル(MT)への顧客ニーズが戻ってきている」と語ったという。

世界市場ではATが主流となり、新車販売に占めるMT比率は年々低下している。一方で、運転そのものを楽しみたいユーザー層からは依然として根強い支持を集めている。
トヨタGR86、マツダ・ロードスター、ホンダ・シビック タイプR、スバルWRX、日産フェアレディZといったドライバーズカーでは、MT仕様の選択率が高いことで知られる。車種によっては販売台数の半数近くをMTが占めるケースもある。真田氏の発言は、そうした市場の変化を反映したものと言えそうだ。
オーストラリアの自動車メディア『CarExpert』によれば、真田氏は現地で開催されたNISMO関連イベントの中でMT需要について言及したという。
フェアレディZではユーザーからの要望を受け、MT仕様を設定している。当初はATのみだったフェアレディZ NISMOも、2026年夏発売予定の2027年モデルではMTが設定されることとなった。真田氏は今後もNISMOモデルにおいて、MTとATの両方を展開していく考えを示したとされる。既存のフェアレディZにはMTが設定されているため、NISMO Zへの展開は技術的なハードルも比較的低かったと考えられる。
今回の発言が注目される背景には、開発中である次期型スカイラインの存在がある。日産は現在、ブランド再建計画の中でスポーツカー戦略の見直しを進めているとされる。次期型スカイラインが実現した場合、フェアレディZとプラットフォームやパワートレインを共有する可能性も指摘されている。


もしNISMO仕様が設定されれば、MTモデルが用意される可能性も否定できない。もちろん現時点で日産から公式な発表はないが、真田氏の発言は将来のスポーツモデル展開を占ううえで興味深い材料と言えるだろう。
MTは「趣味性の高い装備」として生き残る
MTが再び市場の主流になる可能性は低い。電動化や先進運転支援システムとの両立が難しく、自動車メーカー各社も採用車種を限定しているためだ。
それでもポルシェは911にMTを設定し続けており、BMWもM2、M3、M4でMTを継続し、高性能モデルでは2030年頃まで維持する方針を示している。
効率や快適性が重視される時代だからこそ、自らシフトを操作する楽しさを求めるユーザーは一定数存在する。NISMOブランドが存続する限り、MTもまた完全に姿を消すことはないのかもしれない。





