

案内人はこの方!
二輪ジャーナリスト
ノア セレン
これまでにも多くの250モデルを乗り継ぎ、その知識と偏愛で知られる二輪ジャーナリスト。
歯に衣着せぬジャッジに定評があり、辿り着いた愛車はトリッカー。
英車のような世界観を1990年代に持ち込んだ異端児

旧い英車には「バスタブ」なんて呼ばれる、ボディをカバーしたトライアンフがあったり、日本ではあまり耳にしないアリエルってメーカーにはそれこそフルカバード、いや、モノコックでエンジンとライダーをまるっきり切り離した「リーダー」というモデルも存在していた。
まだMINIのような大衆車が出る前だから、バイクは立派な移動の手段で、高級なのもあったのだろう。
今見るとなかなか味わいがあるのだけど、国産メーカーでこういった雰囲気のモデルと言えば……このSW-1ぐらいじゃないかしら。
新車当時から謎に超高額だった
最近の感覚だと「SW-1、謎に超高額プレミアなアレっすね」だけれども、新車当時から謎に超高額だった。
だってエンジンはGN250とか、いわゆるボルティに使われていた空冷シングルで、見た目はお洒落だけど機動力はチョイ足りず、なのに価格は68万8000円。
当時まだ若者だった自分からするととても買える金額ではなく、街では今で言う「イケオジ」が乗ってるイメージだった。
速いわけではなく、おしゃれでクリーン。
カラーはあの落ち着いたベージュ一色。
ギヤチェンジは革靴OKのシーソーペダルで、駆動はベルトドライブを採用。
そのアンバランスさ、ニーゴー版ジョルカブ!?
タンクスペースの小物入れだってヘルメットなんて全然入らない(だって真ん中にフレームが通ってるんだもん)。
でもそんなことは一切気にしない、ちゃんとした年収を稼いでるイケオジが、小綺麗な格好をして乗るその様子は本当に50年代のイギリス的で、まさにスズキの狙い通り。
販売台数的にはアレだけど、そんなイケオジは僕ら若者に「へぇ〜SW-1だぁ」と振り向かれながら揚々と乗っていたのだから、彼らには陽が降り注いでいたことでしょう。
「ヒューマン・ウェア」「都市から自然の中へのライトクルージング」がSW-1のコンセプトだったのだけど、生活の一部としてのバイクであったり、タンデムを含めたバイクライフといったスタンスが素敵。
さらにカバードボディだけにオイルクーラーも追加されるなど、ちゃんとこだわってる。
その妙なアンバランスさにホンダの「ジョルカブ」が思い出されちゃたりするあたり、なんとも愛らしい!
中古車相場チェック(2026年7月時点)
モトチャンプ編集部が2026年7月時点で国内中古車情報を調査したところ、SW-1の中古車流通台数は8台を確認。価格帯は60万円台後半から80万円台後半が中心となっていた。
発売当時の新車価格は68万8000円だったが、現在では希少性の高さと唯一無二のキャラクターが評価され、新車価格を上回る個体が珍しくない状況となっている。
平均価格:約70万円
ボリュームゾーン:60〜70万円台
高価格帯:90万円オーバー
スズキ SW-1 主要スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売年 | 1992年 |
| 当時販売価格 | 68万8000円 |
| 全長×全幅×全高 | 2105×840×1095mm |
| シート高 | 770mm |
| 車重 | 168kg(乾燥) |
| エンジン | 空冷4ストSOHC4バルブ単気筒 |
| 総排気量 | 249cc |
| 最高出力 | 20ps/8000rpm |
| 最大トルク | 2.1kgm/5500rpm |
| 燃料タンク容量 | 10L |
| ブレーキ(前後) | ディスク/ドラム |
| タイヤサイズ(前) | 110/80-16 |
| タイヤサイズ(後) | 140/70-15 |
※この企画はモトチャンプ2023年4月号に掲載されたものを加筆修正しています。