

案内人はこの方!
二輪ジャーナリスト
ノア セレン
これまでにも多くの250モデルを乗り継ぎ、その知識と偏愛で知られる二輪ジャーナリスト。
歯に衣着せぬジャッジに定評があり、辿り着いた愛車はトリッカー。
ブラックバードに見間違えた人、絶対いたでしょ?
「おおっ! ブラックバードだ!」
ミラーに映る縦目二眼のヘッドライトに恐れをなして道を譲ると、スルスル〜っと通り過ぎるのはこのフォーサイトだったりしてね。
これね、陽は当たっていました。
フュージョンが妙に流行っちゃって、そしてその後のフォルツァが何だか大ヒットしたものだからちょっと隠れた存在になってる気がするけれど、出た当初は全然イケてた……よね?
先行して販売されていたマジェスティがカスタムされはじめた頃で、250スクーターも実用一辺倒ではなくカッコ良くなきゃいけないよなぁ、ということになった。
まだアカ抜けていなかったマジェスティに比べて、フォーサイトはずいぶんとモダンでスマートに思えたものです。
ホンダらしい空力への挑戦が詰まっていた
そんなフォーサイトは、性能面でもかなり力が入っていた。
水冷エンジンはフリーウェイ系ではあるものの、ワイドレンジのVマチックを組み合わせて高速道路走行も考慮。
ウインドプロテクションも徹底的に追求されていて、フロントスクリーン下には導入口を設けることで、スクーターでありがちなライダー胸元の負圧を軽減しつつ、高めのスクリーンで防風性も確保していた。
そして忘れちゃいけないのがフロントカウル横に並べられたエアアウトレット。
前から取り入れた風をここに導くことで車体横に風のカーテンを作り、足元への走行風を軽減するという凝った作りだった。
こういう「ちゃんと理屈がある装備」を真面目に作り込んでくるあたり、実にホンダらしいチャレンジだったと思う。
フォルツァにはない軽快さこそフォーサイト最大の武器
スリムな車体と前後12インチホイールから生み出される軽快な運動性能。
ライダーとパッセンジャー双方の快適性を考慮したフカフカのシート。
さらにコンビブレーキシステムも採用し、安全性にも配慮されていた。
後に登場した上級グレードの「フォーサイトEX」では、リアブレーキもディスク化。乾燥重量は149kgから154kgへわずかに増えたものの、制動力と高速安定性はさらに向上していた。
フリーウェイやフュージョンから見れば段違いのモダンさを持っていたし、大ヒットしたフォルツァにはなかった「軽さ」と「扱いやすさ」がフォーサイト最大の魅力だったんじゃないかな。
カスタムブームに乗れなかったのが最大の不運
ブームに乗れなかった一番の要因は、メーターやスクリーンがハンドルマウントだったこと。
当時流行し始めたバーハンドルカスタムとの相性があまり良くなかった。
そしてそんなカスタムが一般化した頃、フォーサイトはその実力とは関係なく「オジサンの移動手段」へと転身していったのでしょう。
ちなみに中古車はシートの合わせ面が裂けてる場合が多いのと、スクリーンの色あせが多い。
この2点をクリアすれば、今でも大アリでしょう!
中古車相場チェック(2026年7月時点)
現在の中古市場では標準モデルのフォーサイトが15〜17万円前後、上級仕様のフォーサイトEXは28〜39万円前後が中心価格帯となっている。EXは流通台数こそ少ないものの、リアディスクブレーキや装備の充実ぶりから人気が高く、価格差以上の価値を感じる人も多そうだ。
特にEXは後期型中心ということもありコンディションの良い個体が多く、ビッグスクーターブーム世代からの再評価も進んでいる。ノーマル車を探しているなら、むしろ今が狙い目かもしれない。
フォーサイト相場:15〜17万円前後
フォーサイトEX相場:28〜39万円前後
ホンダ フォーサイト 主要スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売年 | 1997年 |
| 当時販売価格 | 47万9000円 |
| 全長×全幅×全高 | 2070×735×1410mm |
| シート高 | 725mm |
| 車重 | 149kg(乾燥) |
| エンジン | 水冷4ストOHC2バルブ単気筒 |
| 総排気量 | 249cc |
| 最高出力 | 21ps/7000rpm |
| 最大トルク | 2.4kgm/5500rpm |
| 燃料タンク容量 | 12L |
| ブレーキ(前) | ディスク |
| ブレーキ(後) | ドラム |
| タイヤサイズ(前) | 110/90-12 |
| タイヤサイズ(後) | 130/70-12 |
※この企画はモトチャンプ2023年4月号に掲載されたものを加筆修正しています。