CVT特有の“お仕置きモード”を攻略
F-CON iSで始める本格ECUチューン
S660のECUチューニングにおいて、ピークパワーを追求するのではなく、低中速トルクの底上げを重視し、ストリートでの気持ち良い走りを追求してきた44G。カスタムデータのインストールに用いるHKSフラッシュエディターの販売実績も豊富で、MT車だけでなくCVT車のチューニングにも積極的に取り組んできた。


そんな44GがCVT車を煮詰める中で直面したのが、ブーストのオーバーシュートによるセーフティ制御の介入だった。高いブースト圧を維持したまま変速していくCVTでは、アクセルを一気に踏み込んだ際などにオーバーシュートが発生しやすい。特にフラッシュエディターによるECUチューンに加え、アルミハイフローパイピングやEVCを投入してレスポンスを高めていくほど、その傾向は強くなるという。

厄介なのは、一度セーフティ制御が介入するとメーター内の警告灯が点灯し、電動パワステが軽くなるだけでなく、スロットル制御によってエンジンも吹け上がらなくなること。いわゆる“お仕置きモード”と呼ばれる状態だ。
しかも、エンジンを再始動しただけでは復旧せず、フラッシュエディターなどを接続してクリアDTCを実行する必要がある。そのため44Gでは、カスタムデータを導入したCVTユーザーに対して、フラッシュエディターの常時車載を推奨している。

そこで、このCVT特有のストレスを解消するために44Gが投入したのが、HKSのF-CON iSだ。従来はエンジンチューンやハイブースト仕様などで活用していたサブコンだが、CVT車ではオーバーシュートによる制御介入を抑えながら、エンジンのポテンシャルを引き出すために使用する。フラッシュエディターでカスタムデータをインストールした上で、EVCとF-CON iSを組み合わせた統合マネージメントを行なうのだ。

ポイントは、単純にブースト圧を抑えて安全方向へ振っただけではないこと。最大ブースト圧を従来の1.2キロから1.1キロへ下げながら、緻密な現車セッティングによって低中速域のトルクとピークパワーはむしろ向上させている。
EVC単体でもブーストの立ち上がりなどは改善できるが、オーバーシュートの根本的な対策までは難しい。そこでF-CON iSまで含めて制御を煮詰めることで、アクセルを踏み込める安心感と速さを両立させたというわけだ。

S660用にはF-CON iSの専用ハーネスが設定されていないため、装着には現車でのハーネス加工とセッティングが必要となり、費用は33万円〜。決して手軽なメニューではないものの、CVT特有の制御介入に対する不安を払拭できるだけでなく、ブースト圧を抑えることでタービンへの負担を軽減しながら、全域でエンジン性能を高められるメリットは大きい。

もちろん、いきなりF-CON iSまで投入する必要はない。44GがCVT車のエントリーパワーチューンとして推奨するのは、フラッシュエディター、ハイフローパイピング、EVCの組み合わせだ。この仕様だけでも走りは大きく変化し、そこからさらに安心して攻められる仕様を求めた際に、F-CON iSが次の一手となる。
また、MT/CVTを問わず、ノーマルS07Aはコンロッド強度を考慮すると、100ps付近が安全マージンになるというのが44Gの考え方。さらなるパワーを求めて高額なエンジンチューンへ進む前に、まずはエンジンマネージメントの最適化を徹底することを推奨している。
なお、CVTはライトチューンであってもシャフト折れやベルト切れが発生する例があり、44Gではチューニングの度合いだけでなく、ミッション部品そのものの個体差も大きいと見ている。


さらにサーキットでは、S660でパワーダウン制御の要因となる吸気温度への対策も重要だ。44Gでは、約3Lのタンクを助手席に設置するウォータースプレーシステムを用意。30分の走行枠なら3秒間隔で2秒噴射する設定で走り切れるほか、インタークーラーダクトを加工して氷を載せる簡易的な氷冷システムも有効だという。

CVTだからといって、S660のパワーチューンを諦める必要はない。むしろCVT特有の制御を理解し、それに合わせてエンジンマネージメントを煮詰めることが重要なのだ。オーバーシュートの不安を抑え、ブースト圧を下げながらも速さを引き上げるF-CON iS。44Gが辿り着いたこのセットアップは、CVTのS660をストレスなく楽しみ尽くすための、有力な回答なのである。
●取材協力:ヨンヨンジー 京都府木津川市山城町平尾横手31 TEL:0774-86-6100
【関連リンク】
ヨンヨンジー
https://s660-44g.ocnk.net

