【バイクの熱中症対策】「ネッククーラー系アイテム」、気になる3製品をバイクで試してみた。

写真左上)街中でも人気の電動ファン内蔵の扇風機型ネッククーラー 写真左下)古典的な昔ながらの保冷剤+薄手のてぬぐい 写真右上)アイス(氷)と水を使う即効性の高い超冷却ネックアイスバッグ 写真右下)金属部が冷えるバッテリー式のネッククーラー
夏の気温上昇にともない、国内では動脈と静脈を冷やして熱中症を防ぐネッククーラーが流行。街中や電車内でネッククーラーを使用する姿も当たり前となった。バイクでの走行時もこのネッククーラーを駆使すれば快適に走行できるのではないか? 市販のネッククーラーや保冷剤などを使い、バイク走行時にも効力を発揮するかを実験してみた。

PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

目次

首周りの冷却は熱中症予防にも役立つぞ!

もしも熱中症になった場合、即座に

1:首の左右
2:両脇の下
3:足の付け根

を冷やすのが鉄則。猛暑日に首の左右(動脈と静脈)を冷やす流行りの手法は、単に涼しさを獲得するだけでなく、熱中症予防にも役立つのがポイント。医学的にも理に叶ったものだ。ここでは「1:首の左右」を冷やすことを目的とした、バイク乗車時でも使えそうなツールや手法を集めてみた。

★総数=バイク走行時、信号待ち、冷房の効いた室内、利便性、バイクとの相性、コストパフォーマンスの★数の合計をポイントとして計上

超冷却ネックアイスバッグ……購入価格:1280円(税込)  ★総数=26ポイント

バイク走行時 ★★★★★
信号待ち ★★★★★
冷房の効いた室内 ★★★★★
利便性 ★★★★★
バイクとの相性 ★★☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★★☆

首周りをキンキンに冷やしてくれるが、約1.2L(1.2kg)という重さが影響したのか、筆者は30分ほど使用したところで、少し肩が凝ってしまった(ただし筆者は肩凝り症ではない)。
投入口のキャップを回して蓋を開け、氷と水を投入。投入口はコンビニの“カチ割り氷”も挿入できる大口径に設計。コンビニで購入した、ビニール袋入りの定番カチ割り氷「ロックアイス」を使用した。

挿入口からアイス(氷)と水を入れる(約1.2L)タイプの超冷却ネックアイスバッグ。“超冷却”というネーミングの通り、酷暑の中でも目が覚めるほど首周りをキンキンに冷やしてくれる。

超冷却ネックアイスバッグのポイントは、出先で氷と水の挿入&注入(入れ替え)が可能なこと。たとえ氷が融けて水温が上がっても、コンビニやスーパーで氷と水を調達すれば、再び強烈で速攻性の高い冷却効果が獲得可能だ。デリバリー使用時やロングツーリングなどでは、休憩ごとに中身を入れ替えることができるのも嬉しいところ。この点は保冷剤タイプよりも超便利。

この超冷却ネックアイスバッグは、バイク乗車専用に設計されていない肩掛け式のため、上半身の不意な動き。またスピードの出るビッグバイクなどでは、走行中に落下してしまう可能性あり。バイクで使用するならば、本体の端と端を固定するフックを自作するなど、落下防止の対策もしておきたい。

保冷剤+薄手のてぬぐい……購入価格:203円(税込)  ★総数=26ポイント

バイク走行時 ★★★★★
信号待ち ★★★★★
冷房の効いた室内 ★★★★★
利便性 ★★☆☆☆
バイクとの相性 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★★★

スーパーマーケットで貰えば0円の保冷剤。今回は鳥繁産業の保冷剤「ファインパック S100g ナイロンタイプ 10個」を購入。価格は10個入りで203円(手拭い代は除く)。サイズは1個あたり85mm×130mmで重さは1個100g。
酷暑の中、タンスの中にあった貰い物の薄手の手ぬぐいの中に、カチカチに凍った4個の保冷剤をセットして首に巻き付けてみた。

生鮮食品やデザートを買った際にもらえる保冷剤で、酷暑を凌げるか試してみた。日本古来の薄手の「手ぬぐい」に、カチカチに凍らせた保冷剤4個を包み、首に巻き付けるという昔ながらの古典的な手法だ。

今回タオルではなく手ぬぐいを使用した理由。それはタオルよりも、手ぬぐいは圧倒的に薄い生地であること。薄い生地=ダイレクトに保冷材の冷たさを、首元に伝えるためだ。実際に使用してみたところ…

「キンキンに冷える!」、「生き返った!」、「ズバリこれだぜ!」という感覚! 首に巻き付けた瞬間、首元を伝い、冷たさが全身に伝わる。あまりの暑さに悲鳴を上げそうになっていた意識と身体が、「シャキーン!」と一気に目覚めた。

強烈な温度差に身体がビックリしたのか、はたまた瞬時のうちに、妙な脳内麻薬が分泌されたのか? 首元に装着した途端、脳天を貫くような強烈な快感を感じた。

アイスノン 首もとひんやり氷結ベルト……購入価格:950円(税込) ★総数=26ポイント

バイク走行時 ★★★★★
信号待ち ★★★★★
冷房の効いた室内 ★★★★★
利便性 ★★★☆☆
バイクとの相性 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★★☆

通販大手サイトで購入した「アイスノン 首もとひんやり氷結ベルト」。ベルトカバーが1枚に保冷剤となるゲルが2本セット。価格は950円(税込)とお手頃。
カチカチに凍らせた4つの保冷剤を、切らずにそのまま付属のベルト内へ差し入れ、ベルトの両端にあるベルクロで首に固定した。

「アイスノン 首もとひんやり氷結ベルト」は連結された4個の保冷剤と、首巻用の専用ベルトカバー1セットになった商品。先述の「保冷剤と手拭い」の組み合わせがまるごと商品化された様なパッケージである。氷結ベルトを首に巻いた途端、それまでの汗ダク地獄が嘘のように収まり、発汗が止まり頭の思考回路がスッキリ。血液温度が下がり、脳内が活性化されたのか? 1分もかからず、頭がシャキッとした。

酷暑の中、30分以上走り続けていたのだが、首に巻いた当初と効き目がそれほど変わっていない。試しに一度バイクから降り、ヘルメットを脱いでベルトを外してみると…

ベルト内のゲルはカチカチとは言えないものの、まだまだ凍っている感触があり。また先ほどまで汗でじっとり湿っていたヘルメット内が、徐々に乾燥。ライダーの頭部が発汗しなくなったことで、ヘルメットが備える通気性が発揮されたのかもしれない。詳しくは下記ページをチェック!

SOHAPI 冷感タオル……購入価格:999円(税込) ★総数=23ポイント

バイク走行時 ★★★☆☆
信号待ち ★★★☆☆
冷房の効いた室内 ★★★★★
利便性 ★★★★☆
バイクとの相性 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★★☆

水に濡らし、絞って使用するタイプの冷感タオル。3枚セットで購入価格は999円(税込)。
走行中、首周りはそこそこ快適な温度に保たれ、頭部からの発汗が抑えられた。

テストした冷感タオルは全面がメッシュ構造となっており、表裏で素材が異なるのが特徴。水に濡らしてタオル全体が水を吸ったら、水が滴り落ちなくなるまで手で絞る。絞ったタオルを広げて全面に風を受けるよう何度か振り、首に巻き付ける。

タオルを首に巻くと、ものの数秒で首回りが冷えてきた。これは確かに効果アリ! 続けてヘルメットを被ってみるが、意外にも頭部の不快指数は上がらない。恐らく動脈・静脈を冷やすことで全身を回る血液の温度が下がり、頭頂部からの発汗を抑えてくれているのだと予測。

30分ほど運転を続けていると、何となく冷却効果さが薄れてきた。試しにバイクから降りてタオルを首から外すと、タオルの温度が当初より明らかに温かい。快適に過ごせるのは、40〜50分が限度といった印象。ぬるくなったらバイクから降りて、もう一度水に濡らせばOK。

BLADELESS NECK FAN……購入価格:2599円(税込) ★総数=14ポイント

バイク走行時 ★☆☆☆☆
信号待ち ★☆☆☆☆
冷房の効いた室内 ★★★★★
利便性 ★★★★☆
バイクとの相性 ★☆☆☆☆
コストパフォーマンス ★★☆☆☆

Amazonで購入したネッククーラー。街中でもよく見かける電動ファン内蔵の扇風機タイプ。
折り畳み式の首掛け扇風機を装着し、バイクを運転してみたが、走行風+αの効果はなかった。残念……

風量を強に設定してスイッチをONして走行してみるが、うーん、微妙……。扇風機から噴出される温風が、首元で走行風にかき消されるイメージ。涼しさを感じるのは、むしろ走行風そのもので、首元自体はプラスチックボディが煩わしく感じる。

信号待ちでの涼しさに期待したものの、アスファルトの照り返しも強烈すぎるせいか、温風しか出てこない。もちろん風量をMAXの強にしているが、空冷効果はほとんどなし。熱風が首周りにまとわりつくだけ。

バイクを降り、日陰でしばし身体を冷やして使用してみると、「やや涼しい」という印象。早朝&夜のウォーキングなどでは、涼しく使えるかも。

続いて冷房の効いた室内で使用してみると……。快適カイテキ! クーラーの設定温度を1℃上げても、首周りは1℃上げる前と同等の涼しさがキープできるイメージだ。

Yihai・ネッククーラー・ネックヒーター……購入価格:2880円(税込) ★総数=14ポイント

バイク走行時 ★☆☆☆☆
信号待ち ★☆☆☆☆
冷房の効いた室内 ★★★★☆
利便性 ★★★★☆
バイクとの相性 ★☆☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆

Amazonでレビュー評価の高かった、“空冷ではなく部分的に冷やす”ネッククーラーを使い、バイク走行時の快適性を追求。
1分も経過すると冷却部分が汗でヌルヌルし、体温と汗で熱せられるように冷たさが遠ざかっていく。こちらも残念……

首の左右部に設置された金属部が冷えるシステムのネッククーラー。灼熱の中、3段階調整システムでもっとも冷える15℃に設定し、首に掛けてみたところ、確かに最初は冷たさが感じられる。

ただし1分も経過すると、冷却部分が汗でヌルヌルし、体温と汗で熱せられるように冷たさが遠ざかっていく。常に高温の状態にある体温・汗・外気温に対し、冷却機能が追従していないイメージだ。ネッククーラーを首に掛けたまま走行してみても、残念ながら、「冷たくて快適」という感覚には遠い。

バイクを降りて日陰で身体を冷やしてみると、汗が引いて体温が低下するせいか、走行時よりも若干の冷たさが感じられる。このネッククーラーが本領を発揮するのは、外気温が下がった早朝や日没後。また冷房の効いた室内や車内。特に冷房の効いた室内や車内では、首周りを伝って全身の快適性が大幅に向上。上記の扇風機型ネッククーラーを凌ぐ、高い冷却効果をもたらしてくれた。

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