2030年版計画 新たに掲げた目標は死亡事故半減と免許制度の見直し 2022年の取り組みは8月25日のバイク・ラブ・フォーラムで発表

2030年に向けてバイク業界はどうあるべきか。その計画をまとめた「二輪車産業政策ロードマップ2030」が、昨年11月公表されました。2020年版との大きな違いは死亡事故半減と免許制度などバイク環境の見直しに言及したこと。計画を作成した「BLF」(=バイク ラブ フォーラム)は、経済産業省と地方自治体、バイク業界8団体で構成する会議体。8月25日に大分県日田市で開催される第10回で、2030年計画最初の報告が予定されています。
2022年第10回目の会合は大分県日田市で開催される

バイク環境を変える ロードマップ2030には11の政策課題

「二輪車産業政策ロードマップ2030」(以下=2030年計画)は、難しいバイク環境の改善に挑戦することで、国内市場の拡大を目指します。2020年計画では国内市場100万台の内需目標は達成できませんでした。2030年計画では数値目標にこだわらず、足元の約40万台市場の底上げを図る計画に変更されました。

BLFに日本自動車工業会二輪車委員会代表として参加する日髙委員長 撮影=中島みなみ

  今回はこの2030年計画の中でも、ライダーに直接的に影響を及ぼす2つの項目に注目してみます。2030年のゴールを待たず、実現が急がれる課題は「二輪車のあるべき車両区分と免許制度の見直し」です。

 車両区分と免許制度は、多くのライダーが不満を持ち、改善を求めている点です。例えば「原動機付自転車」だけでも、免許制度では排気量50ccまで。車両区分では排気量125ccまで、税制では排気量50cc、90cc、125ccと小刻みな区分があるのに、駐輪場に止められる車両は原則排気量50ccまでと、何が「原付」かわからない状態です。

  こうした縦割り行政の解釈は、バイクにとって利用しやすい環境とはいえないことはわかっていても声を上げられなかったのは、見直し議論が国内販売だけでなく、増税議論や車検対象の拡大など広い範囲で影響を及ぼしかねない、という消極論があったためです。2030年計画にある意味タブーともいえる「二輪車のあるべき車両区分と免許制度の見直し」が掲げられたことは相当な前進です。

 10年一日のごとく固まったままのバイク環境は、本当に変えられないのでしょうか。バイク業界の動きの鈍さは一目瞭然です。

 電動キックボードなど「特定小型原付」と呼ばれる新しいモビリティは、2020年から2024年にかけて、「原付」→「小型特殊」→「特定小型原付」と取り扱いが変わり、「特定小型原付」では、最高速度20km/h以下で、16歳以上免許不要の利用環境を認められることになりました。車両区分と免許制度を利用者目線で見直すことができなければ、バイクの移動手段としての役割は低下することを避けられません。

 2022年のBLFは、この課題にどう向き合うのでしょうか。

2030年にバイク事故死者2020年比で半減 安全運転教育の充実の具体策は? 

 

 経産省とバイク業界が作成した「二輪車産業政策ロードマップ」に事故防止が盛り込まれたことは、ある意味驚きでした。重傷化リスクが高い二輪車事故を減らすことは重要なポイントですが、一般的にはバイクの購買動機には結びつきにくいからです。

 しかし、先進安全技術の搭載で四輪車乗車中の事故が激減し、相対的に減少幅の小さいバイク事故は、死亡の大きな要因として話題になることが多くなりました。軽自動車は安全機能搭載で市場を拡大しました。技術力向上で死亡事故減少をバランスさせる四輪車に対して、バイク業界は死亡事故半減にどのように取り組むのか。

 2030年計画では、他の政策課題にはない2050年に事故死者ゼロという最終ゴールを設定。2030年はその中間目標として二輪車事故死者数を2020年比で半減するという具体的な数値が盛り込まれています。

 警察庁交通局の統計では、二輪車乗車中の死者数は2020年と2021年比較で526人から463人、63人減少しました。行動制限の多かった2年間だったので、今後どうなるかはわかりません。

 2030年計画は、その対策の1つとして安全運転教育の充実を取り上げていますが、安全教育に係る人材や費用の確保については、これからの議論です。

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