ドゥカティ=気むずかしい、はウソ! ツーリングにも気負わず使えるのがSUPERSPORT Sである。

2006年に生産を終了し、16年10月のドイツ・ケルンショーで復活したドゥカティ「SS=スーパースポーツ」。現行モデルはパニガーレを彷彿させるフロントマスクで、最高出力110PSを発揮する排気量937㏄のL型2気筒テスタストレッタ11°エンジンを搭載します。

REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

※2019年12月25日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

全域トルキーで、扱いやすさもある

ドゥカティ SUPERSPORT S

 パイパーモタード系譲りの排気量937ccL型2気筒テスタストレッタ11°は最高出力110PS/9000rpm、最大トルクは93Nm/6500rpmを発揮しますが、その80%をわずか3000rpmで発生してしまいます。

「スーパースポーツ」というネーミングからサーキット向けの尖ったエンジンフィーリングを想像しがちですが、先代たちがそうであったように街乗りからツーリング、サーキット走行も楽しめるオールラウンダーであるのがドゥカティSuperSport(スーパースポーツ)というわけです。

 ミドルレンジが力強く、限られたパワーバンドはなく低速域でもギクシャクするようなことはありません。しっかりとあるパルス感は大袈裟ではなく、スムーズに回って中高回転域も伸びやか。ピークトルクを6500rpmで迎えても、10,000rpmまでパワフルに回りきっていくのです。

ドゥカティ SUPERSPORT S

 ハンドリングは軽快で、速度域が上がらなくともキビキビ走ってくれるのも、公道に主眼を置いたマシンであることを強く感じさせます。前後サスペンションはしなやかに初期荷重からよく動き、優れたトラクション性を生み、気を抜いてもスロットル操作と荷重移動のテンポを極端に間違わない限りは、リズム良くコーナーを駆け抜けられる親和性も持ち味になっています。

 ライディングモードは「スポーツ」「ツーリング」「アーバン」の3つが予め用意され、ABSやトラクションコントロール、クイックシフトの設定が変化。右手のグリップ操作にダイナミックに反応する「スポーツ」を選んでも過激すぎるなんてことはなく、肩肘張らずに楽しめるトータルバランスに優れたスポーツバイクであることがわかるのでした。

 ただし、冷たい路面に手こずるときはトラコンの介入度が高い「アーバン」や「ツーリング」の恩恵を感じるとき。さらに乗り手の好みや技量に合わせて、モードをカスタマイズすることもできます。

 目をつり上げなくとも、ゆったり走っているだけでハイペースを保て、乗り心地もいい。もし、ドゥカティは気難しいなんて敬遠している人がいたら、ぜひ乗って試していただきたい。その先入観が変えられるはずです。

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著者プロフィール

青木タカオ 近影

青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。最新バイク情報をビギナーの目線に絶えず立ち返…