車体と足まわりが大進化のRC390、その軽快な操舵に「オヤッ」と驚いた。|KTM・RC 390試乗記

サーキットで思い切り良い汗かいた後、帰路はホッとする心地よいひと時が楽しめる。
2022年3月のプレスリリースで公表されていた新型RC 390の試乗機会が訪れた。7月28日に報道関係者を対象に開催された発表試乗会。富士スピードウェイのショートコース及び周辺一般道を舞台に早速そのポテンシャルをチェックした。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●KTM Japan 株式会社

ディテール解説

CFD(Computational Flow Dynamics)シミュレーションを駆使してデザイン。空力特性と風防性能が高められたカウルリングは少し大きめなフロントマスクを披露する。

キャストホイールのスポーク部にマウントされたφ320mmのシングルディスクローター。ラジアルマウントされたBYBRE製油圧キャリパーは対向4ピストンタイプ。

水冷ツインカムのシングルエンジンは、制御マップが一新されている。最高出力の発生回転数が低められ、さらにトルクアップも図られている。

右出しのマフラーも円筒形のニューデザインを採用。従来モデルよりさらに上方へ跳ね上げられてフィニッシュする。

白いコイルスプリングが印象的なモノショックユニットは、WP製APEX。プリロード調節と伸び側のダンピング調節ができる。

φ230mmのシングルディスクローターにはBYBRE製1ピストンのピンスライド式油圧キャリパーを装備。タイヤはコンチネンタル製ContiRoadを履く。

トップブリッジの下方でフロントフォークを摘むクリップオン式セパレートハンドルを装備。トップブリッジ下部までは10mmのクリアランスが空けられており、その範囲でハンドルセット位置が調節できる。

下から順にベストポジションにあるホーン、ウインカースイッチ。その上はメニューキー。向こう側には人差し指で扱うディマー&パッシングスイッチ。
右側のハンドルスイッチは至ってシンプル。上の赤いのがエンジンキルスイッチ。下の黒いのが、始動用のスタータースイッチ。

TFTカラーディスプレイも一新された。多彩な情報表示を担うメーター照明は自動調光式。明瞭でみやすい。

グリップ性能に優れた表皮を持つシートは、段差のあるセパレートタイプ。
フロントクッションは、前後シート間にあるキーロックを解錠すると、脱着できる。
フロントフォークの左側では圧側のダンピング調節ができる。白いつまみを回し、30クリックの中で好みの設定が可能。
フロントフォーク右側の赤いつまみを回すと、30クリックの範囲で伸び側のダンピング調節ができる。

斜めに跳ね上がるサブフレームエンドをシュッとシャープに引き締められたテールビュー。灯火類はLED式が採用されている。

主要諸元

車名:KTM・RC 390
軸距(mm):1,343
最低地上高(mm):158
シート高(mm):824
車両重量(kg):155(半乾燥)
車両重量(kg):164(燃料満タン)
乗車定員(人):2
燃料消費率(L/100km):3.46(28.9km/L)

エンジン型式:水冷4ストローク 単気筒
動弁型式:DOHC 4バルブ チェーン駆動
排気量(㎤):373
内径×行程(mm):89×60
圧縮比:12.6:1
最高出力(kW[PS]/rpm):32[44]/9,000
最大トルク(N・m/rpm):37/7,000
始動方式:セルフ式
バッテリー:ETZ-9-BS(12V 8Ah メンテナンスフリー)
燃料供給装置形式:Bosch製電子制御燃料噴射式
燃料タンク容量(L):約13.7(含む予備約1.5L)
潤滑方式:ウエットサンプ及び圧送式
潤滑油量(L):1.7

クラッチ形式:湿式多板式(PASCスリッパークラッチ)
変速機形式:常時噛合式6速
変速比:
 1速:2.667(12:32)
 2速:1.857(14:26)
 3速:1.421(19:27)
 4速:1.143(21:24)
 5速:0.957(23:22)
 6速:0.840(25:21)
1次減速比:2.667(30:80)
2次減速比:2.933(15:44)

キャスター角(度):23.5°
トレール(mm):84
タイヤ(前/後):110/70R-17 M/C 54V (チューブレス) / 150/60R-17 M/C 66V (チューブレス)
ホイール(前/後):3.00×17(アルミキャスト)/4.00×17(アルミキャスト)
ブレーキ形式(前/後):φ320mm油圧式ディスク / φ230mm油圧式ディスク
懸架方式(前/後):テレスコピックφ43mm倒立式/ スイングアーム式
サスペンションストローク(前/後mm):120/150
フレーム形式:スチール製トレリスフレーム。パウダーコート塗装

生産国:インド

試乗後の一言!

サーキットで楽しむスポーツ走行の実力はこのクラスのトップレベルにある。

フレンドリーな出力特性は市街地でも扱いやすい。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…