独創的な前方吸気・後方排気を採用したスモールアドベンチャー!

今人気のカテゴリー、アンダー400ccのアドベンチャーツアラー|BMW G310GS試乗

2017年から発売が始まったG310シリーズは、1960年代中盤にR27の生産を終了して以来、BMWが約半世紀ぶりに手がけたアンダー400ccである。そのアドベンチャーツアラー仕様となるG310GSは、果たして、どんな性能を備えているのだろうか。

REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)
PHOTO●佐藤恭央(YASUO Sato)

※2021年3月6日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

BMW G310GS

フロントマスクはGSシリーズ全車に共通するデザイン。試乗車のヘッドライトはハロゲンバルブだが、2021年型はLED化。コンパクトなスクリーンは、大型のアフターマーケット製に交換するユーザーが多いようだ。

BMW G310GS

ハンドルバーはワイドで絞り角は少な目。ただしシートやステップとのバランスがいいようで、個人的には違和感は皆無だった。試乗車が装着するナビマウントホルダーやエンジンガードは純正オプション。

液晶デジタルメーターはG310Rと共通で、視認性は至って良好。スピードの上には、オド&トリップ×2に加えて、平均燃費や平均速度、航続可能距離などを表示することが可能。

BMW G310GS
BMW G310GS

ガソリンタンクはインナー式で、容量は意外に少ない11ℓ。とはいえ30km/h前後の燃費を考えれば、航続距離に大きな不満を感じることはなさそうだ。

BMW G310GS

前後一体式シートの座り心地はなかなか良好。純正オプションとして、+15mmのハイと-15mmのローが設定されている。なお日本仕様は、シート下にETC2.0ユニットを標準装備。

BMW G310GS

アルミ製大型リヤキャリアは、ツーリング好きなら嬉しくなる装備。ただし、純正オプションのトップケースを前提にしているようで、荷かけフック的な出っ張りは存在しない。

BMW G310GS
BMW G310GS
BMW G310GS
試乗記では異論を述べたものの、DLC仕上げのショートロッカーアームやニカジルメッキシリンダー、ダイレクトイグニッションなど、Gシリーズのパワーユニットは最新技術を導入。振動緩和用のバランサーは1軸式。

Gシリーズ用として専用開発されたDOHC4バルブ水冷単気筒は、シリンダーを後方に10度傾けたうえで、シングルエンジンでは珍しい前方吸気・後方排気を採用。

BMW G310GS
フロントフォークはφ41mm倒立式。タイヤサイズはF:110/80R19・R:150/70R17で、試乗車が装着するのは、兄貴分でも採用例があるメッツラー・ツアランス。
BMW G310GS
ブレーキは、F:φ300mmディスク+ラジアルマウント式4ピストン、R:φ240mmディスク+片押し式1ピストン。ABSは任意でキャンセルすることが可能だ。
BMW G310GS

デザインに対するこだわりを感じるスイングアームはアルミ製。アンダー400ccクラスではかなり長めとなる650mmのスイングアームは、エンジンの吸排気系を逆転させたことによる恩恵。

BMW G310GS

10段階のプリロード調整機構を備えるリアショックは、リンク無しの直押し式。後部に備わるカバーは、悪路を考慮したGSならではのパーツ。

BMW G310GS
BMW G310GS
BMW G310GS

主要諸元

全長:2,075 mm
全幅(ミラーを除く):880 mm
全高(ミラーを除く):1,230 mm
シート高:835 mm
車両重量:170 kg
燃料タンク容量:11 L
リザーブ容量 :約1 L
エンジン型式:4ストローク DOHC水冷単気筒4バルブ
ボア x ストローク :80 mm x 62.1 mm
排気量:313 cc
最高出力 :25 kW(34PS)/ 9,500 rpm
最大トルク:28 Nm / 7,500 rpm
圧縮比 :10.6 : 1
点火 / 噴射制御:電子制御エンジンマネージメントシステム(BMS-E2)
エミッション制御:三元触媒コンバータ、排ガス基準EU4をクリア
燃料消費率 / WMTCモード値 (クラス3)、1名乗車時:30.3 km/L ( 3.33 L / 100 km )
燃料種類 :無鉛レギュラーガソリン
オルタネーター:308W
バッテリー:12V / 8Ahメンテナンスフリー
クラッチ:湿式多板
ミッション:6速
駆動方式 :チェーン式
フレーム :チューブラーフレーム
フロントサスペンション:倒立式フォーク(41 mm径)
リアサスペンション:キャストアルミダブルスイングアーム、センタースプリングストラット,プリロード油圧調整式
サスペンションストローク:フロント / リア 180 mm / 180 mm
軸距(空車時):1420 mm
キャスター:98 mm
ステアリングヘッド角度:63.3°
ホイール:アルミキャストホイール
リムサイズ:フロント 2.50 – 19/リア4.00 – 17
タイヤサイズ:フロント110 / 80 R19/リア150 / 70 R17
ブレーキ:フロントシングルブレーキディスク、4ピストンブレーキキャリパー ブレーキ/リアシングルブレーキディスク、シングルピストン フローティングキャリパー
ABS:BMW Motorrad ABS

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著者プロフィール

中村友彦 近影

中村友彦

1996~2003年にバイカーズステーション誌に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。1900年代初頭の旧車…