最新スーパースポーツ「マクラーレン アルトゥーラ スパイダー」登場

最高出力700PSでオープンエアが楽しめる「マクラーレン アルトゥーラ スパイダー」デビュー

爽快なオープンエアドライブが楽しめるアルトゥーラ・スパイダー。オープンに要する時間はわずか11秒。
爽快なオープンエアドライブが楽しめるアルトゥーラ・スパイダー。オープンに要する時間はわずか11秒。
V6ツインターボエンジンにモーターを加えたPHV「マクラーレン アルトゥーラ」にスイッチひとつでオープンエアが楽しめる「スパイダー」が加わった。同時に多くの改良が施され、クーペもさらなる進化を果たしている。

McLaren Artura Spider

開閉所要時間はわずか11秒

マクラーレンのハイブリッド・スーパースポーツ「アルトゥーラ」にスパイダーが加わった。一見すると従来のクーペと見分けがつかないくらいの流麗なボディスタイルだが、スイッチを押すとリヤのトノカバーが開いて乗員頭上のルーフがスムーズに格納される。

その所要時間はわずか11秒なので、気が向いたらいつでもオープンドライブを楽しむことが可能だ。Cピラーに当たる部分のバットレスは一部がガラスとなっており、斜め後方の視界に優れるのが「アルトゥーラ スパイダー」の特徴。

乗員後方のリヤスクリーンはボタンひとつで昇降するので、オープン時にさらに開放感を高めたり、またクローズド時にV6エンジンのサウンドを室内で楽しんだりすることも可能だ。ちなみにエキゾーストサウンドはレゾネーターの変更や排気バルブの改良、テールパイプを上向きの円錐形とすることなどで、中〜高回転域がさらにクリーンな音になっているという。

また、標準のルーフはカーボン製だが、オプションで調光機能を持つエレクトロクロミック・ガラスパネルを選択することもできる。これはほぼ素通しの状態から太陽光を99%カットする状態までを任意に設定できるガラスパネルなので、クローズドのままで太陽を存分に感じながらドライブを楽しむこともできるのだ。

EV走行可能距離は2km延長されて33kmに

マクラーレンならではのカーボンファイバーモノコックのボディはオープンにしてもボディ剛性がまったく損なわれないので、余計なボディ補強をする必要がない。そのためオープン機構が加わったにもかかわらず、乾燥重量はクーペからわずか62kg増の1457kgに収まっている。

パワートレインは従来のクーペと同様に3.0リッターV6ツインターボエンジンにモーターを組み合わせたPHVだが、エンジン本体のパワーは585PSから605PSへと20PSアップ。95PSのモーターを合わせたトータルのパワーは700PSへと向上した。またバッテリーの容量は従来と同じ7.4kWhだが、システムの効率を高めた結果EV走行可能距離は31kmから33kmへと伸びている。

機構面での進化は他にもあり、アルトゥーラ スパイダーでは新たにパワートレイン冷却のための空気熱冷却システムが採用されている。これはエアを効率よく採り入れてパワートレインの冷却を促進するシステム。リヤフェンダー上に開けられたふたつのダクトはクーペには見られないもので、これが冷却用の空気を取り入れ、また高温の空気を排出する役割を果たす。またルーフやバットレスも、トノカバーのダクトへとエアを流す形状となっているという。さらにウインドスクリーンには小型のガーニーフラップが取り付けられ、オープン時の車内への空気の巻き込みを低減するという。

いくつか改良が加えられた2025年モデル

クローズド時のシルエットも美しい。Cピラー部分は一部がガラスとなって、いるので、後方視界を妨げない。
クローズド時のシルエットも美しい。Cピラー部分は一部がガラスとなって、いるので、後方視界を妨げない。

以上がアルトゥーラ スパイダーの主な特徴だが、クーペも含めてアルトゥーラは2025年モデルでいくつか改良が加えられている。パワートレインの無駄な動きを制限するエンジンマウント、ショックアブソーバーのダンパーバルブの改良とドメイン・コントロール・ユニット(DCU)の性能アップ、ABSのキャリブレーション変更、トランスミッションのキャリブレーション変更などだ。これらによってハンドリングの動きに対するダンパーの減衰の反応が最大90%高まり、200km/hからの停止距離が124mに短縮、変速スピードが25%早まるなどの進化を実現している。

スーパースポーツ初の量産PHVモデルとしてデビューしてから約3年。直接のライバルとなるフェラーリ296GTBはひと足先にスパイダーボディの296GTSを登場させているが、ついにスパイダーボディを加えてさらなる進化を果たしたアルトゥーラの巻き返しに注目したいところだ。アルトゥーラ スパイダーの価格は英国仕様が22万1500ポンド(約4230万円)からとなっている。

SPECIFICATIONS

マクラーレン アルトゥーラ スパイダー

ボディサイズ:全長4539×全幅1913×全高1193mm
ホイールベース:2640mm
車両重量:1457kg
エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2993cc
最高出力:445kW(605PS)/7500rpm
最大トルク:585Nm(59.7kgm)/2250~7000rpm
モーター最高出力:70kW(95PS)
モーター最大トルク:225Nm(23.0kgm)
トータル最高出力:515kW(700PS)/7500rpm
最大トルク:720Nm(73.4kgm)/2250~7000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:Fダブルウイッシュボーン Rマルチリンク
ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
タイヤサイズ:F235/35ZR19 R295/35ZR20
最高速度:330km/h
0-100km/h加速:3.0秒
車両本体価格:22万1500ポンド〜

新シャシー「MCLA」(マクラーレン・カーボン・ライトウエイト・アーキテクチャー)を採用した、ハイパフォーマンスハイブリッド(HPH)スーパーカー「アルトゥーラ」。

全モデルハイブリッド化を目指すマクラーレンの嚆矢「アルトゥーラ」【マクラーレン クロニクル】

「Track25」と呼ばれる中期新型車計画で、全量産車ハイブリッド化することを謳ったマクラーレン。その嚆矢が新開発の120度のバンク角を持つ3.0リッターV型6気筒ツインターボエンジンにモーターを組み合わせた「アルトゥーラ」である。

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著者プロフィール

永田元輔 近影

永田元輔

『GENROQ』編集長。古典的ジャイアンツファン。卵焼きが好き。愛車は993型ポルシェ911。カメラはキヤノン。