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質感の高さに目を見張る

実はいま、アナログレコードの人気が盛り上がっている。レコードのアナログならではの滑らかな音、大サイズのジャケットアート、針を落とすワクワク感など、CD再生やデジタル配信にはない魅力が30代を中心にウケている。そんなレコード文化を初心者でも気軽に楽しめるのがオーディオテクニカの「AT-LP120XBT-USB」だ。
「でもレコードってノイズが多いんでしょ?」と思う方もいるかもしれない。確かに静電気やカビなどが原因のプチプチノイズはある。しかし想像よりも遥かにノイズは少ない。それどころか、むしろクリアに聞こえる。ひとつにはレコード針の高性能化がある。昔に比べるとレコードの材質が改良され、さらに針の加工精度や人工ダイヤモンドの質が向上した。摩擦によるスクラッチノイズはグッと低減しており「思ったよりキレイな音!」と驚くはずだ。
その音の違いは“耳に心地よい”というやや曖昧な感覚でしか表現できないものだが、デジタル音源よりもまろやかで、長時間聴いても疲れにくく暖かみがある。実際、「レコードはCDより音楽を心地よく耳に届けてくれる」と感じる人が多いことが、近年のアナログレコード回帰の流れを生んでいる。そう、ただ懐かしいだけ、エモいだけじゃない、アナログならではの奥深いサウンドが再評価されているのだ。
Bluetoothワイヤレス接続を楽しめる


アナログの世界だけに、価格の上限は天井しらず。こだわり始めると数100万円レベルに達するが、本機は音質と価格のバランスがとても優れている。針の振動を電気信号に変えるユニットをカートリッジというが、標準搭載のVM型カートリッジ「AT-VM95E」はエントリー向けながら楕円針で繊細な音までしっかり拾ってくれる。
基本性能がしっかりしているので、針交換でさらに高音質が求められる。シバタ針など「ラインコンタクト」と言われる針タイプも用意されているので、交換時にこれらに交換すると歪感が少ない、極めて透明な音を楽しむことが可能だ。針交換では音の解像度や表現力もグッと高めることができる。まずは付属の針でレコードデビューし、慣れてきたらグレードアップすることでアナログ再生の懐の深さを楽しんでほしい。
さらに本機では、アナログ再生だけでなく現代的な機能も充実している。Bluetooth送信に対応しているので、ワイヤレスヘッドホンやスピーカーでもレコードの音を手軽に再生できる。さらにUSBでPCに接続すれば、レコードの音をハイレゾ相当のデータとして録音・保存することも可能だ。お気に入りの曲をアナログで味わい、そのままデジタル化して持ち運べるのだ。
78回転のレコードにも対応

最近は往年のアルバムが新品レコードで復刻されるケースも増えている。中古盤もネットや専門店で探しやすく、70〜80年代の名盤も意外と手頃に入手できる。本機があれば、そんなレコードの再生とデジタル化の両方を存分に楽しめる。お気に入りの音楽をアナログで味わい、その音をまるごとデータ化して残す–そんな贅沢な機能性と併せて、ふわっと広がる柔らかいアナログのサウンドを楽しんで欲しい。
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2025年 5月号
PRICE
オープン価格
(公式オンラインストア限定)
評価
アナログ入門機としての基本性能は抜群だ。付属のカートリッジも基本性能がしっかりしており、中音域の質感の良さが光る。針交換でさらに解像度が高くクリアな音質も◎。
コストパフォーマンス:5
音質:4
機能性:4
発展性:4
使いやすさ:3
【問い合わせ】
オーディオテクニカ
TEL 0120-773-417
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