目次
TOYOTA CENTURY SUV
パレード用のスペシャルカー



2025年4月20日、「モーターファンフェスタ2025」が富士スピードウェイで開催された。今年も国内外の注目モデルを一度に試乗できる大規模試乗会をはじめ、見どころ満載の内容となっているが、そのメインイベントとなるのがスーパーグリッドウォークだ。富士スピードウェイのメインストレートに国内外のさまざまなジャンルの名車が90台近く並ぶ名物イベントだが、そこに並んだひときわ珍しいクルマが世にも珍しい「センチュリー・オープンカー」である。
この異形のセンチュリー・オープンカーをニュースで見たことがある方も多いだろう。そう、日本の国技である大相撲100周年を記念して、センチュリーSUVをベースとして2024年に発表されたワンオフの特別仕様車である。各場所の優勝力士と旗手、そして優勝力士が選んだ後援者の合計3名が座る後席が用意されたパレード用スペシャルカーだ。
今回のスーパーグリッドウォーク展示のために、グリッドを訪れていた開発主査の田中義和氏に聞くと、後席には世間一般に重量級(200kg)となる力士が2名も乗るので、さぞかし補強されているかと思いきや、大掛かりな補強はなされていないという。流石にオープン化によってルーフを取り去っていることもあり、後席下のフロアを補強してはいるものの、あとは後席に大柄な乗員が座っても、沈み込まないように足まわりのセッティングをした程度だそうだ。
快適に座れるようにソファ形式


このオープンカーの趣旨は、優勝力士を称えることだ。よって、その力士たちが快適に過ごせるようにしたい。以前のクラウンは剥き出しのパイプに寄りかかる設計のリヤシートだったが、勝利力士が快適に座れるようなソファ形式にしたという。主査曰く家具などを研究して、後席ソファが美しい仕上がりになるように細心の注意を払い、美しいスタイリングを実現するべく、ベースモデルには存在しないトランクを作り上げた。妥協を許さないクルマ作りを実現しているのだ。
イベント主催者によれば、このセンチュリー・オープンカーが大相撲パレード以外で姿を見せるのは、今回が初めてだそうだ。そんな非常に貴重な機会だけあって、グリッドウォークでも人気を博していた。だが、もっとすごいのは、この貴重なセンチュリー・オープンカーが、グリッドに並ぶためにピットからコースインしてストレートまでコースをまるまる1周走ったことだ。
今回編集部ではその走行シーンを見ることは叶わなかったが、この世界に1台の希少車が、日本を代表するサーキットを走る姿は間違いなくこのモーターファンフェスタでしか見られない一大事だったろう。