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Mercedes-Benz VISION EQXX
ドイツから南フランスまで公道を走行
今回、メルセデス・ベンツ ヴィジョン EQXXは、4月5日にドイツ・ジンデルフィンゲンのメルセデス・ベンツR&Dセンターをスタートし、コート・ダジュールの景勝地カシスへと向かった。スタートからフィニッシュまでの気温は摂氏3~18度。アルプス山脈北側では小雨が降り、南側では穏やかな日差しと向かい風が吹き付けている。
ドイツのアウトバーン区間では最高速度140km/h、その他の公道では制限速度に近い速度で走行。カシスのフィニッシュポイント到着時のバッテリー残量は約15%で、航続可能距離は約140kmも残っていた。平均消費電力は100kmあたり8.7kWhと、記録的な高効率を実現している。
1回の充電のみで1000kmを楽々と完走
今回の長距離ドライブは、ドライブトレインからエアロダイナミクス、細部に至るまで、総合的に高効率を追求するというメルセデス・ベンツの新しい開発アプローチの有効性を実証すべく行われた。
指定されたポイント以外では充電ができないよう、ヴィジョン EQXXの充電ソケットを密閉した状態で走行。独立した認証機関「TÜV(Technischer Uberwachungsverei:ドイツ技術検査協会)」の専門家が同行している。メルセデス・ベンツ・グループのオラ・ケレニウス会長は、今回の公道走行テストについて、次のようにコメントした。
「私たちはやり遂げました! 1回の充電で1000km以上の距離を軽々と走り抜け、現実の交通環境下での消費電力は、100kmあたりわずか8.7kWhを記録したのです。ヴィジョン EQXXは、メルセデス史上最も効率的なクルマです。このクルマを支える技術は、電気自動車の開発におけるマイルストーンとなるでしょう」
多くの電動テクノロジーを市販モデルへと導入
2022年1月、新たな電動コンセプトとしてオンラインで公開されたヴィジョン EQXXは、1回の充電で1000km以上の走行を可能にするべく開発された。メルセデスがF1で培った電動テクノロジーが採り入れられ、軽量化とエアロダイナミクスを徹底的に追求。そのCd値は0.17を達成している。ヴィジョン EQXXに搭載された様々なテクノロジーは、今後量産されるメルセデス製EVにも搭載される予定だ。
メルセデス・ベンツ・グループのチーフ・テクノロジー・オフィサーを務める マーカス・シェーファーは、ロードトリップの成功に喜びを隠さない。
「ドイツから南フランスへのロードトリップの成功で、高効率は新たな価値になることが証明されました。私たちはメルセデスAMG F1チームを介して、電動パワートレインに関する最先端技術から多くのことを学びました。ヴィジョン EQXXは、自動車工学の未来を指し示した未来予想図だと言えるでしょう」
「革新的な技術の多くは、生産モデルへと採り入れられていくことになります。すでにその一部の技術はメルセデス・ベンツ製モデルの次世代モジュラーアーキテクチャに組み込まれているのです。私たちの旅はまだまだ続きます。ヴィジョン EQXXで何が可能なのか、その限界を試し続けることになるでしょう」