ハイエンドSUV、カリナンのユニークな「もてなし」とは

ロールス・ロイスで遊ぶという究極の贅沢。カリナンの超個性派オプションに注目

ロールス・ロイス カリナンのテール
ロールス・ロイス カリナンのテール。
ロールス・ロイス カリナンは、同社初のSUVとして2018年に登場した。20〜30代という若年層をターゲットに生まれたカリナンは、単に豪華でラグジュアリーなSUVではなく、SUVというクルマの使い方をロールス・ロイスの視点で再解釈したクルマといえる。世界に類例を見ないオプションの数々も、その証のひとつである。

Rolls-Royce Cullinan

SUV界に参入したロールス・ロイス

ロールス・ロイス カリナンのオフロード走行イメージ
ロールス・ロイス カリナンは2018年にデビュー。どんな自然の中へも「ロールス・ロイスの空間」に包まれたまま走っていける性能。それを実現するために、寒冷地帯から熱帯エリアまで徹底したテストを重ねてきた。

コロナ禍で三密回避が叫ばれる中、着実に人気を伸ばしているのがアウトドア業界。アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど地域を問わず、自由な空間を満喫できる屋外レジャーは、今後も盛り上がりを見せることが予想されている。

アウトドアのパートナーといえば、ジープやランドローバーなど、4×4の王者が定番だったが、ここ最近は“多様性”がこんなところにも現れている。たとえば、世界屈指の高級車メーカーとして名高いロールス・ロイスも、悪路に強いSUV「カリナン」を開発。英国の超名門が満を持してリリースしたハイエンドSUVは、20〜30代の若年層を筆頭に新しい顧客層をロールス・ロイスにもたらしている。

カリナンは、2018年にロールス・ロイス初のSUVとしてデビューした。その車名は、人類が発見した史上最大のダイヤモンド(3106カラット)に由来。そのダイヤモンドはのちに9つの大きな石、そして細かなピースに分けられ、最も大きな2つは大英帝国王冠と十字架付きの王笏(おうしゃく=君主のもつ装飾的な杖)に飾られている。

オフロードでもロールス・ロイス流

ロールス・ロイス カリナンのコンソールスイッチ
ロールス・ロイス カリナンのコンソールには、シンプルなオフロードスイッチがひとつ。あれこれと煩雑なスイッチを操作させるのはロールス・ロイス流のエレガンスに反するのだろう。

そのカリナンダイヤモンドを育んだ大自然の素晴らしさにインスパイアされたカリナンは、ロールス・ロイス初のSUVであると同時に、同社初の四輪駆動車である。センターコンソールには、これまでロールス・ロイス車に備わったことのない「オフロード」スイッチが用意され、これを押せば4WDやESCの制御が未舗装路向けに切り替わる。同時に車高も40mmアップし、同社の謳う「Effortless, Everywhere(どこにでも、易々と)」が実現するのである。いくつものスイッチを切り替えながら悪路を走るのではなく、スイッチひとつでオフロードモードに。そのあたりも、ロールス・ロイス流のもてなしといえる。

カリナンの「初」はまだある。たとえばテールゲート。クーペやサルーン、ドロップヘッドという多彩なボディバリエーションの歴史はあれど、大きく開口するゲートがリヤに存在するロールス・ロイスはこれまでなかった。音もなくスイッチひとつで開閉するのは当然として、荷室との間にパーテーションを設けることで外気がキャビンへ流れ込まないようにするという、いかにもロールス・ロイスらしい心配りも用意されている。

車高を自動的に下げて乗員をお迎え

ロールス・ロイス カリナンの「ビューイングスイート」。
ロールス・ロイス カリナンのテールに搭載できる「ビューイングスイート」。レザーの繊細なしつらえなど、細部の仕上げも徹底している。

遥か前方まで見渡すことのできるアップライトなドライビングポジションもドライバーに安心感と開放感をもたらす。この圧倒的な視野の広さに、2.6トンの巨体をやすやすと運ぶV12の力強さ、しっとり感と正確さが共存する操舵感、“魔法の絨毯”の乗り心地があいまって、運転のしやすさは現行ラインナップ中随一だ。

また、乗車の際にドアハンドルに触れると車高が40mm自動で下がり、エンジンをスタートすると元に戻る仕組みや、乗り降りの際に足が汚れないようサイドシルをカバーするドアの設計などロールス・ロイス的ホスピタリティを随所に用意。世界最高峰のショーファードリブンを作り続けてきた名門のおもてなし精神は、SUVにも健在なのである。

テールゲートに“特等席”を

ロールス・ロイス カリナンの「ホスティング サービス」
ロールス・ロイス カリナンの「ホスティング サービス」。8人分のグラスをはじめ、シェーカーやカッティングボード、各調理用器具などがセットになっている。

フライフィッシングや写真撮影、乗馬、ハイキング、愛犬との散策など、ありとあらゆるアウトドアに最適な空間を提供するカリナンには、多くの魅力的なオプションも用意されている。たとえばテール部には、格納式の2脚のチェアとカクテルテーブルをセットにした「ビューイングスイート」を設定。絶景の場所でテールゲートを開けて腰掛ければ、快適にパノラマを独り占めする贅沢な特等席が完成する。

さらに、大人8人分の食器類や調理機器で構成する「ホスティング サービス」もラインナップ。ロールス・ロイスのモノグラムを刻んだハイボールグラスや、ウォールナット製のまな板など、午後のひとときを優雅に過ごすための器具が一揃いになっている。気の置けない友人とのピクニックで、ゲストに新鮮な飲み物や食事を提供できるように、というユニークなオプションだ。

自動開閉するカスタム自在なキャビネット

ロールス・ロイス カリナンの「レクリエーション モジュール」
ロールス・ロイス カリナンの「レクリエーション モジュール」。たとえばドローンやタブレット、PCなどの専用収納エリアとしてビスポークすることもできる。

「レクリエーション モジュール」は、広大な荷室を整理整頓するためのオプション。スイッチひとつで開閉できる自動の引き出しを据え付けられるもので、仕切りや引き出しの内部構造は、収納する対象物にあわせていかようにもビスポークが可能だという。たとえばドローンやノートPC、ヘッドフォン、スピーカーをセットで収納できるようにしたり、用途別にカスタマイズしたキャビネットを愛車に“搭載”できるのである。

カリナンはロールス・ロイス史上、最も自由なモデルだ。道なき道を行ける走破性だけでなく、広大な空間を無数のオプションで自分の趣味に合わせた頼もしいパートナーに作り上げることができる。もちろん、ビスポークの可能性は無限大だ。「The only limit is your imagination(唯一の限界は貴方の想像力です)」というタグラインが示すとおり、ロールス・ロイスのビスポーク部門は顧客の要望に応じてあらゆる「答え」を用意するのだから。

キーワードで検索する

著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…