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Lamborghini Gallardo
大ヒットを記録したスモール・ランボ
1988年にV型8気筒エンジンを搭載するジャルパの生産が終了して以来、ランボルギーニのプロダクトは、カウンタック、ディアブロ、ムルシエラゴ、そしてLM002と、V型12気筒モデルのみに限られていた。そもそもV型8気筒エンジンを搭載したいわゆるスモール・ランボの構想は、ポルシェ 911をライバルとするモデルを生み出すことで生産台数を大幅に増やすことが可能だという、ランボルギーニの創始者であるフェルッチオ・ランボルギーニの発想から生まれたもの。
それから30年以上の時が経過し、ランボルギーニの親会社となったアウディにとってもそれは同じ考えだった。時代が21世紀を迎えた頃から、V型12気筒エンジンを搭載しない、いわゆるスモール・ランボのプロトタイプが「P140」の開発コードとともに頻繁にスクープされるようになってきたことはその証だった。
実質的にアウディ傘下後初のニューモデル
P140は、2003年のジュネーブ・ショーで「ガヤルド」のネーミングを与えられて正式にデビューする。ガヤルドとは18世紀にブリーダーとして数多くの勇敢な闘牛を生み出した、フランチェスコ・ガヤルドの名にちなむもの。その名は彼の没後も闘牛の5大血統のひとつとして現代にまで語り継がれているという。その名をオマージュしたスモール・ランボ「ガヤルド」は、アウディ・グループ傘下にランボルギーニが収まって以降、実質的には初となるブランニューモデルだった。
先に登場した12気筒モデルのムルシエラゴは、鋼管スペースフレーム構造や独特なパワーユニットの搭載方法をカウンタックからディアブロを経て受け継いだもので、考え方によってはディアブロのビッグマイナーチェンジともいえるものだったが、アウディ自慢の軽量かつ高剛性なアルミニウム製スペースフレームや新開発のエンジンなど、すべてが新しいガヤルドは紛れもなく新世代のランボルギーニ、そしてアウディとの関係を象徴する存在だった。
520PSを発生する5.0リッターV型10気筒エンジンを搭載
ガヤルドのボディデザインはムルシエラゴと同様に、ランボルギーニ・チェントロ・スティーレのルーク・ドンカーヴォルケによるものだ。1995年にイタルデザインがランボルギーニに提供したデザインコンセプトカー「CALA」(カーラ)にいくつかのインスピレーションを得て、独自の感性でシャープなラインが描かれたガヤルドのボディ。シザーズドアが採用されなかったのは、それはやはり12気筒モデルのみの特権であるからなのか。
ミッドに搭載されたエンジンは、90度のバンク角を持つV型10気筒自然吸気。V型10気筒でベストバランスを狙うのならば、バンク角は72度とするべきところだが、アウディはクランクピンに18度のオフセットを設けることで、疑似的に90度V型10気筒エンジンを実現した。ヘッドはもちろんDOHC 4バルブで、ディアブロから熟成を続けてきた可変バルブタイミング機構は吸排気の両側に、またバリアブルジオメトリーのインレットシステム、すなわち吸気管長の可変機構も採用、排気量は4961ccの設定となる。トランスミッションにオーソドックスな6速MTと、eギアと呼ばれる6速セミATを用意したのも大きな話題。駆動方式はAWDで、前後駆動力は通常時30対70の比率でビスカスカップリングによるセンターデフで配分される仕組みとなっていた。
バリエーションを拡充し次世代に繋ぐ
ニューモデルとして順調なスタートを切ったガヤルドには、それから続々と新たなバリエーションが追加されていく。2005年には電動ソフトトップを備えるスパイダーが登場。2007年にはクーペをベースに、さらに100kgの軽量化と10PSのエンジン強化、さらにシャシーのチューニングを徹底したスーパーレジェーラが誕生する。
ちなみにこのスーパーレジェーラでは、315km/hの最高速度と3.8秒の0-100km/h加速を実現。コンパクトで比較的リーズナブルなガヤルドは、ランボルギーニのセールスにかつてないほど強い追い風を巻き起こす。そして2008年、ガヤルドにはビッグマイナーチェンジが施される。
(後編につづく)
SPECIFICATIONS
ランボルギーニ ガヤルド
発表:2003年
エンジン:90度V型10気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:4961cc
圧縮比:11.0
最高出力:382kW(520PS)/8000rpm
最大トルク:510Nm/4250rpm
トランスミッション:6速MT/6AT(eギア)
駆動方式:AWD
車両重量:1430kg
最高速度:309km/h
解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)