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Lamborghini Aventador LP700-4
スーパースポーツの頂点を再定義する野心作
ムルシエラゴに続くランボルギーニ伝統の12気筒ミッドシップは、2011年のジュネーブ・ショーでワールドプレミアされた。ここで明かされた正式な車名は「アヴェンタドール LP700-4」。アヴェンタドールとは多くの者が予想したとおり闘牛の名で、1993年にスペインのサラゴサ闘牛場に登場し、そこで見せた勇敢な戦いは闘牛ファンの間では現在でも語り継がれているという。
それに続くLP700-4なる称号には、もはや多くの説明は不要だろう。注目すべきは最後に添えられる「4」という数字で、ランボルギーニ、そして親会社のアウディは、このアヴェンタドールにおいてもその駆動方式を4WDとしたのだ。
セストエレメントから多くのディティールを継承
ランボルギーニ・チェントロスティーレのフィリッポ・ペリーニを中心に完成されたアヴェンタドールのデザインは、その前年に発表されたセストエレメントなどから多くのイメージを継承し、実に戦闘的かつ美しいものだ。12気筒モデルのアイコンともいえるシザーズドアは、もちろんこのアヴェンタドールにも採用されているが、それは完全な垂直方向ではなく、同時にやや外側に向かって開くことで乗降性を高めている。
アヴェンタドールのアンベールにあたり檀上に立った当時のランボルギーニ社CEO、ステファン・ヴィンケルマン氏は、「ランボルギーニは、一気に2世代分を進化させたアヴェンタドールによってスーパースポーツの頂点というものを再定義する」とアピールしたが、確かにセンターモノコックを始めさまざまなパートをカーボンとすることで軽量化を図ったほか、カウンタック以来の独特なパワーユニットの搭載方法を見直すなど、このアヴェンタドールに至って、ようやくランボルギーニの12気筒モデルは、新たな世代を迎えたという印象が強い。前作ムルシエラゴがアウディによって進化(=エボリューション)を見せたモデルだったのならば、アヴェンタドールは革命(=レボリューション)に近い感動を与えてくれたモデルだったともいえる。
6.5リッターV型12気筒エンジンは700PSを発生
リヤのサブフレーム上にマウントされるエンジンは、もちろんアヴェンタドール用に新開発されたものだが、60度のV型12気筒ということではランボルギーニの創業時からの伝統が継承されていることになる。アルミ・シリコン合金のクランク・ケースは、スチール製のシリンダーライナーを採用したオープンデッキ構造を採り、排気量は6498cc。最高出力は車名のとおり700PSを発揮した。
これに組み合わせられるトランスミッションはIRS(インデペンデント・シフティング・ロッド)と呼ばれるシングルクラッチ式の7速セミATで、エンジンの単体重量が235kgにすぎないのに加え、トランスミッションも70kgと非常に軽量だ。
駆動方式は4WDだが、センターデフはムルシエラゴのビスカスカップリングから電子制御多板クラッチ式へと進化を果たしている。前後のサスペンションに可変ダンパーを組み合わせたプッシュロッド方式を採用したのも大きな話題となった。ドライウエイトで1575kgを実現したアヴェンタドールLP700-4は、最高速で350km/hを達成。0→100km/h加速も2.9秒というデータを残している。
“J”や“SV”ほか多くの派生モデルをリリース
このアヴェンタドールにも、発表後には毎年のようにさまざまなバリエーションが追加されていく。2012年には二分割の着脱式カーボンルーフによるLP700-4ロードスターと、ワンオフモデルとして製作されたアヴェンタドール Jが前後して登場。“J”とはもちろんイオタの意であることはカスタマーやファンには多くの説明を要さないだろう。
翌2013年にはランボルギーニの創業50周年を記念したLP720-4 50 アニヴェルサリオが200台の限定車として、そして2015年にはランボルギーニのファンが常に待ち望む、SVの称号を掲げたLP750-4 スーパー・ヴェローチェを発表。先に発表されたクーペは600台の、それに続くロードスターは500台の限定車とされ、それらはいずれも高い人気を博した。
SPECIFICATIONS
ランボルギーニ アヴェンタドール LP700-4
発表:2011年
エンジン:60度V型12気筒DOHC
総排気量:6498cc
圧縮比:11.8
最高出力:515kW(700PS)/8250rpm
最大トルク:690Nm/5500rpm
トランスミッション:7速セミAT(IRS)
駆動方式:AWD
車両乾燥重量:1575kg
0→100km/h加速:2.9秒
最高速度:350km/h
解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)