目次
Bentley Batur
58週間を超える車両全般の検証を予定
ベントレー バトゥールは、エンジンと車両全体の耐久性、環境適合性と太陽光シミュレーション、高速安定性、エアロダイナミクス、騒音・振動、ドライビングダイナミクスなど、多岐にわたる検証テストを実施。120を超える個別テストは、ゴールドの「オルガンストップ」ベンチレーションコントロールの品質から、搭載されるW型12気筒エンジンの動作状況に至るまで、あらゆる項目が網羅されているという。
2台の先行開発車両「カーゼロ」を使って、58週間を超える車両検証を予定。エンジンのパワーアップを検証するべく、すでに100週間以上をかけたパワートレインのテストが終了しており、バトゥールは最低でも最高出力740 PSを発揮し、史上最もパワフルなベントレーとなることが決まっている。
2500kmに及ぶロングランテストを計画
開発車両「カーゼロ」による最初のテストは、実際の走行状況をシミュレーションするため、ヨーロッパ横断2500kmという大規模なロングドライブを行う。ドイツを出発し、イタリア、フランス、スペインの公道を走破。最後にはテストトラックにおける高速テストも計画されている。
ベントレー・マリナーのチーフテクニカルオフィサーを務めるポール・ウィリアムズは、バトゥールの開発状況について次のようにコメントしている。
「プロジェクトのスタート当初から、このクルマが究極のGTでなければならないことは明らかでした。バトゥールはエクステリアデザイン、エンジンパワー、ハンドクラフトのインテリアなど、すべての要素が妥協なく作り上げられています」
「バトゥールには、新たな挑戦となるユニークな機能がいくつもあります。例えば、エクステリアのヘッドランプは非常にコンパクトなLEDユニットで、スタイリングチームがデザインした挑戦的なプロポーションに合わせて作られています。クルマの印象を一変させますし、生産過程も複雑です。また、20年の歴史の中で最もパワフルなW12エンジンが開発されていますから、膨大な検証プログラムが必要です」
「バトゥールは、細かいディテールまで徹底的に計算されています。フロントグリルのダイヤモンドの角度はW12エンジンのシリンダー角度を表しているほどです」
極限の使用環境を再現する太陽熱負荷試験
カーゼロは7週間にわたり、ハンドリングトラック、混合路面、高速テスト、過酷な路面状況での耐久性テストが行われる。すべてのテストにおいてデータとフィードバックが集められ、開発陣が掲げた技術目標が達成されているかが確認される予定だ。
この耐久試験作業が完了すると、さらに7500kmの実走行が行われ、環境試験が開始する。バトゥールは4週間弱で600時間の太陽熱負荷にさらされる予定で、このトータル時間はアリゾナ砂漠の5年分にも相当する。今回、バトゥールはカーボンファイバーに代わるサステナブルな新素材をエクステリアパーツに採用したため、非常に重要な検証作業になるという。
最初のデリバリーがスタートする前に、810以上のユニークなパーツが160週間に及ぶテストと開発を終え、究極のコーチビルトグランドツアラーが完成する。
搭載される6.0リッターW型12気筒ツインターボエンジンの最高出力は740PS以上。新しいエアインテークシステム、改良型ターボチャージャー、改良型インタークーラー、ギヤボックスとエレクトロニックスタビリティコントロールに新しいキャリブレーションを導入した。すでに100週間を超えるパワートレイン開発作業は、すべて完了している。
持続可能性を重視した素材と製造方法
先にデビューした「マリナー バカラル」は、ベントレーとしては近年初のコーチビルドプロジェクトだった。バトゥールでは、カラー、マテリアル、仕上げだけでなく、「マリナー・バイ・ネイム・オーディオシステム」をはじめ、豊富なオプションも用意された。
今回、バトゥール専用で、コンチネンタルGTに搭載された「ネイム・オーディオ・システム」に、20基のフォーカル・スピーカーを追加。さらにカスタムチューニングも施したことで、クラス最高のオーディオ体験ができるようになった。
バトゥールの開発おいては、持続可能性を重視。これを受けて、ベントレーのデザインチームは、ハイエンド素材と仕上げを組み合わせ、バトゥールにユニークな個性を与えた。また、アディティブ・マニュファクチャード・ゴールドやサステナブル・ハイドやナチュラル・ファイバー・パネルなど、環境俯瞰の低いマテリアルが採用されている。
さらに、先進の製造技術により、金型への投資も最小限に抑えることが可能になった。この結果、製造工程における材料やエネルギーの使用量を削減することができたという。また、テストが成功すれば、マリナーはカーボンファイバーの代わりに天然繊維をの導入も計画している。