目次
Porsche Vision 357
フェリー・ポルシェの夢をオマージュ
今回、ポルシェは現在へと続く長い歴史の起点となった「356 No.1 ロードスター」を称えたデザインスタディ「ヴィジョン 357」を製作。フェリー・ポルシェの夢であったスポーツカーをオマージュし、75周年のアニバーサリーイヤーを祝うことになった。
ヴィジョン 357は、ポルシェ 718 ケイマン GT4 RSをベースに、かつてのシンボリックなフォルムを現代的に蘇らせている。生産モデルとしての法規から解放されたスタイル・ポルシェのデザインチームは、クラシカルでありながら、未来のデザイン哲学の可能性を表現。その一例が、ヘッドライトの斬新なスタイルであり、これは未来のポルシェ製スポーツカーに向けた試みとなる。
スタイル・ポルシェのデザインディレクター、ミヒャエル・マウアーはヴィジョン 357について次のように説明した。
「ヴィジョン 357という特別な誕生日プレゼントを作りました。これは、356をベースに私たちのデザインDNAの意義を強調したデザインスタディで、ポルシェの過去、現在、未来を結合する試みとなります。その歴史的な源泉を彷彿とさせるプロポーションと、未来への展望を視覚化したディテールが特徴と言えるでしょう」
ベルリンで行われた特別展のオープニングで披露
ヴィジョン 357は、ベルリンにあるフォルクスワーゲングループのDRIVEフォーラムで開催される特別展「75 Years of Porsche sports cars(ポルシェ・スポーツカーの75年)」の目玉展示として、2023年1月25日に行われたオープニングイベントにてお披露目された。
また、2023年3月10日から米国のオースティンで開催される「サウス・バイ・サウスウェスト(South by Southwest)」でも公開が決まっている他、年内に行われる様々な国際イベントでも展示される計画があるという。
356のウインドスクリーンをイメージ
ヴィジョン 357のプロポーションは、モノリシック(ひと塊)なフォルム、キツいアングルがつけられたフライラインを持つ狭いパッセンジャーセル、ワイドなショルダー部など、356を思わせる特徴が数多く採用された。ウインドスクリーンはAピラーを鋭く包み込んでおり、これも当時のガラス製造技術へのオマージュとなっている。
初期の356はセンターにバーを備えたスプリット・ウインドスクリーンを採用。1952年モデルからは中央が湾曲した一体型ウインドスクリーンに変更された。ヴィジョン 357のAピラーはブラックアウトされており、サイドウィンドウと視覚的に一体化。このDLO(デイライト・オープニング)グラフィックは、ヘルメットのバイザーもイメージしているという。
あえて機能面を隠したスムーズなボディ
機能的なディテールはボディへと統合。サイドウィウンドウ後方のBピラーに隠されたドアオープナー、ボディそのものに組み込まれたテールライトなど、クルマの彫刻的なキャラクターを強調する。現行ポルシェと同様に、ヴィジョン 357はフロントに4ポイントライトのシグネチャーを配置。ヘッドライトの丸型デザインは、356の特徴的なライトへのオマージュとなる。
アイスグレーメタリックとグリボラグレーメタリックを用いたツートーンカラーは、1950年代に人気を集めていたグレーカラーへの回帰となっている。
足元の20インチ・ホイールはマグネシウム製。空力的に有利なカーボンファイバー製ハブキャップとセンターロックを装備。ドアとフロントセクションには、「75」のアニバーサリーロゴがレースナンバーのように配置されている。ラップアラウンドが採用されたフロントボンネットは、クイックリリース機構で固定。大型フロントスポイラーは、かつてのレーシングカーのようにワイヤとボルトで固定された。
ヴィジョン 357は、2021年に発表されたフル電動GTレーシングカーコンセプト「ミッションR」と同様、天然繊維強化プラスチック(NFRP)をボディシェルに採用。このサスティナブルな素材のベースとなるのは、農業で採れる亜麻繊維となる。