ポルシェの電動レーシングカー、その速さはすでに911GT3カップに匹敵

最高出力1000psオーバー! ポルシェ 718 ケイマン GT4 eパフォーマンス公開 【動画】

2台のポルシェ 718 ケイマン GT4 eパフォーマンスと、ベースとなったミッションR。
2台のポルシェ 718 ケイマン GT4 eパフォーマンスと、ベースとなったミッションR。
ポルシェは、718 ケイマン GT4 eパフォーマンスを使用し、ミッションRに搭載されていた電動テクノロジーコンポーネントの実践的なテストを開始した。これを受けて、2台の718 ケイマン GT4 eパフォーマンスを公開している。

Porsche 718 Cayman GT4 ePerformance

実績ある718 ケイマンで広範囲なテストを実施

すでに精力的なテストが行われている電動レーシングカー「ポルシェ 718 ケイマン GT4 eパフォーマンス」。
ポルシェは、すでに多くのカスタマーに供給されている718 ケイマン GT4 クラブスポーツに電動パワートレインを搭載し、より実践的なテストを開始した。

2021年9月、ドイツ・ミュンヘンで開催された「IAAモビリティ」において、ポルシェは将来的なカスタマー用フル電動GTレーシングコンセプト「ミッションR(Mission R)」を公開。その後ミッションRは、内外のサーキットにおいて革新的な電動ドライブトレインのポテンシャルをアピールしてきた。

今回、より広範囲で実践的なテストを行うため、ポルシェはテスト車両として718 ケイマン GT4 eパフォーマンスを開発した。ミッションRと同様、この全輪駆動電動レーシングカーも、すでに多くの実績を持つ718 ケイマン GT4 クラブスポーツのシャシーを流用している。

すでに911 GT3 カップの性能に匹敵

すでに精力的なテストが行われている電動レーシングカー「ポルシェ 718 ケイマン GT4 eパフォーマンス」。
718 ケイマン GT4 eパフォーマンスは、ミッションRに搭載されていた電動パワートレインを搭載。すでに現行の911 GT3 カップに匹敵する性能を発揮している。

電気モーターとバッテリー技術はすべてミッションRから流用され、タイムアタック用の予選モードでは735kW(1000ps)以上の最高システム出力を発揮。シミュレーションレースでは、カレラカップのレース時間に相当する30分間、450kW(612ps)の安定した出力が得られている。現時点でラップタイムと最高速度に関しては、タイプ992の911 GT3 カップの性能に匹敵しているという。

ポルシェのGTレーシングビークル・プロジェクトのマネージャーを務めるマティアス・ショルツは、今回の718 ケイマン GT4 eパフォーマンス公開について次のように説明した。

「ミッションRは、ポルシェが将来的に持続可能なカスタマー向けモータースポーツをどのように構想しているか、そのビジョンを示しました。今回発表した、718 ケイマン GT4 eパフォーマンスは、このビジョンがサーキットにおいて実際に機能することを実証します」

「電動レーシングカーによるワンメイクレースは、現在我々が展開しているカスタマーレースプログラムにとっても大きな追加要素となるでしょう。その反響にも期待しています」

2基のPESMを前後アクスルに搭載

すでに精力的なテストが行われている電動レーシングカー「ポルシェ 718 ケイマン GT4 eパフォーマンス」。
718 ケイマン GT4 eパフォーマンスは、永久磁石同期型モーターを前後アクスルに搭載し、最高システム出力1000ps以上を実現した。

2030年までに、ポルシェは販売する新車のバリューチェーンとライフサイクル全体において、CO2ニュートラルの実現を目標に掲げている。その時点での新車販売に占める電動パワートレイン搭載の割合は80%以上となる予定だ。

ミッションRと同様、718 ケイマン GT4 eパフォーマンスに搭載される電動パワートレインは、フロントとリヤアクスルに永久磁石同期型モーター(PESM)を2基搭載。フロントが320kW(435ps)、リヤが480kW(653ps)のパワーを供給し、最大800kW(1088ps)のピークパワーを発生させることが可能となっている。また、高度な900Vテクノロジーとポルシェターボチャージャーによって、わずか15分で残電量5%から80%までバッテリーを充電することが可能だ。718 ケイマン GT4 eパフォーマンスのプロジェクトマネージャー、ビヨルン・フォスターは開発状況について次のように説明する。

「開発チームは、空力や熱力学の分野のスペシャリストだけでなく、高電圧や車体構造の専門家とともに、熱による影響を受けず、バッテリーセルの能力を最大限に引き出すアーキテクチャーを初めて作り上げました。これにより、レースモードでの出力を30分間一定に保つことができます」

6000点以上のパーツを新規開発

すでに精力的なテストが行われている電動レーシングカー「ポルシェ 718 ケイマン GT4 eパフォーマンス」。
エキゾーストパイプが存在しない、718 ケイマン GT4 eパフォーマンスのリヤセクション。ボディシェルに天然繊維複合素材を活用するなど、約6000点のパーツが新規設計された。

グラント・ラーソンが率いるポルシェ・スタイルが718 ケイマン GT4 eパフォーマンスのエクステリアデザインを担当。718 ケイマン GT4 クラブスポーツよりも14cmワイド化され、約6000点のパーツが新設計された。

718 ケイマン GT4 クラブスポーツと比較して、ミシュラン製18インチ・レーシングタイヤを装着するため、フレアフェンダーを大型化。ボディには天然繊維複合素材を使用し、同等の合成素材を使用した場合よりもCO2排出量を大幅に削減した。また、試験的にリサイクルされたカーボンファイバーも導入されている。

2024年にかけて世界各国でツアーも実施

すでに精力的なテストが行われている電動レーシングカー「ポルシェ 718 ケイマン GT4 eパフォーマンス」。
2022年のグッドウッドを皮切りに、欧州各地で718 ケイマン GT4 eパフォーマンスのデモンストレーションを実施。その後、北米やアジア太平洋地域でもお披露目ツアーが実施される。

ポルシェは、2022年6月23〜26日に開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」において、718 ケイマン GT4 eパフォーマンスを初公開する。グッドウッドでは1.9kmのヒルクライムコースでデモンストレーションランを披露する予定だ。

さらに、2022年8月20日にライプツィヒのポルシェ・ファクトリー20周年記念イベントにも参加し、施設内の3.7kmのテストトラックを走行する予定。2台の718 ケイマン GT4 eパフォーマンスは欧州各国を巡った後、2023年初頭に北米、さらにアジア太平洋地域にも向かい、2024年半ばまでツアーを行う。

718 ケイマン GT4 eパフォーマンスの販売プロジェクトマネージャー、オリバー・シュワブは、ツアーの目的について次のようにコメントした。

「718 ケイマン GT4 eパフォーマンスは、電動レーシングカーによるポルシェカスタマーレースの道を切り拓く存在です。その第一歩として、私達はこのコンセプトを世界中のパートナーに公開します。ドライバー、チーム、オーガナイザー、その他の関係者と共に、将来のポルシェのレースフォーマットに関するアイデアも集めているところです」

ポルシェ 718 ケイマン GT4 eパフォーマンスを動画でチェック!

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