ローマスパイダーが出た今こそ「フェラーリ カリフォルニア」が買い

程度のいい個体が流通する「フェラーリ カリフォルニア」が狙い目【今買うなら、ひょっとしてコレちゃう?16台目】

フェラーリブランド愛好家のデイリーモデルとしても成立するように企画された「カリフォルニア」。
フェラーリブランド愛好家のデイリーモデルとしても成立するように企画された「カリフォルニア」。
クルマの流行廃りにあわせて大きく動く中古車市場。もしも中古車ライフを送るなら、その波を正確に捉えてお得な買い物をしたいものだ。そんな時代の羅針盤たるべく、西川淳が「今」買いのクルマを紹介する。第16回は2+2のリトラクタブルハードトップ(RHT)フェラーリ「カリフォルニア」だ。

Ferrari California

360モデナよりも安い

個人的には地味な色がカリフォルニアには似合うと思うけれど、いっそのことベタなロッソにタンかクロでもいい。

カーセンサーなど中古車検索サイトの楽しみ方はいろいろある。探し方、ではない。楽しみ方だ。つまり、さしあたって今どうしても欲しくて探しているようなモデルは特にないのだけれど、面白いタマが出ていないものかとパトロールするというパターン。ネットのなかった昔で例えるなら、出物はないものかと夜中にブラブラ中古車屋巡りをしたあの感じ、だ。やったでしょ? 夜な夜な走って(笑)。

私の場合、とにかく全ての掲載車を古い順に表示させるパターンが基本。そうして古いタマからじっくり眺める。時間のない時は、ブランドや仕様で絞ってみる。3ペダルとか、オープンとか、たまには色味もありで。フェラーリとかランボルギーニとか、ブランドで絞っても面白い。マーケットに何台くらい流通していて、いまどれくらいの相場で動いているかがよくわかる。例えばフェラーリなら今1000台くらい中古車市場に出回っていて、最も安い相場を作っているモデルは意外にも「360モデナ」で800万円前後だ。

順に眺めていく。360に混じって348や612あたりが続々と。1000万円を超えたあたりでスクロールする右手がピクっと反応した。おー、「カリフォルニア」だ。そういや、ついこの間、「ローマスパイダー」をサルディニア島で試してきたばかりだけれど、「ポルトフィーノM」が既受注分で生産終了となるとフェラーリのスタッフが言っていた。つまりローマとローマスパイダーが、カリフォルニアからポルトフィーノと2008年から2世代4モデルに渡った、跳ね馬リトラクタブルハードトップ(RHT)モデルの歴史に終止符が打たれたと言うことだ。

ブランド愛好家のデイリーモデル

ひとつの時代が終わると聞けば、その時代をなんだか惜しく思ってしまう。というわけで安いカリフォルニアはこれからアリなんじゃないかと思った次第。個人的には“RHT嫌い”、というか“ソフトトップ好き”なんだけど。

思い返せばカリフォルニアの使命は、ブランドマニア以外からの取り込みはもちろん、フェラーリブランド愛好家のデイリーモデルとしても成立するように企画されていた。有り体に言って、ドイツのプレミアブランドの高級モデル、例えばメルセデス・ベンツのSL63AMGに乗っているなら、いっぺんカリフォルニアも試してみてよ、だ。

実際、AMGのSLを普段使いするフェラーリオーナーは少なくなかったし、BMWやアウディの高性能モデルをチューンして乗るような層も、物は試しにとカリフォルニアに飛びついた。結果、カリフォルニアとポルトフィーノは大ヒットしたのだ。

乗り倒せる跳ね馬の筆頭格

今後、12気筒モデルのように価格が上がるという期待はほとんどない。V8エンジンを積むと言っても数も多いし、上がるとすればミドシップカーの流通が底をついてからで気の長い話だ。将来の値上がりを楽しみに買っておく跳ね馬ではない。

けれどもだからこそ逆に、比較的程度のいい個体が流通する今、もはやポルシェ911の新車も買えない価格、つまり1000万円ちょっとでカリフォルニアを買って、目一杯乗って楽しむという別の楽しみ方があるように思う。リセールバリューを気にすることなく乗り倒せる跳ね馬の筆頭格だろう。

毎日乗ったっていい。個人的には地味な色がカリフォルニアには似合うと思うけれど、いっそのことベタなロッソにタンかクロでもいい。高級スニーカーを普段使いに履きこなす。そんな感覚でカリフォルニアを楽しむことができたら最高だ。

スペックなどは気にしないで

将来の値上がりを楽しみに買っておく跳ね馬ではない。だが、それがかえって「カリフォルニア」を魅力的にしてくれる。

カリフォルニアから、同30、同T、そしてポルトフィーノ、同Mと新しくなるにつれて当然ながら性能と価格は上がっていく。けれどもローマという後継モデルがあって、そのパフォーマンスが今後も磨かれていくとなれば、カタログのスペックなど気にする必要は全くない。ハッキリ言って、乗ってしまえば同じようなもの。特に街中とたまの高速道路なら、この20年間のフェラーリ、どれに乗っても立派に跳ね馬フィールを味わうことができるのだから! 真っ赤なカリフォルニア。いいと思う。地味色流行りだから余計に赤い跳ね馬が今後、かえって目立つだろう。

SPECIFICATIONS

フェラーリ カリフォルニア

ボディサイズ:全長4563 全幅1902 全高1308mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1630kg
エンジン:90度V型8気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:4297cc
最高出力:338kW(460PS)/7750rpm
最大トルク:485Nm/5000rpm
トランスミッション:7速AT
駆動方式:RWD
サスペンション:前3リンク 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前235/40ZR18 後255/35ZR18
最高速度:310km/h
0-100km/h加速:4.0秒
タイヤ:前245/40ZR19 後285/40ZR19

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