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Rennsport Reuinon 7
4日間の来場者は過去最高の9万1000人
911GT3Rレンシュポルトのワールド・プレミアというサプライズで幕を開けたレンシュポルト・リユニオンは、7回目を迎えた北米、いや世界最大といっていい、ポルシェによる、ポルシェのためのサーキット・イベントである。
5年ぶりの開催となった今回のエントリー台数はおよそ300台。そのほとんどが地元アメリカのエンスージアストが所有する貴重なモデルだったが、本国からも919ハイブリッドEvo、ケイマンGT4e-パフォーマンスといったマシンが来場。さらに会場内、そしてその周囲を数えきれないほどのポルシェが埋め尽くし、文字通りサーキットはポルシェ1色に染め上げられた。
また今回は、従来のレーストラックでのレース、パレード、パドック内での展示、コンクール・デレガンス、オートジャンブル以外に、会場内で象徴的なクルマをチェックして回るスカベンジャー・ハント、壁いっぱいに貼られた各モデルの線画を自由にペイントするコーナー、そしてトランスフォーマーの新作映画『ライズ・オブ・ザ・ビースト』の先行公開、ドゥービー・ブラザーズのコンサートといったアトラクションも企画されたほか、特設ブースでE-スポーツのポルシェ・チャンピオンシップ決勝戦が開催されるなど、これまでにない多角的なプログラムが用意され、世代を問わず楽しめるようになっていた。そのおかげか、土曜が雨に見舞われたにもかかわらず、4日間の来場者は過去最高の9万1000人を記録したという。
レジェンドたちとの距離の近さこそ魅力
そんなレンシュポルト・リユニオンの目玉といえば、本来の趣旨であるレジェンドたちのリユニオンだ。今回もDr.ウォルフガング・ポルシェを筆頭に、様々なジャンルのレジェンドが集結していたが、他のイベントに比べて特徴的なのは、レジェンドたちとの距離が近く、誰もがフレンドリーに接してくれることだ。
その中のひとりで、1970年代から90年代にかけレース部門の責任者として数多くの勝利を手にしてきたノルベルト・ジンガーにインタビューする機会があった。
「このイベントは私にとって歴史の中を歩くようなものだ。911、935、936、956、962、911GT1……。長い道のりだったけれど、これらのクルマが走っているのを見るのはいいものだよ。すべてのクルマは私の息子だからね」
イベントの印象をそう話すジンガーからは、1976年に登場したグループ6マシン936の開発秘話、そしてグループCマシン956のグラウンドエフェクトや、燃費に関することなど貴重な話(紙幅が足りないので詳しくはまた別の機会に)を色々と聞くことができたのだが、改めてレーシングカー・エンジニアに必要な資質とは何か? 聞いてみた。
「才能と想像力。良い時も悪い時も常に学ぶ姿勢が大事なんだ。なぜこれがうまくいかないのか、あるいはなぜうまくいっているのかを突き止める必要がある。その経験が、もしかしたら他のどこかで必要になるかもしれないからね。そして情熱を持つこと。それが私の考えだ」
レジェンドに聞くドライバーに必要な資質
一方、ドライバーに必要な資質を尋ねると「興味だね。乗ることに対してだけじゃなく、なぜこれが必要なのか? を理解しようとすることだ」と答えたうえで、こう続けた。
「お互いに信頼し合えること。時には激しい議論もするけどね。そういう意味でポルシェはチームではなくファミリーなんだ。今はどうかは知らないけど(笑)、少なくとも私の時代はそうだった」
そう聞いて、このイベントに流れる開放的、友好的な雰囲気が何もカリフォルニアの気候のせいだけでないことが理解できた。ここにいる人々はレジェンドであれ、オーナーであれ、観客であれ、ポルシェというファミリーの一員なのだ。だからこそ1948年以来、紆余曲折がありながらも、ポルシェは75年にわたって世界中の人々を魅了し、愛されてきたのだろう。
REPORT/藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)
PHOTO/ポルシェジャパン、藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)
MAGAZINE/GENROQ 2023年12月号
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